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俺の宿?!

翌朝。いつものように身綺麗にしている間、何やらカウンターの奥の壁に取り付け工事のような事が行われていた。

そういえば、昨日の夜、邪魔にならないところに布の被せた板のようなものが置いてあったな、と思いつつ、席に座る。


うん?メニューが新しくなっている。

期待したが、新メニューがあるわけではなかった。

ただ、変なマークが付いている。何ぞこれ。


朝飯を頼んで、水で口の中を湿らせながらぼんやりしていると、取り付けられた板から布が外された。


[旅人、リフレが我が宿に伝えたレシピ。

 彼は、本当の味を教えてくれた。]


「ぶふぅっ?!」


しばらくすると、店主が「いい仕事しただろう?」みたいな顔をして直々に朝食を持ってきてくれたので、盛大にツッコミを入れた。


板に気付いたスザクが走り寄っていく。

お前、読めないだろ。まさか、読めるのか?

・・・・・んなわきゃ無い。

横にイラストがあって、男の頭の上に鶏もとい、コッコ鳥が乗ったデザインだ。

それに反応したんだと思う。はいはい、それ間違いなくお前だよ。良かったな。

このメニューにある謎のマークって、このイラストを小さくしたデザインか!


それより何なんだよこれ?おかしいだろ?

~リフレ風~は無くした?本当だ、メニューには俺の名前が載ってない。

いや、確かに「メニューに俺の名前を載せるな」っつったけどさ・・そういう意味じゃなくてだね。


「だいたい、最近ウチは『リフレの宿』って呼ばれてるしなぁ。」


なんだ、その衝撃の事実は。

俺の宿みたいになってんじゃねーか。どういうことだ。


「元々の名称は?」


「『大衆食堂』だが。」


ああー。・・・・って納得してる場合じゃねぇ。

元々、量の多いこの宿は、食堂としてそこそこの人気があったようだ。(一部のメニューを除く。)

で、最近『スイバ -試作型』の関係で、俺やマリッサの事が職人さんたちの間で話題になっているというのだ。

で、職人さんの1人がマリッサに「マリッサの(泊まっている)宿では・・」と口にしたところ、マリッサが憤慨。

「私の宿はコランダなのよ!こんな油まみれの肉を客に食わせる店じゃないわ!」と・・いや、すまん。

で、いつの間にか「リフレの宿」に定着しつつあるということだ。


この町には宿も食堂も多く、同じ町の職人さんとて、全ての飯屋・宿屋を網羅しているわけではない。

「じゃぁまた後で『大衆食堂』でな。」っつっても、他の食堂と勘違いして集合してしまったりするわけだ。

そりゃ、都合が良かったのは分かるけどさ・・・。

元々の名前からどうにかならなかったのか?


「ウチは沢山の人に安く腹いっぱい食ってもらうって店だ。洒落た名称なんぞいらないと思ったんだよ。」


なるほどな。そういうコンセプトも大事だと思うけど、そういう意識のせいで、味の悪い料理も改善できなかったんじゃないのか?

安いからいいや、ウチはそういう店だし・・って。

看板を掲げるってのはそういう事だと思うけどなぁ。


そんな話をしたら、店主のオッサンがハッとした顔をしていた。


「確かに・・。『どこそこの方が美味うまい』と言われても、そっちの方が高ければ、『そりゃー金掛けてるんだから美味い物ができるに決まってる』と思っていた・・。」


で、トンカツの時に同じコストで全く完成度の違う物を仕上げられて、“目隠しが落ちた”思いだったそうな。・・・多分、“目からウロコ”的な意味だ。

まぁ時給換算すると、俺の作ったやつの方がコストは掛かってるんだが・・その辺は言わぬが花か。


「よし、ウチを『リフレの宿』に変更しよう。」


やめろ。そうじゃない。

要するに、名前を懸けてこの店を守り抜いていく覚悟を看板に乗せられるかどうかだろ?

俺の名前を載せてどうするんだ。俺の店じゃないんだぞ。


わいわいやってるうちに、周囲が賑やかになってくる。

宿泊客は飯に起きて来るし、朝飯を食いに来る客も多いのだ。

そのうち、銀のリングを持った子達がやって来て、水場へと連れて行かれていた。

店主も忙しくなってきたので店の奥に引っ込む。


あれ?あの今朝貼られた板についてなんだけど?

ちょっと、アレ外して欲しいんだけど。


駄目だ、手間を取らせていい雰囲気じゃない。

帰ってきたら目一杯文句を言ってやろう。


「お昼はここで食べるのよ。」


「?!」


いつの間に背後に?

ってか、マリッサさん、また薄っすらくまがありませんかね?


「昨日、お昼中寝ていたせいで、夜は眠れなかったのよ。

大丈夫、ちゃんと今日中に立て直して、規則正しい生活?っていうのを送ってみせるわ。」


お、おう・・。

まぁ、お昼には戻ってくるとして、今日はギルドで話を聞かないといけない。

あの謎の集団の事も気になるし、ギルディートの様子も気になる。

それに、何だかんだと後回しになっていた、今までの水上戦の記録もあるなら見せてもらいたい。


何故か機嫌よく伸び縮みしているスザクを頭に乗せ、俺はギルドへと向かうのだった。

・・・なんか、いつもの事だからとナチュラルに頭に乗せてしまったが、普通、腕か肩だよな?

まぁ腕に乗られても邪魔だろうから、いいんだけど。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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