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『君から届く最後の通知』

作者: 瑠璃樹_Ruriju
掲載日:2025/11/04

“好き”って、永遠に続くと思ってた。

でも、どんなに想っても終わりは突然やってくる。

この物語は、「あのとき言えなかった言葉」を胸にしまったまま、

少しだけ大人になった女の子の、ひとつの恋の記録です。___瑠璃樹

私たちは、いつものように通話をしていた。

だけどその夜の彼は、どこか元気がなかった。

私は気になって、そっと声をかけた。


「どうしたの?なんか元気ないよ。」

「大丈夫だよ。なにもない。」


いつもの優しい声なのに、その夜は少しだけ冷たく感じた。

通話の向こうで、何かを隠すように息を潜めている気がした。


話題を変えようと、私は少し明るい声を出す。


「てかさ、明日本当に楽しみだね!」

「そうだね。」


明日は私たちの“1年記念日”。

そして、クリスマスでもある。

本当なら一番幸せな日になるはずだった。


でも、私は我慢できずに言ってしまった。

「やっぱり今日、なんか変だよ。」


彼は一瞬沈黙して、

「ううん、何もない。本当に。」

と、また笑ってごまかした。


絶対に何かを隠している――そう感じながらも、

「明日になれば、きっと元気になってる」

そう信じて、その夜は通話を終えた。



次の日。

私は彼との待ち合わせ場所に、少し早く着いた。

手袋の中の手は冷たく、それでも胸の奥は温かかった。

だって今日は、1年記念日だから。


でも――彼は来なかった。


冷たい風が頬を撫でる。

街のクリスマスソングが、やけに遠くに聞こえた。


そのとき、携帯の通知音が鳴った。

画面には、彼の名前。


心臓が跳ねる。

指が震える。

開いたら、戻れなくなる気がした。

それでも私は、彼の名前をタップした。


「ごめん。思い出が増える前に別れたい。」


世界が止まった。

その場で私は、膝から崩れ落ちた。


昨日までの私が信じていた“明日”は、もうどこにもなかった。

この日のために、ダイエットもして、美容院にも行って、

苦いサプリも頑張って飲んで、

朝早く起きてメイクして、ヘアアレンジも練習した。


全部、彼のために。

“好き”を伝えたくて、可愛くなりたくて、頑張ったのに。


なのに――

こんなにもあっけなく終わるなんて、思ってもなかった。


でも私は、受け入れるしかできなかった。


「分かった。今までありがとう。こんなに愛せたのは貴方だけだよ。」


そうメッセージを送り、私はゆっくりと歩き出した。

信号の光が滲んで、冬の夜が一段と冷たく感じた。



それから5年が経った。


私は仕事帰りの交差点で、ふと立ち止まる。

前から歩いてくる男性の隣には、綺麗な女性がいた。

笑っている彼を見て、すぐに分かった。

――あの日の、彼だ。


忘れていたはずなのに、

心の奥が一瞬であの日の痛みに戻された。


付き合った日、もらったプレゼント、たくさんの会話。

それらの記憶は、もうぼんやりとしているのに、

“別れた瞬間の感覚”だけは、今も鮮明に残っていた。


あの時感じた気だるさ。

心に穴があくような、静かな痛み。


でも、もう泣かない。

信号が青に変わる。

私はスマホの画面に映る自分を見て、ふっと笑った。

あの日の涙よりも、今の私のほうが少し強い気がした。


今はただ、彼のいいところだけを、

私の心の中に、静かに残している。


恋って、終わった瞬間に「昨日までの自分」も消えてしまう気がする。

でも、悲しみのあとには、ちゃんと新しい日常がやってくる。

“君から届く最後の通知”があったから、

私はもう、誰かを怖がらずに愛せるようになった。

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