爆睡デー
いやー、飲んだ飲んだ。
俺は酔って気分が良くなるタイプの人間じゃないので、酔う事に価値を感じないのだが、飲んで持て囃されれば調子に乗る事もある。
綺麗なお姉さんは好きですか?ええ、大好物です。
アルコールの効果抜きでも、そこは夢の国でした。
VIPルームの恐ろしさの片鱗を味わったぜ。
料金は・・・おおう、さすがドンペリ(?)。
しかし、これだけ飲み食い諸々の結果なので、法外ではないと思われる。
きちんと俺の相手をしてくれたし、スザクの面倒もちゃんと見てくれた。
まぁ、スザクは途中で寝たけど。
宿に戻って寝る事にする。
お持ち帰り?いや・・うちは覗き魔がいるんで・・・。
いなかったら、お持ち帰りしちゃったかもしれない。
それくらいに羽目を外すほど楽しかった。
うーん、決めた。次の討伐戦まで、だらだらして過ごす!
俺は、宿に戻ると、スザクを定位置に置いて、ベッドに潜り込んだ。
おやスヤァ・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・。
「コッケコッコーーーーーーーーーーーーーゥ!!!」
そりゃ寝不足にもなるってもんです。
二日酔いではないが、体が重い。
まだ体内にアルコールが残ってるような気がする。トイレトイレ。
水分をたっぷり摂る。・・・うん、まだ眠気がかなり残ってるな。
ドアを開けて、いつでもスザクがトイレに行けるようにして、二度寝。
どうせ覗かれるんだから、オープンでも問題ない。
ナチュラルに就寝。かなり眠気が溜まっていたらしい。
「くかーーー・・・・・。んごっ」
「・・・コ・・。」
自分の鼾の音に驚いて目が覚める事ってあるよね。
二度寝から目を覚ましたが、アルコールを摂り過ぎたのか、体が重いままだった。
朝食を食える時間を過ぎてたので、水場を借りて身奇麗にし、外出する。
いい感じの飯屋を求めて、いざ!
・・・近場の別の宿で食事をした。
シンプルな料理だが、そこそこいけた。
卵を使った野菜炒めと、塩味の薄い葉っぱの浮いたスープと、何かハーブの香りの付いたバターを塗り込んだパンだった。
今日は遠出して探し回るのがしんどかったんだ。
宿屋の多くは、昼には飯屋をやってたりするので、利用してみた。
「なんか変なのが来たぞ」って視線にはもう慣れた。
宿屋巡りするのも悪くないな。
自分の宿泊している宿に戻る。
ここで本でもあれば、ゆっくり暇潰しができるんだけどなぁ。
そういえば、本を見かけないな。
本屋も無いし、雑貨屋にも置いていない。
やはり紙が貴重だったり、印刷技術が発達してなかったりするんだろうか。
探しに行くのもだるいので、部屋でだらける事に決めた。
・・・。
ふと思ったんだけど、このだるさって万能薬で何とかなるんじゃないだろうか?
いや、さすがにホイホイとアイテムに頼るのはやめよう。
まだまだあるとはいえ、入手経路を確保できていないのだ。
いざという時に無くなりましたでは、目も当てられない。
ならばどうするか。
ドアを閉めて鍵を掛け、厳重に仕掛けをする。
これで鍵穴から覗けないだろうし、空けられたとしても直ぐに中は見えないし、音で分かるだろう。
CC:クランベール
パァァッ・・と補助魔法の光が周囲を照らし出す。
「・・・冷たい・・。」
服がびしょ濡れであった。それにしても、俺は何度同じ失敗を繰り返すのか。
着替える。・・ううむ、下着が女物なんだよなぁ。
洗濯をしてもらうのも、なんだか恥ずかしい。
そして、替えが無い。だって、女物の下着だぞ?俺が買えると思うか?
他のキャラの着替えを回す。男物だけど。
とりあえず、時間停止してるんだから、アイテムボックスの肥やしにしておこう。
スロット数を圧迫するのも嫌だし、まとめておくか。
機会があれば、まとめて洗えば良いし。
そういえば、他のキャラも海水に漬かったよな。
装備も気になる。傷んだりしそうだし、いざという時に海水まみれとか、ちょっと恥ずかしいからな。
同じ失敗をしない為にも、CCして着替えたり、装備の手入れをしないとな。
その前に・・。
スキル:浄化
体の残留アルコールが悪さをしていると思うんだ。
これを何とかすれば・・・。
・・・・・・。
思ったよりも爽快感は無いな。
スキル:回復
・・・・・・。
うん、微妙にだるいままだ。俺の精神的な問題もあるのだろう。
だらだらしたい。何もしたくない。そんな日もあるさ。
ごろごろしたいが、あの時使ったキャラの着替えと、装備品の手入れをしないとだなぁ。
アイテムボックスに収まった装備品を取り出す。
ゲーム時代はこんなシステムじゃなかったし、装備スロットというやつがあったのだが、今はない。
うえぇ・・全部びしょびしょだ。
とりあえず、杖をタオルを使って拭き上げたが、これ海水なんだよなぁ。
乾いても塩が残りそうだ。金属が使われてたら錆びそうだし、そうでなくても何か劣化するかもしれない。
後のは・・魔法職は装備が独特だし、なんか大変そうだなぁ。
CC:バスティニオン
水中呼吸ができるんでは?と試しにCCしてみた、人龍である。
ちなみに、呼吸できたとしてもレベルはそんなに高くないので、よほどのプラス補正が無きゃ使わなかったと思われる。
服を着替え、装備を並べる。
一通り、タオルで水気だけ取るが、完全に水が切れるわけでもないので、タオルを敷いておく。
うーん、タオルめっちゃ使うなぁ。
おっと、こいつもか。
CC:ニャンコロノフ
「んみ゛ゃッ」
濡れた服が気持ち悪い。脱ぐと、ぶるぶるっと身震いが全身を襲った。
特性なのか、このキャラは特に水に濡れるのを不快に感じるようだ。
さっさとリーフレッドにCCすればいいものを、他に何も考えられなくなり、そこらに敷いてあったタオルで必死に毛づくろい・・もとい、身嗜みを整え始める。
潮気が気持ち悪い。
潮水はそう簡単に乾くものじゃないし、髪は言わずもがな。
簡単に拭き取るだけのつもりが、真水でタオルを濡らしたりして、かなり本格的にやっていた。
平静ではいられないレベルで不愉快だったのだから仕方ない。
これで、あの時に使用した全キャラが着替え終わったはずだ。
着替えのたびに、濡れた服を身につけていた身体を拭く羽目になったが、心を無に、である。
一度に全員で脱いで、シャワーを浴びてきて、全員で着るという手もあった。
その方がスッキリしたのだろうが、まかり間違って、また大衆の面前で素っ裸になる、なんてミスを犯す訳にはいかない。
脱いだら着るまでCCしない。こういうのは習慣付けが大事なのだ。
服を着替えたら、なんだか急に眠くなってきた。
ちょっと休むか・・・。今日はだらだらする日だし。
まるで吸引力を持ったかのような布団に吸い寄せられていく。
ああ、乾いているって素晴らしいなぁ・・・。
乾いた身体、乾いた服、そして当たり前だが乾いた布団。
先ほどまで、水気に異常な不快感を感じていた反動だろうか、ものすごい幸福感に包まれる。
意識はすぐに遠のき、俺は眠りについたのだった。




