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雑文ラノベ「異世界はもうこりごりだ」  作者: ぽっち先生/監修俺
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俺と!メリルのラブラブコーナー

だが一旦手にしてしまうと車は麻薬だ。手放せなくなる。

だってメリルが隣にいてくれるんだぜ。

電車では周りを気にして出来ない様な会話を気兼ねなく話せちゃうんだ。

メリルが行きたいと言えば月の裏側にだって・・それは無理か。

この前は100キロほど離れた海岸へ行った。

なんでも運がよければ鯨が見れるらしい。

「うわぁ、風が気持ちいいわ。」

メリルが帽子が飛ばないように両手で抑えながら言う。

俺はそんなメリルの脇の下を堪能する。くぅ~っ、ビバ夏!ビバ薄着!

「あれは船よねぇ。やっぱり潮とか吹いてくれないと分からないわ。」

おおっ、潮吹きだなんてメリルの口から聞くと俺のビックボーイが反応しちゃうぜ。

「保さんは鯨を見たことある?」

「イルカならあるけど鯨はないな。」

「え~、どこで、どこで?」

「水族館だよ、海で直接泳いでるのは見たこと無いよ。」

「な~んだ、それなら私もあるわ。しかもすごく大きいのよ。色が白と黒に分かれていてパンダさんみたいな配色だったわ。」

メリル、それは多分シャチだ。それよりも誰と行ったんだ、そっちの方が気になるぞ。お父さんとだよね、ね?

「もう少し粘っても鯨が来ないようなら水族館に行ってみるかい?」

「遠くないの?」

「大丈夫、俺のてんとう虫号に掛かればあっという間だ。」

そう、俺が買った小型車はメリルにお披露目した時にてんとう虫みたいと言って貰った時からてんとう虫号と名前が決まった。

ダサイ?なんとで言うがいい、この世はメリルを中心に回っているのだ。メリルの言うことはほぼ絶対である。

「でも折角来たんだからもう少し・・ね。」

「うん、でも日差しが強いからあっちの木陰で待っていよう。」

俺たちは木陰のベンチに腰掛けてコンビニで買ったおにぎりをぱくつく。

彼女とのデートに手作り弁当を期待する御仁も多いとは思うが、実はメリルは料理が得意ではない。

アニメみたいに毒性を持たせるとか別の物体に変換するようなスキルはないが、何故か味付けが濃くなってしまうらしい。

料理本の通りに量を測るのだがどうしても濃くなる。食べられない程ではないがおいしくないから自然と料理から遠ざかる。

俺はメリルが作ったものなら例えそれが塩の塊でもおいしく食べる自信があるけどね。

でもメリルが気にするから催促はしない。デートでの食事は外食かコンビニが当たり前でしょ?というスタンスを装う。

この世で優先すべきはメリルである。メリルを悲しませたり不機嫌にさせる行為は例え俺自身でも許さんぞ。

「あっ、このおにぎりおいしい!保さんも食べてみて。」

えっ、いいの!わーい。にゃはははははっ、悪いね諸君、俺とメリルはこうゆう仲なのだよ!

「うおっ、旨い!甘辛さが絶品だ!」

「ねぇ~、すごいなぁ、私には作れないなぁ。」

おっと、話題をそらさねば。

「メリル、あの雲の形って少し鯨に似てないかな?」

「んーっ、ちょっと苦しいような・・。どちらかと言うとペンギン?」

「えーっ、ペンギン?どこがー。」

「ほら、右側のちょっと出っ張った所を口ばしに見立てるの。」

「あっ、本当だ!そうだね、見える、見えるよ。」

「ふふふふっ、ね、目の付け所がシャープでしょ?」

おっとと、メリルもくろに影響されているなぁ。


こんな感じのデートを俺たちは月に2回ほどする。本当は毎週でもしたいんだけどお金が掛かるとメリルがいい顔をしないのだ。

俺は勇者特典でべらぼうなスタミナを貰ったから全然大丈夫なんだけどメリルは俺が働きすぎだと注意する。

後でしっぺ返しがあると脅すのだ。

俺は車の借金を返し終えたら半分に減らすと言って納得してもらう。

だから遠出をしない時は近くの公園や図書館で過ごす。

図書館デート!なははははっ、羨ましいであろう、諸君!メリルが俺に勉強を教えてくれるのである。

隣に座って俺に肩を寄せて説明してくれるのだ。メリルのシャンプーの香りが鼻孔をくすぐるのだ。

なははははっ、おかげで内容は全然頭に入らんぞ!

