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報奨金を受け取る

その辺をちょろちょろしてたら、ギルマスのおっさんに捕まった。

諸々(もろもろ)の見通しが立ったらしい。


「いや、一週間で戻るって言って、その通りに戻って来たし、一日で戻ると言われて、戻って来るかもしれないとは思っていたが、まさか本当に戻って来るとは・・。」


ギルマス、お前もか。

ギルドの仕事としては、予定通りに進めるというのが鉄則なのだが、これがかなり難しいのだという。

なので、当然のように依頼や冒険者が遅れることを前提にして仕事をしている。

予定通りに進めるという鉄則があるにも関わらず、予定通りに進んだ事によって、かえって現場が混乱するという不思議現象が起こっていたそうだ。


「ともかく、お疲れさんだったな。

どうせ試運転だからと思って、出発式も簡単に済ませたし、帰港の際も式を開けなかったが、こんな事なら、きちんと準備しておくべきだったな・・。

今思えば、あの一週間は我々にくれた猶予期間だったのか。」


違うから。式とかいらんから。あと、次回の為に間引いただけだから。

ちょっと余計なものまで付いて来たけど。


あとは、作業をしている冒険者達とギルド員に任せて、俺達はギルドへと向かった。


「だから、どうしてお前が付いてくるんだ?」


「いいじゃねーか。一緒に旅をした仲間だろう?」


何故かアーディが付いてくる不思議。

一緒に旅って、その時からずっと「勝手に付いて来た」って認識なんだが・・。

しかも、変な歌を子供達に広める迷惑行為とかばかりで、役に立った記憶が無いんだが・・。


「鍵を掛けた部屋に侵入して来るような覗き魔と旅をする趣味は無い。」


「ちょっとしたお茶目じゃないか。見逃せよ!」


おかげで、宿でくつろげなかったのだから、本当に勘弁してほしい。

あと、全然「ちょっとした」お茶目じゃない。ってかお茶目って何だよ。

選ぶ言葉が可愛らしいのがまたムカつく。あと、見逃して欲しいのに、どうして上から目線の物言いなのか。


「例えば、誰かの命に関わる秘密を覗いたとして、ちょっとしたお茶目で見逃してもらえると思ってるのか?」


「「「・・・・・・・・。」」」


あれ?アーディはともなく、何故、マリッサとギルマスまで怯えたような顔をしてんだ?

え、俺、例えばって言ったよね?それにこう・・軽い感じで言ったよね?

この世界の人ってジョークや例え話が通しなかったりする??

いや、ジョークなら通じる筈だ。

コランダの団長クレインさんにはいつも・・・。あれ?あれってただの嫌がらせじゃね?


「ココッココココ。コケ、コッココ。」


いや、何言ってるかわからんし。てか、コッケ鳥ってのはよく喋るのか?

スザクが長文で話すようになった。何を言ってるのか分からないけど(大事な事なので二度ry(りゃく))。


「・・なんか、そいつ。色が変わってねーか?」


「ああ、そうなんですよ。なんか進化したみたいで。」


ギルマスが眉間よりも鼻に近いところに皺を寄せた。

そういえば、あんまり進化させたらいけないんだっけ?

大丈夫、スザクは賢いし・・強くないから。

残念ながら残念な事に(日本語がおかしいが、心情を的確に表現するとこうなる)強くないんだよ。


「・・大丈夫なのか?」


「コケココココ。コケ。」


頭の上でスザクが立ち上がったが、身振り手振りを交えてくれても通じないと思うぞ。

いや、頑張っている事は伝わるかもしれんけども。


「・・・・・コケ。」


「まぁいい。それより、いくつか重要な話がある。続きは部屋でゆっくり話そうか。」


ギルドに着いてすぐ、いつもの部屋に通された。

アーディは報酬を受け取ろうと受付に行こうとしたが、置いて行かれそうになって、慌てて付いて来る。

夜だからギルド員が少ないのか、それとも船着場ふなつきばに手をとられているせいか、今日はギルマスが自身でお茶を入れてくれた。

これ誰得なんだ?全く嬉しくねぇ・・。


「改めて、今日はお疲れ様。期待以上の成果だ。

岩の虫・及びシーサーペントの討伐報奨金が出ている。

シーサーペントは20万。岩の虫は50万。シーサーペントは2体を確認した。

合計、90万Dになる。

残念ながら、ジャイアント・トレヴァリアについては、賞金が懸けられていなかったので、素材に期待・・・できないかもしれないが、なんとか高く買い取れるよう努力させてもらう。」


そのジャイアント・トレバリアってやつは、毒の塊みたいなもんだからな。

買い取りも色々と難しいのだろう。

金の入った袋が渡された。よく用意できたな。

このギルド、資金繰りがカツカツだってイメージがあるんだが。


「あー・・。今回は、証人も多く、直後にギルドで回収できたので、支払いも滞りなくできたのだが・・。うむ、“人喰(ひとぐ)らい”の件は色々とゴタゴタがあってな。」


・・・うん?“人喰(ひとぐ)らい”って、あのブラゴンか。

そういえば、賞金が懸かってたっけ。そういえば、報奨金をもらってない!


「うっ?!」


「今、思い出したみたいな顔をしないのよ。そんなだと、足元を見られて大変な目に遭うわよ。」


脇腹を突くのはめて欲しい。地味に鋭いので、くすぐったくて痛い。くすぐった痛い。

それにしても、マリッサは何かトラウマでもあるのか?

毎回、騙されるだの足元を見られるだの、人間不信が過ぎやしないだろうか?


「・・・お前さんも大変だな。」


「慣れたわ。」


あれ?俺に向かって言ってるんじゃないの?

どうしてマリッサの方を見てるの?マリッサに言ってるの?何故Why???


なんかアーディが笑いを堪えていたので、その脇腹を突いて悶絶させてやった。

ちょっと強過ぎたみたいだが、まぁ良い薬である。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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