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蜂蜜酒造りを依頼する

ロニーニャさんは、ガラスの容器ではかっては教会で売ってる壷の小さいやつに入れていた。

何故壷なのか?というと、これから薄めるので、魔法効果が逃げ出さないように、との事。


「薄める?」


「ええ、これからダリエさんにお願いをして、蜂蜜酒を造ってもらおうと思っています。」


恐れ多いとか言ってなかったっけ?

ダリエってのは、マリッサの爺さんの筈だ。蜂蜜酒造りが上手いんだっけ。


ロニーニャさんが頼むなら、俺も一緒に頼むとしよう。

その方が目立たなそうだし。


「ところで、貴方の部屋に聖女様がいらっしゃるという話を聞きましたが、私も会えたりしませんか・・・?」


聖女???何だそれ?!

・・・・・あーー。心当たりは無いでもないが、またアーディか?・・・アーディだろうな。


「その情報はどこから・・?」


「・・・吟遊詩人さんが歌っていましたね。」


間違いなくアーディだな。

その言い方だと、大きな町ならともかく、このコランダで誤魔化すのは厳しいと思うぞ。


「えーと、その話は聞かなかった事にしてもらう・・のは難しいだろうなぁ。

えー・・、えーと・・。会うのは無理ですね・・・。」


聞かなかった事にってのは、アーディがどれだけの人の前で歌ったかにもよるが、手遅れだろう。

どんな歌を歌ったのかは、また後で問い詰めるとしよう。


「もちろん、こうした情報をむやみに広めるような事はしません。私の耳には入らなかった、それで済みます。

腕利きの冒険者さんからの信頼を失うのは怖いですからね。

しかし、一目でいいので聖女様にはお会いしたいのです。」


聖女なんていねーよ!


「勘弁してください・・・。」


雑談をしながら、24本分の蜂蜜を取引した。つまり、これだけで240,000D。

武器防具を買わずに生きていくだけなら、しばらく生活していけるだけの金額である。

それが、元手がほとんど無料の2L入る大きなペットボトル2本文程度の液体を売って手に入れられるのだから、罪悪感さえ感じてしまうくらいだ。

まだかなりあるんだが・・・。


部屋を出て、1Fに向かう。

途中、アーディの部屋の前を通りかかったが、人の気配は無く、代わりに1F(した)から賑やかな声が聞こえてくる。

またあいつ、何かやってそうだな。

聖女についてははぐらかしつつ、食堂に行くと、子供たちで賑わっていた。

そして、ダリエが腕を組んで待っていた。


マリッサの爺(ダリエ)さんとロニーニャさんが、何やら話をしている。

どうも、超聖・蜂蜜と聖水を原料に、酒を作りたいみたいだな。

で、コランダの水ではなく、聖水を使う事にマリッサの爺(ダリエ)さんが難色を示しているようだ。


「そして、鍵穴の向こうには、町で見た事の無い女性の姿。

驚いてドアを開けるが、そこには客の男が立っているだけであった。

謎の女性は一体、どこから来たのか・・・。


♪む~か~し~ サルトルドの聖女さまが~・・・」


アーディが、ある宿の部屋に現れる女の影について何やら語っていた。

怪しい男が一人で宿泊し、その日から女の影がチラつくものの、姿を見た者はいない、というような話であった。

女の声を聞いたり、鍵穴から女の姿を見たりして、宿の主人や客がドアを開くと、何故か怪しい男がいるだけで、女はどこにもいないという。

怪しい男って俺じゃねーか!


面白おかしく語った後、歌い出す。

その歌は、消えた聖女の行方を捜す歌であった。

あそこにもいない、ここにもいない、どこに行ったんだろう?という、それだけの歌だったが。


「その流れて歌うと、いらん誤解をされるだろうが!」


ゴン。


「いてぇ!・・・あ。リフレじゃねーか。起きてたんだな!」


少なくとも、コランダに来てからお前より遅くに起きた事はねーよ!


アーディを問い正すと、孤児達の話を聞いたロニーニャさんが「聖女様」と言い出したのであって、アーディが言い出した事ではないらしい。

そのロニーニャさんは吟遊詩人の歌で聞いたって言ってたんだけどねぇ???


と、ロニーニャさんの交渉が終わったみたいなので、俺もマリッサの爺(ダリエ)さんの所に行く。

壷を取り出すと、マリッサの爺(ダリエ)さんがうんざりした顔をした。


「お前まで『聖水で神聖・蜂蜜酒を作ってくれ』なんて言い出すんじゃないだろうな?」


「いや、コランダの水で蜂蜜酒を造って欲しい。」


俺が言うと、ロニーニャさんの時とは打って変わって、機嫌の良さそうな笑顔を見せた。


「お前・・わかってるじゃないか。」


だが、取り出した壷を見て苦い顔になる。同じような壷だし、中身も同じだからな。

でも俺は関係者じゃないよ!


「他に入れ物もないし・・どうせなら教会の壷の効果も知りたくて・・。」


「だが、これ・・中身はちみつが余るぞ?どこかに移した方がいいんじゃないか?

この壷だと・・酒にした場合、4つか5つ分くらいの蜂蜜が残ってるぞ。」


ふむ。思ったよりもかなり薄めるみたいだな。

ロニーニャさん、ちゃんと水と蜂蜜の割合を計算して、蜂蜜が壷の4分の1程度になるようにして渡したようだ。

なるほど・・・。うーん、移すだけの容器なぁ・・・。


「お貸しします!ものすごく沢山あるので!今持って来ますね!」


横から見ていたロニーニャさんが貸してくれるそうだ。

しばらくすると、自警団の男性を捕まえて運ぶのを手伝ってもらった上に、聖水まで持って戻って来た。

やっぱり壷か!沢山あるっつってたしね。

・・・変な借りになってないよね?あと聖水はいらない。


「神聖・蜂蜜にしないんですか?!」


あんたと同じの造ってどうすんだよ?

興味が無いでもないが、とりあえず普通に造ってもらおうと思う。

まぁ・・蜂蜜が普通じゃないわけだが。


「好きに造っていいんだな?」


もちろん、プロが一番旨いと思うやり方でやってもらいたい。


そう伝えると、マリッサの爺(ダリエ)さんは、何故か嬉しそうに拳を握り、指をミシミシと鳴らすのであった。

・・・怖いよ。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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