帰える為の方法をくろ様より教えてもらう
「あのぉ、皇帝陛下からのご褒美も頂いたことですし、そろそろ元の世界へ帰りたいんですが・・。」
「無理だな。」
「へっ?」
「説明しただろう、勇者ポジションのノルマは世界の征服。もしくは宝玉3個だ。」
「陛下の褒美を下賜された者はノルマの達成、もしくは宝玉を規定数集めなければ帰還は認められん。」
がーん。もひとつおまけでがっがーん。
ふざけている場合ではない。
「先の説明ってそうゆう意味だったんですかぁ?」
「勝手に褒美を選ばせて対価を要求するなんて、まるで新手の送り付け詐欺じゃないですか!」
「そんなことはない。ちゃんと万物法の薄い本にも載っておる。」
「万物法、第1条 物事全て自己責任。騙される方も備えが足りん。勿論騙した方は地獄行き。」
「そんな法律聞いたことがないですよ。内緒にしとけばいいじゃないですか!」
「ならんな。悪法も法なり。改編または廃法にするには議会の3分の4の反対が必要だ。」
おまえ算数苦手だろう。あと反対ってなんだよ。
「そこをなんとか、くろ様のご威光で、七光りで、オマタの光で。なにとぞご配慮を。」
「すがるな。勇者の名が泣くぞ。」
いえ、勇者は役職であって名前ではないですから。
「俺は普通の学生なんだ。一般市民なんだよ。世の中の理に口出ししない見返りとして、俺以外の誰かの努力と成果を対価を払わずに貪る権利を有した自由主義組織の一員なんだ。こんな仕打ちは断固拒否する!」
「却下だ。我らの皇帝陛下がお決めになったことはほぼ絶対だ。これを覆すことができるのは母神さまだけである。
まぁ、母神さまはこんなことに興味は持たれんがな。どうしてもと言うなら、その自由主義組織とやらに力ずくで交渉してもよいがな。」
「脅しか!イジメか!武力による干渉は断固として反対する。話し合い以外での交渉は認めないぞ。」
くそっ、どこぞの実行力を伴わない口だけグループの常套句みたいなことを言ってしまった。
「そんなことを言ってもな。お主の所属する組織は本気で話し合いの席に着く気があるか?あの人攫い事件ですら解決しておらん出はないか。」
うわっ、だめだ。こいつ俺の世界について結構詳しい。ここは穏便に進めるか。
「大体なんで俺なんだ。人間なんて他にも沢山いるだろう。」
おっと失言。ちょっと今テンパっているんだ、見逃してね。
「お主は我らの皇帝陛下がお決めになった条件を満たした。ゆえに陛下の意に答えなくてはならない。」
「くそっ、大体俺はこの世界について何一つ知らないんだぞ!」
おっと、逆上して言葉使いが荒くなってしまった。注意、注意。
「貴様も勇者になったんだから知りたい事は己の足と技量で掴み取れ。」
そんな事言うならパソコンとインターネット環境を揃えてください。
「なんだったら、「この世界の理~難しくて読みきった者がいないのが自慢~改訂版」を貸してやろうか?」
「そんなふざけたタイトルの本じゃなくて初心者用にもちっとやさしく丁寧に手取り足取り教えてくれよ。」
あっ、ちょっとセクハラ発言ぽくなってしまった。注意、注意。