聖・蜂蜜
せっかくCCしたので、ユニコーンっぽい生物に野菜を与える。
羊と比べて食うのめっちゃ早いので、一瞬で食い尽くされた。
外でその辺の草を食わせたほうが良かったんだろうが、あんまり外に出したいキャラじゃないんだよな。
ペットの方ではなく、キャラの方ね。
はいはい、ブラッシングね。・・噛まれた。
さっさと送還する。
そうこうしているうちに、ゲーム時代から掛けてあった補助魔法が切れ、体を包んでいた光が消える。
そう、この世界に来てから使ったスキルではなく、ゲームで使われたスキルの効果が切れたのだ。
ゲームとの繋がりを考えさせられるな。
もし、VRがもっと世間一般に広まっていたなら、ゲームの世界そのものだと勘違いしていたかもしれない。
だが、残念ながらVRは広まってきているものの、一般的とは言えないレベルだ。
VRを利用したゲームなど、話ばかりは聞いた事があるが、一般的にプレイできるなんて話は聞いた事が無い。
ましてや、この世界と関係のあるTFF(トリニティー フィールド オブ ファンタジア)は、どちらかと言うと時代遅れなMMORPGである。
急にVR化する事も無ければ、家にそんな器具も無いし、ましてやテストプレイヤーに選ばれる要素もまるで無い。
閑話休題。
さて、物は試しである。
この回復系の魔法が町でも使えるスキルで良かった・・と思いつつ、スキルを使う。
スキル:浄化
・・・・・。
見た目は変わらない。アイテムボックスに入れてみる。
アイテムボックス内では、簡単な説明文が見れたりするからな。
[蜂蜜]浄化された蜂蜜。栄養満点。
さっきまでは[蜂蜜]甘い。栄養満点。だったので、ちょっと変化したようだ。
再び取り出して、何度かスキル:浄化を使う。
[蜂蜜]浄化された蜂蜜。栄養満点。
[蜂蜜]浄化された蜂蜜。体の中まで浄化されそうな気がする。栄養満点。
[蜂蜜]浄化された蜂蜜。聖なる息吹を感じる。栄養満点。
[蜂蜜]浄化された蜂蜜。浄化が閉じ込めてある。栄養満点。
[聖・蜂蜜]聖なる蜂蜜。栄養満点。
うーむ、徐々に変化して面白かったが、これ以上変化しないようだ。
何回やったか分からないが、10回くらいごとに変化したかな?
まぁ、他のキャラに比べてMP回復量がものすごいから、少し休むだけでどんどん回復する。
低レベルならともかく、大した負担にはならないな。
それにしても、聖なる蜂蜜ってなんだよ。これじゃぁ成功したかどうかわからねーよ。
仕方がないので、CCして聖・蜂蜜を仕舞い、もう1つ壷を取り出す。
再びクランベールに戻り、今度はスキル:回復を試みる。
[蜂蜜]活性化した蜂蜜。栄養満点。
[蜂蜜]活性化した蜂蜜。体の中まで活性化しそうな気がする。栄養満点。
[蜂蜜]活性化した蜂蜜。湧き上がるエネルギーを感じる。栄養満点。
[蜂蜜]活性化した蜂蜜。活性化が閉じ込めてある。栄養満点。
[超・蜂蜜]ものすごい蜂蜜。栄養満点。
なるほど、ヒールだと効果が違うみたいだな。
だから、ものすごい蜂蜜って何なんだよ!!!!!
わからないんじゃ、説明の意味が無いだろ!
これに浄化を加えたらどうなるだろうか?と思ったのでやってみる。
[超・蜂蜜]浄化されたものすごい蜂蜜。栄養満点。
[超・蜂蜜]浄化されたものすごい蜂蜜。体の中まで浄化されそうな気がする。栄養満点。
[超・蜂蜜]浄化されたものすごい蜂蜜。聖なる息吹を感じる。栄養満点。
[超・蜂蜜]浄化されたものすごい蜂蜜。浄化が閉じ込めてある。栄養満点。
[超聖・蜂蜜]人知を超えた、聖なる蜂蜜。栄養満点。
人知を超えちゃったよ?!
超聖蜂蜜って何だよ。調整豆乳かよ。
とりあえず、試食でもしてみるべきなんだろうか?
でも、別に状態以上に掛かってる訳でもダメージを受けてる訳でもないしなぁ。
そう思いながら蓋を開けると、蜂蜜が光り輝いていた。
マジで人知を超えちゃってたよ?!
蓋を閉じる。
これ・・・どうしよう?
ちょっと前から扉の外が騒がしい。
どうやら、家族連れの商人とアーディが個々の部屋に戻って来たようだ。
俺の部屋の前で何か喋ってるっぽい?何やってるんだ?
ガチャガチャされたが、鍵は掛けたし、問題はない・・・はず。
「おねーちゃんがいる!ちらないおねーちゃん!」
おいぃぃ?!
何?透視能力でもあんの?ドアスコープなんて付いてたっけ?
慌てて隠れ、CCしてリーフレッドに戻り、ドアを開ける。
・・・・・・。
どうやら、鍵穴を覗くと中の様子が見えるみたいだ。
マジかよ。完全なプライベートスペースだと思ってたのに!
「女を連れ込んでるのか?」
「連れ込んでねーよ!」
子供の前で何て事を言いやがる?!と思い、咄嗟に否定したが、後々の事を考えると、そう誤解させておいた方が良かったと思う。
「ひとさらい?」
「違うわ!」
部屋の中を覗くので、見せてやる。疚しい事は何も無いからな!
部屋はそう広くない。ドアを開けてしまえば、意図的に隠れないと死角になる場所など、ほんの僅かだ。
やがて、納得したように俺の顔を見て言った。
「じょそうしゅみ!」
「んな訳あるか!!!」
意味が分からなかったらしいアーディ。
しばしの間を置いて変換が追い付く。
「女装・・?」
「しねぇよ?!」
そこの夫婦、ひそひそするな。
似たようなもんだけど、違うから!誤解だから!




