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店の探索

俺は上機嫌だった。


ここは公国フロウラン三大港町の1つ、ノルターク。

三大港町という言葉は始めて聞いたが、ここで揃わないものは殆ど無いというのだから、探せば俺の欲しいものなど簡単に揃ってしまうに違いない。

首都フロウランには、その中でも洗練されたもの、国内のありとあらゆる品物が流れるというから別格とはいえ、ここも相当である。


もっと梃子摺てこずると思っていたのだが、醤油ソイソース味噌ソイペーストが手に入ったのは本当に嬉しい。

一味や七味に似た調味料もあった。ゴマとか山椒とか、その場でお好みで調合するらしい。

ただ、山椒単品では使わないし青海苔も、そこまで必要ない。

てか、七味って七種類じゃないの?あと、こんな謎の調味料が入ってたの?!謎の実が多過ぎるだろ。マジで。

紫蘇しそとか柑橘系の皮なんて入ってたっけ?

ああ、この中から7種選んで七味にするわけね。え、こっちの世界でのトレンドは八種類なの?八味なの??

・・・・・。一味でいいかな、とりあえず。


異世界の仕様なのか、元の世界でもこんな感じなのか、分からないところあるよな。


ゴマや紫蘇は単品でも売ってくれたし、米、各種油も売っていた。そして鰹節など各種乾物。

スザクがゴマに反応してたが、さすがにこれは高いと思うよ。

なんとなく栄養のバランス悪そうだし。・・ゴマって体にいいんだっけ?

ともかく駄目だ。

ちょっとだけならやるけども、あくまでこれは人の食事に花を添える物だからな。

米には反応しないんだな。不思議な事に。

他にも織物、茶、米や麦の酒、漬物などを売っていたが、品切れなのだという。


それにしても、鰹節って原料は鰹。つまり魚だろ?

この辺の人たちは海で狩りをしないって聞いたんだが?

質問すると、ホーンホエールという巨大なモンスターを討伐するなど、海戦に慣れた島国、阿吽あうんの特産品らしい。

ホエール・・鯨か?島()というあたり、なんか日本に近しいものを感じるが、そんなマップが実装されているなんて話は聞いた事が無い。

だいたい、国は3つしか無い筈だろう?


まぁいい。飯の面で苦しい思いをしないで済みそうだ。


「最近、迎えの船が来なくて、阿吽に帰れないんだよ。来るのに1ヶ月。滞在はもう6ヶ月。帰りも1ヶ月。

刺身が食いたいなんて贅沢は言わない。

梅干に玄米茶を注いだだけの安っぽい茶漬けが食いたい。焼いた魚が食いたい。豆腐が食いたい・・。」


少なくとも、この兄ちゃんよりは。


この店、阿吽から船で商人と荷物を載せ、商人を入れ替えるという形で営業しているのだという。

モンスターが邪魔をしているので船が入って来れなくなって、取り残されてしまったらしい。

兄ちゃん、頭に角が生えてないか?魔族かと思ったら、耳は尖っていないように見える。


「鬼が島に帰りたい・・・。」


鬼って種族は実装されてなかったと思うんだが・・・。

俺がプレイしてない間に、色々と追加されたのか???

いや、この世界がゲームを元に作られた、と考えるのは早計だろう。

ゲームと似た、全く別の世界・・という仮説は、キャラやアイテムが引き継がれている事から有り得ないが、ゲームの方がこの世界をモデルに作られているかもしれないしな。


ともかく、ここに来れば、和食系の食材が手に入る事がわかったし、味が分からない事には何とも言えないが、急に困る事もあるまい。

それにしても、味噌はともかく、醤油って割と種類豊富なんだな。

ずらーっとかめが並んで、「これが○○の濃い口醤油、これが・・」と始めたものだから困った。

一番オーソドックスな奴、って言ったのに、3種類から選ばされるんだもん。

しかも6種類あって、人気順に売り切れているのだそうな。

まぁこの20種類くらいあるような樽の中から選ばされなくて良かったけどさ。

だから、俺が手に入れたのは4番目に人気の醤油だな。果たして美味いのだろうか?


他にも色々な店を回って、良いと思った物や不足していると思った物を買い足した。

また時間をかけてゆっくり訪れたい店なんかも結構あったな。

俺、石鹸屋かってぐらい石鹸を手に入れたよ。あと、よく切れると評判だという剃刀も!

そういえば、靴下にすぐ穴が開いてしまう。

まぁ、海水に浸かったり、変な靴(?)を履いて走りまくったりと負担になる使い方をしているとは思うが、消耗品と考えた方が良さそうだ。


飯屋もいい飯屋を教わり、美味かったのでテイクアウトを頼む。

案内の2人の分も追加報酬分として購入。妙に恐縮していたが、正当な報酬だと思う。

いいから受け取ってくれ。もしかして、食えない物とか入ってたりする?

ギルディートの取り成しもあって、2人は受け取ってくれた。

それにしても、


「こいつの金の使い方を見ただろ?気にするこたねーよ。これでもまだマシな方だ。」


って言い方はどうかと思う。

さて、一日の終わりにペットの面倒を見て・・・ってやっぱり付いてくるのか、お前は。

お馴染みの海岸に行ったら、ドワーフのオッサンがびしょ濡れになって呆然としていた。

どうしたのかと話しかけると捕獲されて、試作型のテストをさせられた。

何事も無く終わったが、今日はやらないと言ったのに・・・酷い話だ。

さらに人気ひとけの無さそうな場所に移動、もふもふを召喚してモツだけ食わせて送還した。

一心不乱に食ってたなぁ。


さ、帰ろうときびすを返したところ、今度はギルディートに捕まった。

まだ明るいとはいえ、もういい時間だ。そろそろ帰っておこうぜ。


「なぁ、お前、精霊獣とどういう関係なんだ?あと、どれだけ連れてるんだ?」


どういう関係と言われても・・・ペットだよなぁ。連れ歩いてはいないし。

考えならがも、他に答えようが無かったので、そのまま返したら、はぐらかすなと怒られてしまった。

いや・・・怒られても・・・。

すぐに冷静になったらしく、どうやって遭遇したのかと尋ねられた。


ましゅまるはドラゴン系の生息する場所に行ってドラゴンを倒しまくったら出てきた。

もふもふはいつ行っても冬の山に行ってスノーファングを倒しまくってると出てくる、ブリザードファングを倒しまくって出した。

他のモンスター・・じゃなくて精霊獣もそんな感じだと話した。

卵から孵った訳だが、どうも、餌といい、ゲーム時代とだいぶ違いがありそうなんだよなぁ。


だから、「前いた世界で遭遇したようなものなので、餌は何が適切かわからない」と適当に濁して話した訳だが。


「リフレはやっぱり精霊なのか?」


そういう認識になっちゃうか・・。

んなわきゃーない。俺が精霊なら、元の世界は精霊だらけってことになるよ。


喫煙ルームで隠れるようにタバコを吸うオッサン、買い物で特売品を奪い合うオバチャン、テレビにかじりつく子供、受験勉強をする集団、満員電車、観光地、etc...

あれが全部、精霊?


想像してみたら地獄絵図か、そうでなくても非常にシュールだった。


精霊はキレイなお姉さんの姿をしていて欲しい。俺の願望である。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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