表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/430

とりあえずの決着

俺は、少し狭くなった喉の近くらしき場所に引っ掛かっていた。


危ねぇ!!もうちょっとで飲まれる所だった。

安心してばかりもいられない。装備が入れ替わっているのだ。

そう、スイバとクロキシはリーフレッドの装備である。

今の俺は生身だった。


完全に口が閉じられて真っ暗なので、何も見えない。

しかし、すぐに対処できたので、まだ飲み込まれてはいない。

だから、慌てるような状況ではない筈だ。落ち着け、俺。


武器については失念していたが、防具に関してはこうなると分かっていたので、しっかりと呼吸を何度も繰り返して、血液中の酸素濃度を上げてあるし、肺にもしっかり空気を入れてある。

しばらくは持つ筈だ。


まぁ、流されたときに少し吐き出してしまった訳だが。


スキル:銀光の加護(ホーリーベイル)


スキル:森羅の守護(レジストシールド)


まず、補助魔法を自分に掛ける。淡い光が身を包み、周囲が見えるようになる。

そう、イボイボとか、ヒダヒダとか、見えなくても良いものまで見えるようになってしまったのだ。


・・・キメェェェエエエエエエエ!!!!!


いや、マジで気持ち悪い。早く脱出しないと。


スキル:水の槍(ウォータージャベリン)!!!


さて、俺が女性キャラを使うに抵抗があるにもかかわらず、この補助キャラ(クランベール)のレベルがメインよりも高いのには理由がある。

補助魔法が使えて、PT(パーティー)に入れてもらえることはもちろんだが、


ゴゴゴゴゴゴォォォォオオオオ・・・


単純に、強いのだ。

水中故に、その攻撃はよく分からないが、威力がある事だけは分かる。

何しろ、すさまじい水流で、めちゃくちゃに掻き回されているのだ。

そして、シーサーペントも暴れまくっている。

もう、どっちが上でどっちが下なのかもわからない。


あ、引っかかってた杖が抜けた。


やばい、と思った瞬間、景色が変わる。

もがくシーサーペント。やさしい光が揺らめく水面。

コポコポと立ち昇る気泡。壮大な海底の渓谷。

そう、俺はようやく、異物として吐き出されたのだった。


CC(キャラチェンジ)大剣キャラ(リーフレッド)


プハァっ!!!・・ケホッ、ケホッケホッ!!


あれま。どうやら、少し海水を飲んでいたらしい。

ヘルメット内に水が吐き出される。ちょ、ばっちぃ!

すげー鼻の奥が痛い。


おや、他にシーサーペントはいない。

巣から離れたのか?どうやら単独のようだ。

周囲に赤黒い血液らしきものを撒き散らしている事から、それなりにダメージを与えられたらしい事は分かる。

倒すなら今だ。


「・・・・・・。」


が、届かなかった。

ここから遠距離攻撃・・・はかわされるだけだろうな。


浮上の為に剣をアイテムボックスに入れ、泳ぐ。

うん、動きに急激な変化を付けるのは厳しいが、真っ直ぐ泳ぐだけなら、シーサーペントにも負けないかもしれない。


「うぉ?!」


距離が近くなったら攻撃しに向かって来た。って、当たり前か。

即座に大剣を取り出した。剣のひらで水を叩く事で、方向をコントロールする。

おし、しっかりかわせた。お礼をしないとな。


「てい!」


ムルッ。


斬れたけど・・変な感触だった。

並みの剣なら滑っていたかもしれない。だが、手ごたえありだ。

途端に、俺に背を向ける。・・・逃がすかよっ!


俺が剣の重みで沈み掛けてたせいか、シーサーペントは海面へと浮上していく。

好都合だ。何しろ、空気には残量がある。


「待てやぁああああ!」


感覚は掴めた、次はスキルを叩き込んでやる。

そう思ったのに、肝心の相手が逃げの一手ではどうしようもない。

それでも、海上に出さえすれば、俺のターン!・・と思ったのに・・。


「潜るのかよ!」


何を考えてるのか分からない。いや、何も考えてないのかもしれない。

挙動がおかしいので、脳の方にダメージが行ってるのか?

追い付いては攻撃を仕掛けるが、もう向こうに戦意は残っていないみたいだ。

少し可哀想な気もするが、生かしておいて良い事は無いだろう。

頭を落としてやれとばかりに、後頭部をえぐるように斬撃を入れること数回。

内側からの攻撃分もあり、足場のしっかりした場所で剣を振り下ろせば、簡単に頭が落とせそうなくらいにはダメージが入っている。


血を流し過ぎたのか、痙攣し、動きが鈍くなり、やがて抵抗をしなくなった。

何がすごいって、まだ生きてるんだよな、こいつ。

人間なら致命傷のレベルだが、すげー。


俺は、とりあえず浮上する。


えーっと・・船は・・・ってあれか!

狼煙のろしを焚いてくれているが、船上の人まで肉眼で充分確認できる。

船があっちを向いてるって事は、巣はあっちの方だから・・・・・。

かなりの距離を移動したみたいだな。


おや?ボート?

誰かが乗ってるな。


こっちに向かって来る。

どうも、俺を発見したらしい。


お迎え?そんな段取りでは無かった筈だが・・・。


「お疲れ!倒せたか?」


音の魔道具を使って通信してくる。・・は良いんだが、誰だこいつ。

手伝いに来てくれた鬼族の商人達のようだが、迎えに来てもらうような間柄ではない。


「1匹倒したが、まだいる。討伐対象には遭遇していない。」


そう、今回のターゲットはシーサーペントではないのだ。


「そうか。これを大アナゴに取り付けてくれ。」


渡されたのは、綱引きに使うような太いロープだ。


「大アナゴ???」


「ああ、こっちではシーサーペントって言うんだっけ?

焼いたり炊いたりして食うと最高にうまいんだ。ちゃんと買い取るぞ。」


シーサーペントの正体はアナゴだったのです。


マジかよ!


俺は、確かに巨大な魚類であるシーサーペントが、ゆっくりをのたくり(・・・・)ながら浮上して来るのを見下ろしながら、ロープを手に取るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