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模擬戦

今度は、お互いに戦闘スタイルを知っている者同士となる。

長々と様子見をする必要はないだろう。


「・・・・・。」


しかし、ギルディートは様子見の構えだ。

ギルディートがかかってこないので、俺から行く。


「っ!一言も無しかよっ!」


「? そんな決まりがあったのか?」


会話しながらも、ちゃんと戦っている。連続して木剣が衝突ぶつかり合う音が響く。

アーディと比べて、一撃は軽いが、手数が多いのだ。攻守が逆転する。


ギルディートの斬撃は、かわしても受け流しても、大きな隙にならない。

一撃が軽いので、すぐに体勢が整う上に、剣が2本ある。

こちらが攻勢に移る前に追撃が入るのだ。その繰り返し。


AGL(アジリティ)(敏捷性)に、剣2本か。しかも、まだ様子を見ていやがる。

単純に考えて、速度が俺の半分だとしても、剣を2本持っていれば手数が倍になる。

速度だけで勝負すれば、もしかしたら互角か、それ以上の勝負をすることになるのかもしれない。

スタミナもあり、いつまでもそうして居そうだったので、仕掛けていく事にする。

とは言え、STR(ストレングス)(腕力)に任せて勝負を決めるのは無粋だろう。

俺は剣速を上げていく。


俺が攻勢に出れば、ギルディートがそのAGL(剣速)を持って手数を増やし、再び攻守を逆転させる。

どうやら、積極的に仕掛けては来ないが、俺に攻勢に出られるのは嫌みたいだな。

好戦的なんだか、非好戦的なんだか分からない戦い方しやがって。


時間にすればさほど長くも無い時間、けれど打ち込んだ剣撃はいかほどか。

ギルディートのスタミナが限界に近くなったようだ。

そりゃそうだ、俺は剣速をもう最大まで出している。

それを超えようと言うのだから、レベルの低いギルディートが先にヘバるのは当然と言えた。


ここで、ギルディートは大きな賭けに出た。

連撃は1撃づつ捌かれる。

ギルディートの剣は2本。俺は1本。

同時に二箇所を攻撃すれば、防げないのではないか?と考えたようだ。


が、普段の動きと明らかに違う動きを見せたギルディートに警戒し、何を考えてるのかわかった俺は苦笑を浮かべた。


いや、浅はか過ぎるだろう。

俺の右腕を狙った剣を強めに弾き、胴を狙った剣を掴む。


「?!」


そう、木剣は刃物じゃないので、素手でも対応できるのだ。

掴んだ剣を奪ったが、大きな隙はまだ埋まらない。

奪った剣の刃の部分を首に押し当て、自分の剣は残ったの剣を押さえ込む。


「・・・・ま、参った?」


どうして疑問形なんだよ。


剣の刃を素手で掴まれる事なんて無いと言われたから、真顔で「絶対に(・・・)無いのか?本当に?」と言ったみた。

そしたら、静かに耳を下げ、黙った。・・ふっ、言い負かしたったぜ。つまり、俺の勝ちだな。

大人気ないと言われても、勝負である以上、負けるのは嫌なのだ。


しかし、レベル60と120ってゲームでは瞬殺ぐらいの差があった筈だか、それを感じないな。

こいつら、めちゃくちゃ強い。もしかして、70~80はあるんじゃ?

いや、違うな。

単純に叩きのめすつもりで行けば、やはりレベル差のそのまま出た戦いになっただろう。

AGL(アジリティ)(敏捷性)はともかく、他のステータスは圧倒してるだろうしな。

こいつらを強いと感じるのは、やはり俺の戦闘経験の無さのせいだろう。

奴らにある戦闘経験が、俺には無い。それだけで、ここまでレベル差を感じないほどに迫って来られるのだから恐れ入る。

やはり、この世界で生きてきた奴らは違うな。


「さて、じゃぁ今度は2対1でやってみようぜ。」


ギルディートの言葉に、思考が停止する。

2人が、木剣を構えて俺を囲んだところで我に返った。


「・・・・・ハァ?!?」


馬鹿じゃないの?そんな事、するわけ・・・

ビュッ、という風切り音と共に、アーディの剣撃が飛んでくる。

問答無用かよ?!

