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隠密行動に向かない人

外に飛び出した瞬間、街灯の陰に隠れていた奴が逃げ出す。

お前・・分かり易いにも程があるだろ。即座に捕まえる。

暴れたので無効化。・・・あ?今すごい音が・・・死んだらまずいので回復薬を進呈。

気絶から回復してしまったので、再度、無効化。

手加減は練習あるのみ、だな。


次に壁の隙間にいた奴だ。

俺が街灯の男の方に向かった瞬間、すっと逃げ出したあたり、街灯の男は囮だったのだろう。

無効化して宿に運んでいたら、地面から子供が飛び出してきた。

そこに居ると知らなかったら、一撃食らっていたかもしれん。


尾行が素人で、潜んでいる事が丸分かりの、あの保護者達がいたからこそ知っていた、ものすごく狭そうな水路の蓋の下。

というか、実際、かなり狭いので、「よくこんな場所に入り込めるな」と感心したものだ。

向こうも「ここならバレない」と油断してそうだし、簡単には逃げ出せないので後回しにしたんだが、まさか飛び出して来るとはなぁ。


カウンター足払いを入れてから気付く。

もう1人いる・・・。こっちは必死に身を縮めて隠れている。

同時に飛び出せば逃げ切れたかもしれ・・無理だな。

ともかく、相方が蓋を跳ね上げて飛び出したんじゃ、隠れ続けるのは無理があるだろ。

ってか、バレてないかも知れないのに飛び出してきた奴、何を考えてるんだ?作戦が破綻しているだろ。


宿やオッサン手持ちのロープを使って、全員を捕縛。

その間に、別のオッサンがギルドに報告に走った。

連れて行く途中で襲われたり、逃げられたりするリスクを軽減する為だそうだ。


ギルドから派遣されてきた職員と、衛兵を伴い、かなりの大所帯でギルドに向かった。

後は、ギルドの方で事情聴取を行うようだ。

前に捕まえた奴らも、この件で拘留期間を引き延ばせるそうだ。


だが、これで終わり!というわけにはいかない。

だって、マリッサがまだ捕まったままだ。


「殺されてないといいんだが・・。」


オッサンらがものすごく心配している。

この数日で、かなり親しくなったようだ。

やはり職人ってやつは、ものづくりで心が通じ合うんだなぁ。


「あの嬢ちゃん、人を怒らせるは達人級だからなぁ。」


「俺も何度か槌を振り下ろすところだった。」


通じ合ってなかった!

ってか、俺までマリッサが誘拐した奴らを怒らせて殺されるのを想像してしまった。

ど、ど、ど、どうしよう?!


どうするも、こうするも無い。

カーッとなった時こそ冷静に、だ。心を冷やせ。

俺は場所に心当たりがある。行くに決まってるだろ。


俺は、取調べの結果を待つらしいドワーフのオッサンをその場に残し、あの裏通りの奥の広場へと向かった。



・・・・・。


暗がりにそっと潜んで様子を見る。

例の広場に人はいるが、ここがアジトというわけではないようだ。

まぁ普通に考えてアジトって言えば室内だろうし、アジトを探りに来た(と向こうが勝手に勘違いをした)相手に、アジトの場所を案内してやる真似はしないだろうな。


「何者だ?」


おおう?いつの間に囲まれてたんだ?

って、この間も似たような展開だったな。

見覚えのある顔のヤツもいる。


「仲間がこの辺りにいるかもしれないと聞いて探しに来た。ペットも一緒なんだが、知らないか?」


すっとぼけて聞いてみる。

こいつらの人数、そして面子めんつから察するに、見張りみたいな役割なんだろう。

組織に関係ない奴が紛れ込んできたら発見する、といった感じじゃないだろうか。


「仲間ってのは女か?」


「ああ、コッコ鳥を連れている。」


敵対せずに済むなら、それに越した事はない。

どう転ぶか分からないが、ニャンコロノフと別口を装うのがいいだろう。

ニャンコロノフは・・もう、怪しい人物って事でいいや。普段、使わないし。

俺は、ニャンコロノフに「ここら辺に仲間がいるかも」と吹き込まれたというていで行く。

そんな設定を使う場面があるかどうかは謎だが。


「どこでその話を?」


「誘拐の話は宿に来た奴に聞いた。場所は、知り合ったばかりの奴に聞いた。」


同じような事が日常的に起きているとは思えないし、他人を間違えて誘拐するぐらい大きな動きになっているなら、「宿」と言った時点で俺が「リフレ」だと分かるだろう。

分からなかったとしても、さして問題はあるまい。


「なるほど。確かにそんな女をこの辺りで見たが、もうここにはいないよ。」


こいつ・・。

情報を小出しにして、こっちの反応を窺っているんじゃないか?

俺の応対次第でテキトーな事を言って追い返す気だな。


「いつだ?どこで見た?どんな格好をしてた?誰か一緒にいたか?」


あくまで俺は“コイツを誘拐犯の仲間だと知らない、言われるがままにマリッサを探しに来た男”である。

適当な事を答えられるかもしれないが、情報を受け取るよりも、俺の(誤った)情報を受け取らせる方が重要だ。


「そうだな・・見掛けたのは夕暮れ後だ。髪の赤いドワーフの女で、地味な格好をして、頭にコッコ鳥を乗せていたよ。とても誘拐されているようには見えなかったな。」


とぼける気か・・?と思ったが「とても誘拐されているようには見えなかった」のタイミングで男の顔にわずかに苦笑が浮かんだのが見えた。

嘘は言っていない(・・・・・・・・)というやつだろう。


「めちゃくちゃ悪態でもきまくっていたか?」


俺が言うと、男は表情を変えるのを耐えるように額に皺を刻みながら視線を逸らした。

誘拐されても、マリッサは通常運転らしい。・・・これって安心できる要素ではないよな?

カーッとなった時こそ冷静に、だ(キリッ)。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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