表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/430

今後について

「コケ。」


訓練場を出て返却されたスザクが俺の頭に乗り、腰を落ち着ける。

ちなみに、装備がない町中では、ちょっと爪が立っているので、地味に痛い。

それを、俺以外の全員が何とも言えない表情をして見守った。


「何か?」


「「「「いや、何でも。」」」」


全員揃ってそんな顔をしておいて、何でもないって事はないだろう。解せない。


で、俺達は、ギルドの個室に案内された。

一応、お客さんを招く部屋なんだそうだ。

そこで、きちんとした話し合いをしなさいとの事だった。


着席を促され、俺とギルディート、アーディが席に着く。

そして、すぐに温かいお茶が出てきた。

紅茶ほど香らないが、これはありがたい。宿でも無かったんだよなぁ。


「はぁ~落ち着くなぁ。」


「・・・・・・・。それは本当に結構な事だ。」


ギルマスの指示でお茶を追加してくれた。ありがたや。

ギルディート、アーディもお茶と、出された豆を摘まみ始める。

しかし、沈黙が重苦しい。

話し合いをしなさい、とか言われてもなぁ。


「それで、結局、今後についてはどうするつもりだ?」


ギルマスの主導で話し合いが開始する。

今後、というと、やはり強引なクラン勧誘の事だろう。

2人とも無言だ。

漠然と「今後どうする」と言われても、浮かんでくるビジョンが何も無いんだろう。


「2人とも、実際に『手加減された戦闘』をされる側(・・・・)になってみてどう思ったんだ?」


暗に、今までやってきたおこないを振り返ってもらう為に、俺も発言する。

その趣旨がわかっているだけに、2人とも苦い顔をした。


「手加減ってのは、自分がしたからOKってわけじゃないんだって学んだよ。」


「無自覚の暴力って怖いなって思った。俺も気を付けるよ。」


素直でよろしい。

無自覚の暴力って自分達の事だよな?

「怖いなって思った」って、まるで、今回の模擬戦で学んだみたいじゃないか。

俺はちゃんと自覚もしてるし、お前らにわかってもらう為に模擬戦をしたんだぞ。

それはともかくとして、過去を振り返ったら、次は現状いまだ。


「今、お前らのクランには、内側で不満や不安を抱えつつも、怖くてメンバーに相談できない奴がいるかもしれない。

それについては、どう思って、どうしたいと考えているんだ?」


ここで、さっきは「そんなメンバーいない」という反応だったんだよな。

怖くて言えないってことを理解してなかったみたいだ。

その辺のところは、何しろ相手が俺だし、今回の模擬戦では伝わらなかったかもしれないんだよなぁ。


「そういうこともあるかもしれない。ちゃんと、1人1人と相談していこうと思うよ・・。」


「うん。そんな奴いないと思ってたけど、俺達が勝手に思い込んでただけなのかもなぁ・・。」


おお。思ったより骨身にみたようだ。

そりゃゲームじゃないこの世界で、模擬戦とはいえ、勝てない相手と戦うのは怖いか。

ゲームでさえ、初めてPKされた時は手が震えたもんな。・・・俺はPKするつもりはないんだけどな!


ここまで来て、次でようやく未来これからについてだろう。


「で、これから、どうしていくつもりだ?勧誘の仕方を変えなかったら、同じ事の繰り返しだぞ。

それが、お前達の為にも、クランの為にもならないって事は、さっきの話し合いでわかったんだろう?」


「・・ああ。絡んで喧嘩を吹っかけたり、賭けをしてクラン加入に持っていくやり方は、もうやめるよ。」


「でも他に勧誘の仕方なんてわからねーよ・・・。」


おいおい。

ゲームと違って、復活地点で初心者を待ち伏せとかは使えないんだろうけれども。

他にもやり方は色々あるだろう。


「そもそも、お前らはどうやってクランに加入したんだよ。その時の方法は使えないのか?」


「俺は孤児院から流れで・・・」


「俺は貧民街スラムで喧嘩を売られて、気が付いたら・・・」


アーディはともかくギルディートは自分と同じ方法で勧誘してただけかよ!

ここで、ギルマスにギルドとして推奨している勧誘方法は無いかと振ったのだが、ろくな答えが返ってこなかった。

そもそもクランってのは、立ち上げのメンバーからそんな急に大きくなったり小さくなったりするもんじゃないらしい。


ダンジョンで助け合うことになった冒険者を誘ったり・・は、基本的に見知らぬ冒険者同士で助け合うことはないとか。

宿屋や酒場で仲良くなった冒険者に声をかけて、チーム・・PTを組むことはあるが、クランに誘うということはないらしい。

なんでだよ!誘ったらいいじゃん!つったら、誘っても誰も加入なんぞしないと言われた。


うーん、難しいんだなぁ。

そもそも、この世界におけるクランって何なんだろうな?

PTのでかいもの、というわけではないのか??

俺の感覚では、気心の知れたPTメンバーの延長線上にあるものだったので、ギルディートに聞いてみる。


「あのな、クランにはギルドへの維持費の支払い義務がある。チームと違って、気軽に加入できないんだよ。」


なんですと。

気軽に加入できないほどの維持費ってことは、クランメンバーから金を回収してんの?

普通、思い立ったクランリーダーが払うもんなんじゃないの?


「クランリーダーが払えばいいんじゃないのか?そんなに馬鹿みたいな維持費がかかるのか?」


例えば、ギルドへの月々の支払いは、クランレベルにもよると思うが、序盤は1,000D程度、高くなっても100,000Dぐらいだったと思うんだが。

2人とも、詳しくは知らなかったみたいなので、ギルマスに視線を移す。


「いや、設立時の資金こそ馬鹿みたいに取るが、維持にはクランリーダーが月に一度、宿に連泊できる程度の金を出せばいい程度だぞ。

あと、ここノルタークでは、町の領主が『クランの有用性が見当たらない』という理由で、クランの特典は受けられない代わりに、維持費を免除しているんだ。

もし、ここが本拠地なら、支払い自体が無いはずだ。

免除している町では最大の規模だから、ここに本拠地を置くクランが多い事でも有名だぞ。」


なるほど。つまり・・・・・どゆこと??


ギルディートとアーディの方を見てみたが、俺と同じように思考がストップしたような顔をして呆けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