回り込み合戦。挟み撃ちを狙う2人を避けるように動く。


「おい、やるなんて俺は言ってないぞ?!」


身をかわしながら、反論する。

確かに2対1だが、剣だけ見れば3対1だ。

距離を詰められるのはまずい。


カカン、2本の剣を一度に捌く。


「へへっ」


何を嬉しそうにしてやがんだギルディート(テメー)は!

背後からとか、マジ鬼畜かよ?・・おっと。

アーディも容赦ないな!本気か?本気でこれをやれと?


駄目だ、挟み撃ちとか本当に無理!バックステップで距離を取り、配置を三角形に持っていく。

が、2人も動き、すぐに元通り直線の配置になる。抜け出せない。

人間、背中に目は付いていないので、2人は俺の方を向いて俺を挟んでいるが、俺は横向きだ。

こうすれば、左右にいる2人ともを、何とか視界に入れることができる。

しかし、欠点もある。俺の背面側に移動されると、視界から外れるのだ。

この状態を脱したいが、2人がそれを許さない。


「ちょ。マジでやめろって。シャレに・・・ッ なってないからぁ!」


避けるばかりで攻勢に移れない。

広い練習場、障害物も何も無い。・・・ってあれ?誰もいなくなってるぅ?

伸び伸び使えるってこういうことか!


何度目かのバックステップで、着地を狙って勝負を決めに来たアーディ。

逆に俺は、その大きな隙を狙う。


「チィッ」


しかし、すかさずフォローに入ったギルディートの連続攻撃に、逆に隙を晒す羽目になってしまった。

2対1ってやっぱり卑怯だろっ?!


「もらったぁっ!」


「くれてッ、やるかぁっ!」


かわした上で、アーディが振るうその刀身の横腹を蹴りつける。

これなら、剣の刃がどうとかケチは付くまい。

そして、俺の軸足に足払いをかけようとするギルディート。わかってんじゃねーか!クソがっ!

思いっきり剣を振るって、慣性で体勢を立て直す。

間に合わないが、派手にすっ転ぶほど酷いことにはなるまい。


パーン!


乾いた良い音がして、たまたま当たったギルディートの剣が飛んでいく。

ついでにギルディートが体勢を崩す。

ラッキー?!


ヘロヘロの足払いをかわしつつ掴み、体勢の立て直しを妨害してやる。

独楽こまみたいに回っておけや!


「うぉお?!」


派手に転がるギルディートは置いておいて、体勢を立て直していたアーディの正面からの一撃に向かい合う。1対1なら、負けることはない。

アーディがしまった、という顔をしたが、もう遅い。

アーディの一閃が振ってくる前に、がら空きの胴に一撃入れる。


「ぐふぅ。」


派手に吹き飛んだが、勝ったと喜ぶのは速い。ギルディートが復帰してくるはずだ。

よし、間に合った!

飛び掛って来ていた体に無理矢理ブレーキをかけ、防御の構えを見せるギルディート。

それで守ってるつもりか?


「ちょっ、ま・・・」


剣一本のギルディートなんぞ恐るるに足らず。

こっちも剣を跳ね上げて、胴体に一撃を叩き込んだ。


・・・ふぅ、なんとか一戦終えたな。

さすがに2対1って無理だわ。注意が行き届かない。

さて、もういいだろう、宿に帰って休むとしようか。


・・・・・・・・。


あれ?


静かだな、と思ったら2人は気絶し、見守っていたギルド員に治療を受けていた。

ムキになって手加減を忘れてしまったらしい。


え、でもこれ、俺が悪いの?


剣を収めたとたん、ギルド員にしこたま怒られる羽目になったのだった。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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