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不機嫌なましゅまる

うーん、何だろう、頭の上でスザクが何やらアピールしている気がする。

トイレなら外では好きな時に行かせてるし、その辺で適当に地面や葉っぱを突っついてるし、毎日1回はしっかりと餌を食わせている。

足りないのか?それとも、何か他に用事でもあるのか?・・・さっぱりわからん。

シルエットを見ると、伸び縮みしていて面白い。体操でもしているのだろうか。


とりあえず、ブレスを吐かれた時の対策に、ギルディートにスザクを預けて離れてもらった。


「コ?コココ、コケッ。コケ。」


ギルディートの頭に昇ろうとして拒まれ、桶に戻されたスザクが、桶の中で何やら講義しているようだ。

頭の上は乗るところじゃありません、っつっても今更だよなぁ。


とりあえず、ましゅまるの世話をしてしまおう。

ましゅまるが雑食でもいいように、サツマイモっぽいイモとコーンとキャベツを出してある。

そして、レバーなど数種類の内臓モツ筋肉すじにくも出した。

肉は痛んでしまうから、さっさと食わせないとな。


召喚:ましゅまる


「・・・・・・・・・・。」


あれ?


思い切り鳴き声を上げると思っていたら、無言でジトリとこちらを睨んでいた。


「飯だぞ。好きなのを食えよ。」


ましゅまるに大きな深皿をいくつも差し出す。

しばらく、ましゅまるはこちらの様子を窺っていたが、やがて置かれた更に目線を移した。

お、キャベツが気になるみたいだ。バリッ、という音をさせて噛み砕く。

肉食かと思ったら、野菜も食うみたいだ。

一口目を咀嚼そしゃくし、もうひとかじり・・と思ったら、首にスナップを利かせて投げ付けてきた。

すっかり油断していた俺は、モロ顔面に食らう。


ゴン、と音がする程度には割と重量級で痛い。キャベツが砕け散ったが、それどころじゃない。


「・・・っおおお・・・。」


俺は鼻を押さえて悶絶していた。

・・・鼻血は出てないみたいだが、鼻の骨はどうにかなってない?

涙が出てくる。鼻って急所じゃなかったっけ???違った?!


フン、という鼻息をさせて、ましゅまるはモツを食っていた。

やっぱり肉食みたいだ。

でも筋肉すじにくは食わず、イモは食ってた。うーん、謎だなぁ。


全身にブラッシングをする。

他のペットと比べて反応が薄いんだよなぁ。

時々、チラチラとギルディート(とスザク)の方を見やるので、気になるようだが、今のところ襲い掛かったりしそうな気配はないので安心だ。


「よし、こんなもんかな。」


手に持ったブラシを叩き落とされた。やり直しらしい。

ちなみに、強過ぎたり、しつこく同じ場所をブラッシングし続けると噛み付いてくるので注意が必要だ。

前回の経験を生かして、そこそこの強さで、そこそこブラッシングしたら、別の場所をブラッシングしていく。

噛まれそうになったら、次からそこはしなくていい、と。


そんな事を何周か続けた。もうブラッシングするところも残ってないし。そろそろOKだろう。


・・・唐突に噛まれた。


なんだよ。

痛い痛い。噛み締めるな。

おい、もういいだろ。


俺が送還しようとしているのを察したのか、背を向けて歩き始める。

散歩か?もふもふは散歩させたし、少しぐらいならいいだろう。

ペットの世話は飯だけじゃだめだもんな。たまには運動させないと・・っておい?


少しづつ加速しながらバッサバッサと羽を広げ、今にも飛び立ちそうに見えるんだが・・・。

ストーップ!さすがに空中には付いていけないから無理だよ!

だめだ、こっちを見ちゃいない。


慌てて尻尾と掴んだら、弾き飛ばされた。こいつ・・。

首根っこを捕まえる。丁度、大きさが馬とそう変わらないせいか、どうどう、と言いたくなるが、なんか違うな。

歩きの散歩ならいいけど、飛ぶのは駄目だ。

ましゅまるを落ち着かせて送還しないと・・と思ったら、俺に構わずに羽ばたきやがった。


「ちょっ・・・ うぇぇええええ?!」


空中散歩なう。

なんだこれ、ジェット機かよ?!

加速も動きも、生物が羽ばたいて得られるものじゃない。

ドラゴンだから、で片付けていい問題じゃない気がする。


「クォォ!」


ちょっとぉ!何か他のドラゴンいたけど!

で、何威嚇しちゃってんですかね???


「ゴゥァ!!」


そして、俺ここにいるから!喧嘩すんの止めてもらえませんかね?

振り回されるのがきつかったので、背中に回らせてもらう。

これで俺もドラゴンライダーか。

STRのおかげで振り落とされそうな感じはしなかったんだが、ましゅまるの首を絞めてしまいそうだったのと、ブランブランしていて邪魔過ぎるだろうと考えての事だ。


そうしてようやく俺の存在に気付いたらしい相手のドラゴンが、プスンと鼻を鳴らした。


「クァア!!」


「グギャワ~!」


何故だろう、指を差して馬鹿にされている気がする。

気のせいだよな??


「ギャワワ~。」


・・・・・。

気のせいじゃない気がしないでもないんだけど。


『主、やれ。』


低い声が聞こえて見回すが、周囲に人はいない。

そりゃそうだ。海上何メートルか知らんが、はるか上空で下は陸地ですらない。

風の音で何も聞こえないくらいだが、空耳にしては妙にはっきり聞こえたんだよな。


『あのクソ生意気なトカゲ、斬り殺せ。』


物騒だな!

ってか、ましゅまる?喋れるのか?


念話というものに思い当たって、声の主を特定する。

そういえば、ゲームでも特定の条件を満たすと、吹き出しが現れたな。

あれ、念話だったのか・・・。


俺が驚いているうちに、足に噛み付かれていた。

ちょっと?!痛いんだけど。俺じゃなかったら流血の事態よ?!

振り回すようにして投げつけられる。本気で俺に斬らせたいらしい。

変な回転が掛かって錐揉きりもみ状態で突っ込んでいく。


相手のドラゴンは、一瞬、身をかわそうという素振りを見せたが、思い直したように爪を振りかざした。


・・・。


俺の葛藤も一瞬だった。


スキル:疾風


俺は剣を握り締め、襲い来るドラゴンを迎え撃ったのだった。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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