「保さん、聞いてる?」

「えっ、ああっ、聞いてませんでした。すんません。」

「もうっ、ここをしっかり理解しておかないと次の所でまた躓いちゃうんだから大切なのよ。」

「はい、すんません。」

俺は今度こそは雑念を払い覚えるぞといき込む。でも首をちょっと横に振るとメリルの胸元が目に飛び込んでくるのよ。

夏服だから結構奥まで見えちゃうの。これは苦行だ。昔の修験者は山に登ったが俺はそんな事をしなくてもそれに倍する精神鍛錬を行っているぜ。


そんなラブラブな俺たちに遠慮したのか、くろたち子神は半年ほど接触してこなかった。

悪の組織「まお~ん」もここ3ケ月ほど攻撃してこない。もしかして人気が出なくて番組編成で淘汰されたのかもしれない。

こそっと言っちゃうと俺は異世界のことを忘れかけていた。それ程メリルに夢中だったのさ。

いや、勉強はちゃんとしてるよ。授業はこれまで10回しか欠席していない。

これだって免許取得や「まお~ん」の相手をした為でサボった訳じゃない。

だからバイトを終えてアパートに帰った時にくろが部屋で少年漫画を読んでいた時は驚いた。

「お勤めご苦労様です、勇者さま。」

うわっ、こいつがこんなおちゃらけを言う時は碌な事がないぞ。

「くろ様もお変わりなく。今回はどうしたんです?しろパン君のお礼はもう少し待ってください。今、金がなくて・・。」

「メルメルとのデート代はあるのにのぉ、我は後回しか。さすがは魔王である。」

「なに言ってるんですか、魔王ごっこですか?俺、忙しいんであんまり付き合えないですよ。」


「実はな、お主たちを現世に返した際に誰かが干渉しお主に魔王属性を植え付けたことが判明したのじゃ。

人間にそのような属性を付けてもせいぜい中二病を発症するだけだが、お主は3級勇者の資格を与えられたからな。」

「俺に魔王属性?」

「お主を次の魔王に担ぎ上げようとする者がいるらしいのじゃ。」

「次の魔王?俺を?何のことです?ぼっちは降格ですか?」

「魔王を魔王たら占めていたのは魔力じゃ。その魔力の供給が止まった。故にぼっちはもはや魔王ではない。強いて言えば旧魔王、もしくは中古魔王かのぉ。」

「止まったって、魔力って勝手に魔王の所に集まってくるんじゃなかったか?」

「その通りじゃがぼっちのアホがその収集システムをある組織に任せっぱなしにしていてな。その組織が離反反逆したのじゃ。」

「その組織って、まさか・・。」

「悪の秘密結社「まお~ん」である。」

あらら、やっぱり。

「本来魔力の保存、使用は魔王の特権であったがどうやら制御する術を得た人間がいるらしい。というか、魔王が教えた。」

「何やってるんだ、ぼっちの野郎。人間に魔力なんていう玩具を与えたらどうなるか判らなかったのか?」

「判らんかったのじゃろうな。魔王にとって人間は善の集まりなのだ。だからわざわざ手を加えてクズを作り出す。

仮に魔力を人間が活用するようになっても悪いことに使うなどとは毛ほども考えてなかったらしい。」

「ぐわぁぁ、何考えてるんだよ魔王。人間の本質は悪なの、自己生存を一番に考えるの。何年人間を見てきたんだよ、判れよ。」

「すまんのぉ、魔王はあれで綺麗なもの好きでな。汚いものは見てみぬ振りじゃったらしい。」

だめだ、やっぱり魔王はだめだめだった。人間のクズが生まれながらにクズなように魔王は生まれながらのダメダメだ。

「もしかして、まお~んが俺を攻撃してきたのって・・。」

「お前に植え付けた魔王属性の器を悪で満たすためじゃろう。」

「悪の器って・・。もしそれが満タンになったらどうなるんだ?」

「新魔王の誕生じゃ。貴様は勇者だからな、魔王勇者とでも名乗るのかのぉ。」

「おいおい、パロってる場合じゃないだろう。器のガス抜きはできないのかよ。」

「カズ抜きは出来ぬがそもそも魔王属性の器は燃費が悪いからのぉ。流入を防げば後は時間と共に勝手に無くなっていく。」

あ、そうなの?もう脅かさないでよ、ビビっちゃったじゃない。

「その為の対策もすでに手配した。お主に手を出そうとした輩は全てこちらで排除している。」

ああっ、だからこの所まお~んの襲撃が無かったのね。

「だが気を付けよ、やつらはメルメルを狙うやもしれん。皇帝陛下の配下が護衛をしているがお主と違いメルメルは防御する術を持っておらん。場合によっては防ぎきれぬかもしれん。」

「馬鹿を言え、メリルは皇帝陛下直々に守護されているんだぞ!」

「それは向こうの世界での話じゃ。仮にこちらで皇帝陛下が直接力を行使したら10キロ四方が吹っ飛ぶぞ。」

俺はメリルさえ無事なら他の人間が何人死のうが知ったことじゃないがメリルが気にするので口チャックである。

「よし!判った。これからまお~んの所へ行こう。けちょんけちょんのぐっちゃぐちゃにしてやる。」

「やつらは地に潜った。一般人に紛れているから誰が組織の者なのか判断がつかん。」

「よし!判った。なら俺とメリル以外全てが対象だ。ドラゴンを召還する。」

「お主、大丈夫か?冗談が面白くないぞよ。今の言葉メルメルに聞かせたらどうなるかのぉ。」

「もう、くろ様ったら、うそですよ、話がちょっとシビアってたからふざけただけです。ほら場を和ませるには笑いが一番。」

くそ~、くろのやつ俺がメリルにぞっこんなのを知って痛いところを突いてくるぜ。

「今皇帝陛下と相談している所だが、一時メルメルを我々の世界に避難させることを考えている。」

「あっ、なるほど。それなら安心だ。すぐにお願いします。」

「しかし、メルメルがいなくなったと敵が気づけば今度はメルメルの親族や友達などを狙うやもしれん。その為、メルメルの替え玉が必要じゃ。」

「そこら辺は指パッチンでサクっとお願いします。」

「事が済んでメルメルを戻す時に記憶の食い違いを避ける処置が必要なのじゃ。その対応にあと一週間ほど掛かる。」

「え~っ、なんか何時もらしくないんですけど。」

「メルメルがパアになってもいいのか?」

「最大慎重でお願いします。」

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