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戦闘と解体と

手汗を拭いて両手で大剣を握る。

ハイランドグリズンが怯んだのは、ほんの僅かな時間だった。

怒りに任せ、上体ごと腕を振りかぶって、凄まじい勢いで振り下ろしてくる。


そんな大振りな攻撃が、このAGL(アジリティ)(敏捷性)差で当たる訳がないだろう?


ゴォッ!


凄まじい風圧と共に、地面に窪みができる。

さすがに、あれに当たったらいいダメージもらうだろうなぁ。


だが、そんな高威力攻撃の後は、必ず隙ができる。

折角のチャンスだ、もらっておこう!


スキル:斬首きりくび


ハイランドグリズンがしたように、大きく振りかぶり、渾身の力を込めて振り下ろす。

このスキル名、偽りが無いのなら通る筈だ。いや、通してみせる。


「てぇえええ(いけぇえええ)!」


ザスッ!


鈍い音と共に、その首が宙を舞った。

スキル硬直の間に返り血を浴びるかと思ったが、真上に血が飛んだのと、思った程の勢いが無かったのとで、まったく汚れなかった。


・・・・・。


それで綺麗に終わらせてくれれば良かったんだが、すぐに別のハイランドベアに遭遇した。

熊って群れたっけ???こいつら、モンスターポイポイか?


結局、計3体のハイランドベアと、1対のハイランドグリズンを討伐した。


「・・・すまなかった、助かった!」


礼を言うところが謝罪になるあたり、やましい気持ちはあったようだ。

男性の方は、かなり落ち着いたみたいだ。


「ありがとう・・死ぬかと思ったわ・・。これで終わりだと・・。」


女性も口を聞けるまでに回復している。

それより、スザクはただの鶏なので、そんなにきつく抱きしめないでやってもらえませんかね?

熊に抱きしめられた人間みたいな状態になってるんですけど。

死ぬかと思ってるのはスザクの方だから。あ、本気でヤバイ。グッタリしてきてる。


スザクを取り返し、男性にフォローに当たらせる。

ほら、背中をさすってやるとか、肩を貸してやるとか、色々あるだろ?

隣に座って、一緒になって地面を眺めてるだけじゃフォローになんねぇんだよ!


スザクは大丈夫か?

おっ・・・前より少し丈夫になったんじゃないか?

うん、少しな。多分。おそらく。


意地悪をする訳ではないが、2人に話を聞いてみよう。


「どうしてこんな所に?」


顔を見合わせるな。押し付け合うな。

片方がちょっと作り話をして、もう片方がなんとなく話を合わせればそれでいいだろ。


「仕事で・・・。」


素直か!

そして、そこで喋り終えたみたいに話を切るな。続けづらいだろ。


回復したスザクが、ハイランドベア達を攻撃している。

相手は既に死んでいるんだが、戦っているつもりなんだろうか?・・・・・和む。


「あっ、貴方はどうしてこちらに?」


コミュニケーション方面では女性の方が上手うわてだな。

俺は暗黒洞窟の方向を背に向けているので、親指で指し示す。


「ちょっと資金の調達に。最近、入用なものですから。」


「・・・ちょっと?」


ああ、普通の速度では馬車で数日の距離か。

いや、難易度の事を言っているのかもしれない。

100レベルで伝説級だっけ?暗黒洞窟の適正レベルは150~180だ。

1匹倒すのもレイド状態になるのだろう。


そういう意味では、ここら適正レベル60~80の高原フィールドは難易度高めなのではないだろうか。

よくここまで付いて来たな。


「俺はこれから町の方に向かうのですが、2人はどうしますか?方向が一緒なら送りますけど。」


ここで、サヨナラしてもいいんだが、途中でまたモンスターに襲われでもしたらと思うと、迂闊に放っぽり出せない。

ゲームと比べてエンカウント率の低いこの世界で、あれだけのモンスターに囲まれるんだから、こいつら、運が悪いに違いない。


「あ、俺達は」


「いいの?お願いするわ!」


男性は職務の事を考えたのか、断ろうとしたっぽいが、女性の方が乗ってきた。

命には替えられないからな。


とりあえず、ハイランドグリズンをアイテムボックスに入れる。

こういう大きいアイテムがきついんだよなぁ。

あとハイランドベアが3匹。丸ごとは入らない。


頭を悩ませていると、


「解体したらどうかしら?それくらい待つわよ。」


と女性に提案される。

簡単に言ってくれるけど、時間が掛かるし、俺は解体なんぞできない。


「恥ずかしながら、解体ができないんですよ。」


虫じゃないので、肉だと思えばグロテスクなのはいけるかもしれないが、毛皮の扱いがわからない。

俺がやったら傷だらけの毛皮か、肉が大量にこびり付いた毛皮ができると思われる。


「あら、助けてもらったお礼に手伝うわよ。荷物も少しなら持てるわ。ねぇ?」


「ああ、ああ。そうだな。うん。手伝おう。」


ラッキー、と思えばいいのか?

結局、2人が解体をしてくれる事になった。

めちゃくちゃ手際が良くて吃驚びっくりした。そりゃ解体を勧めるわ。

逆に2人は俺の手際の悪さに吃驚びっくりしてた。


解体の途中でハイランドウルフの群れに襲われ、俺は護衛に専念したのだが、俺が手伝わない方が解体は速かったな。

アイテムボックスに入れたハイランドグリズンも解体してもらおうと思ったら、アイテムボックスに入るなら持ち帰ったらと提案された。

血抜きだけしたのだが、おかげで少し軽くなった。


解体して細かくされたハイランドベアの素材は、サブ鯖のリーフレッドにCC(キャラチェンジ)することでほとんど持てた。骨はほぼすべて、内臓も廃棄したしな。

ハイランドグリズンが丸ごと入った上での容量なので2人に驚かれたが、怪しまれてないといいなぁ。

大丈夫、蜂蜜が無かったらそれくらいは持てる。


ハイランドウルフの素材も、骨と内臓は全て、肉も一部を残して破棄するしかなかった。

できれば深く埋めたい?任せろ、穴掘りは得意だ。

骨は売れないし、肉は一部の好事家に人気があるものの、そんなに売れる素材ではないらしい。

不味いというわけではないが、安価だそうだ。毛皮の方が軽くて高価なのだから仕方が無い。


「さて、帰るか。」


あたりはすっかり暗くなっていた。そして2人の表情もだ。


「そんなに持って戦闘できるのか?」


アイテムボックスに入りきらなかった物は持って帰る。

いざとなったら投げ捨てるから大丈夫だと言えば勿体無いと言う。

2人が持つと、遅くていつになったら町に着くか分からない。

かといって、俺が荷物を持つと不安なようだし、どうすりゃいいって言うんだよ。

※資金調達に対する「・・・ちょっと?」は、距離や難易度はもちろんですが、獲得アイテムが高価だからです。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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