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大丈夫か?問題だらけだが・・

夜の帳が下りた町は、昼の喧騒が嘘みたいに静かなものである。

まだ人の通行はあるものの、「これから一杯」という人以外は、家や宿に引っ込んでいる時間だ。

その為、夕方と打って変わって、ギルドは空いていた。


「おう、来たか!」


待ってましたとばかりに、アイテムの売却を強請せがまれた。

いや、違うだろ。まずは船の件だろ。


話を進める為に、アイテムを取り出して売却する。

買取数も多くなってきたので、金額も相当なものだ。

クラン金庫に預けておこう。


この調子で換金していくと、アイテムが無くなってしまうな。

あと、金を使わずに仕舞っておくのは経済にも悪いって聞いた事がある。

あまり換金しない方がいいのかな?


「何を言ってる!富裕層の連中の金を引き出して、経済が潤っている、というのが現状だ。

ギルドの儲けはちゃんと使われているし、お前さんが溜め込んだところで、今まで使われていなかった金だ。問題無い。

だから、売るのをやめるとか言わないでくれ!後生だから!」


あ、うん。問題無いならいいんだ。

さて、本題に入ろうか。


「明日、早朝に港を出発して、昼から予行演習開始。折を見て引き返す、と。船は・・・」


普通にあっさりと打ち合わせが終わる。

いや、口を挟まずに説明を聞いてるだけだった俺が言うのも何だが、もっと色々あるだろ。


「もっと色々・・というと?」


俺からは何も無いけどさ!

ふむ、とギルマスのおっさんが考える仕草をする。

本当に何も無いならいいんだよ。ただ、呆気無かったなぁ~って思ってさ。


「この件、例の組織が関与している可能性がある。討伐を妨害してくる恐れがある。」


な、なんだってーっ。

いきなり爆弾を投下してきたギルマスに、視線で講義する。

そういう情報はもっと早く教えてくれるべきだと思うんだ。


あくまで可能性?不透明過ぎて、確実な事が言えない?関係ないだろ!


で?他にも何か隠してんじゃないだろうな?


「・・・お前さんの受けた討伐依頼に、ある冒険者が加わる事になった。」


さっきの話を聞いた後だと、怪しさ爆発してんじゃん!刺客だったりしないよな?

組織とは無関係?どういう事情で同行するんだ?機密だから言えない?何じゃそりゃー!


「あと、謹慎中の国境警備隊が同行する。」


国境警備隊??まさか・・・あの弓だけ放って何も成果を挙げずにに戻って来た・・・?

謹慎中って何?成果を挙げられなかったせいで謹慎中なの?

その人達が加わって、成果を横取りされない保障はあるの・・・・?


「ギルドから人員を派遣し、ちゃんと記帳させる。

人員は未公開で複数いるから、買収される恐れも無い。」


嫌な予感しかしないが、頼むよ。

掘り返してみたら地雷原だったレベルで、酷い内容なんだが、他に隠してる事は無いよな?

本当か?本当に無いんだな?あったら、怒るよ?


「今言うべき内容でもないし、伝えてどうなる訳でもない案件はある。

しかし、知らなかったからと言って、お前さんが不利になるような事じゃない。

悪いようにはしないから、勘弁してくれ。」


・・・・さいですか。


そんな感じで、しっかりと打ち合わせをできた。

今になってアルコールが回ってきた気がするが、ちゃんとできた筈だ。

こういう話になると、早回しのようにザックリと話が進んでいくのは仕様だ。

だって、説明回って退屈だろ?少ない方がいいじゃん!(黙れ)


で、だ。


「臭い。お酒臭い。香水臭い。メス臭い。・・・獣臭くない。」


いつもお茶を淹れてくれるお姉さんの変わりに出てきた獣人のおねーさん。

いきなり失礼なんだが、この人は一体?


お茶もなんか・・色水じゃねーの?これ。無味無臭に近い。


「お前と同行するギルド員だ。隠れる事が苦手だが、腕は確かだ。

表向きは、派遣するギルド員はコイツ1人という事になっている。」


「ティティ。逃げ隠れするのは好きじゃない。」


自己紹介、なのかな?

お茶菓子もこの間の骨せんべいなんだけど。獣人用じゃねーか。

・・・・・出されたので噛んでみたが、歯が立たないし、味もしない。

思い切り噛み潰せば、いけそうな気はするんだけど・・・。


「俺はリーフレッド。今回、討伐の依頼を受けることになった。」


「知ってる。」


・・・・・。

バキッ、ガリッ、ゴリ、ゴリ・・・・・。


あ、これ食いモンじゃねーわ。

砂としか思えない舌触りに、思わず顔をしかめる。

カルシウムだと自分に言い聞かせて限界まで噛み砕き、飲み込んだ。

若干香ばしい気はするが、口の中がザリザリする。喉が砂っぽい。2口目は無理だ。


「・・・・・なんだ、これ。」


よく見たら、ギルマスの茶菓子は別の入れ物に置いてある。

・・・要するにこれ、ヒューマンに食わせる代物じゃないって事だよな?


「モチトンの骨せんべいだが・・・・・。いや、その・・・すまなかった。」


やっぱりこの間のやつか。種族が変わるだけで、ずいぶんと感覚も変わるようだ。

俺の表情を見たギルマスが謝って、菓子を交換してくれた。

いや、この謎の茶も交換させろ。

口に残った骨せんべいの残骸を、色水茶で洗い流すように飲み込む。


骨の香ばしさと、癖の無いお茶のコラボ・・・・・。

いや、別に何かの相乗効果があって美味しくなったとか、そういう事は無い。

全く期待が無かったかと言うと、そうでもないが、味のしない物同士を足しても、美味しくなる筈が無いのだ。


まぁ、クソ不味いよりは遥かにマシだが。


「まぁ、そんな訳で、ティティの事は頼んだぞ。」


・・・・・What’s?

意味を飲み込めずに俺が見上げると、ティティが片手を挙げた。


「よろしく。」


いや、だから、どゆこと?

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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