4話「逆転!切り札のブルーソーダ」
僕の書いてる小説でフォームチェンジしたのは今回が初ですね
魔王軍に支配された街「シティア・パークル」を救うため、魔王軍の戦略隊長「ミステリアス」と交戦した俺。ミステリアスは今までの魔物とは違って自我があり、人間の言葉を話せる上に強度の魔法が使える。圧倒的な実力の差に敗れた俺たち勇者パーティはルリナさんが持っていたメダルを使って宮殿へと逃げ込んだのだった__。
「使おう。シュワライザーのもうひとつの力」
俺は青いソーダがデザインされたもう1枚の変身メダルを眺めながらそう呟いた。
「もうひとつの力……ですか?」
ココロちゃんが首を傾げて不思議そうな顔で俺を見てくる。
「うん。シュワライザーは変身メダルを変えることによって、姿の能力を変えることができるんだ……人間界で言う【フォームチェンジ】って言うんだけどね」
「凄いです!勇者様は強くてかっこいい上にそんな事までできるんですね!」
ココロちゃんが目を輝かせながら俺のことを絶賛してくれる。まぁ、今どきの特撮ヒーローはみんなできることなんだけど……
「つまり……新しい力を使う……と。」
僕とココロちゃんの会話を気に食わなさそうに見ていたルリナさんが会話に入ってくる。
「あぁ、だから頼めるかな…?」
「はぁ……」
俺がルリナさんにお願いをすると、ルリナさんはいつも通りに面倒くさそうにため息をつき、俺が握っていたメダルを受け取る。
「……1人でやらせてください。」
ルリナさんはメダルを受け取った後、ドアの前で振り向かずにそう言った。
「わかった」
きっと、ルリナさんはスキルの副作用で俺に甘えてしまうことが恥ずかしいのだろう。この前のことも相当根に持ってたし、なによりココロちゃんの前で俺に甘えるのはなんだかココロちゃんに負けたみたいで悔しいだろうし。そんなルリナさんの事情を察した俺は快く承諾し、ココロちゃんと共に部屋に残った__。
★☆★☆
何故だろう__。シティア・パークルに向かう途中、彼がココロさんの頭を撫でて、2人が互いにドキドキしているのを見て、言葉に出来ないようななんとも言えないモヤモヤを覚えた。ココロさんに心を読まれ、
「ルリナさん、嫉妬してるんですか?」
そう聞かれた時、初めて私はこのモヤモヤの正体に気づいた。でも、これが嫉妬だと認めるのが恥ずかしくて素直に認められなかった。けどそれはココロさんのからの言葉が図星だったから……なのかもしれない。
「はぁ……」
宮殿のベランダでファンタジアの幻想的な夜空を見上げながらため息をつくと、扉が開く音が聞こえ、誰かがベランダに入ってきたのがわかった__。
★☆★☆
「すごい……綺麗ですね。ファンタジアの夜空は」
ベランダへ通じるドアを開き、1人り夜空を見上げるルリナさんに後ろから声をかける。
「あなたでしたか……ココロさんはどうしたんですか?」
「寝ちゃったよ……あんな戦いの後だったし、疲れちゃったみたい」
「そうですか……」
ココロちゃんの現状を伝えた俺はルリナさんの隣に行き、共に夜空を見上げる。ファンタジアの夜空にはたくさんの星々が輝き、オーロラがかかるまさに幻想的で神秘的な景色だった。
「……ひとつ、聞いてもいいですか?」
「なに?」
珍しくルリナさんは弱わしい表情を浮かべ、上目遣いでそう聞いてきた。
「その……ココロさんを撫でた時に誰かの名前を呼んでませんでしたか?あれは……」
「あぁ、花音ちゃんのことか…」
「花音……?」
「千代倉花音。シュワライザーでもう1人の戦士を演じてた子。俺よりは年下で健気で俺の事慕ってくれてて可愛い子だったんだよ」
俺がそう語るとルリナさんは頬を膨らませ
「なんですか……それ」
と不機嫌そうに呟いた。
「けど、シュワライザーがオールアップしてからすぐにこっちの世界に来たからもう会えなくなっちゃってさ……あの後ご飯行く約束とかもしててさ……」
「私達が……召喚したから」
「別にルリナさん達を責めてる訳じゃないよ?!」
俺の話を聞いて、ルリナさんがショックを受けてるのがすぐに分かり、慌てて訂正する。
「ただ……だからこそ守りたいんだ。」
「え?」
「花音ちゃんがよく言ってくれてたんだ」
「私、先輩の周りを大切にするところがかっこよくて大好きです!」
「ってさ……」
俺はルリナさんに話すと同時に花音ちゃんの言葉を思い出した。そして真っ直ぐにルリナさんを見つめて……
「だからこそ守りたい。ファンタジアとルリとココロちゃんを……。」
「……なんですか、口説いてるんですか?」
ルリナさんのいつも見せない甘い声色と可愛らしい照れ顔にドキッとする。
「違うよ!!」
「……分かりました。あなたのいや勇者様の願いを叶えるため私も全力で力を貸します」
ルリナさんは真っ直ぐに俺を見つめて、さっき渡したブルーソーダの変身メダルを差し出した。俺は差し出されたメダルを両手で受け取り
「ありがとう……!ルリナさん……!」
と心からのお礼を伝えた。
「……けどその代わり、私の事もたくさん甘やかしてくださいね?♡」
ルリナさんはいきなり俺に抱きつき、ルリナさんは絶対にしないであろうあざとい表情を浮かべ、上目遣いでそう言った。
「は、はい……///」
★☆★☆
「性懲りも無くまた来たか……」
シティア・パークルの前へやってくると、うんざりとした様子でミステリアスが現れる。
「今度こそ負けない。」
「何度やっても同じだ!」
「ここからはリベンジマッチだ!」
苛立ちを露わにし、声を荒らげるミステリアスに俺は力強く宣言し、シュワトリガーとブルーソーダメダルを構える。
「ブルーソーダメダル!セット!」
【プッシュ!】
「炭酸武装!」
シュワトリガーを天高く掲げ、トリガーを引く。すると透明な缶が降ってきて上から青いソーダが俺の体を包み込み、新たなシュワライザーへと姿を変化させる。
【爽やかスパークリング!ブルーソーダ!】
透明な缶が勢いよく砕かれ、新たなシュワライザーが覚醒した。
「爽快フレッシュ!シュワライザーブルーソーダ!」
「姿が変わったって同じことだろぉぉぉ!!」
俺が名乗った後にミステリアスは杖から電撃魔法を放つ。俺は動じること無くシュワトリガーにセットされたメダルをプッシュする。
【ブルーリキッド!】
音声共に俺の体は青いソーダのような液体に姿を変え、素早く電撃魔法をかわす。
「なに?!」
シュワライザーの新たな力に驚愕しているミステリアスの背後で、液体化を解除し、シュワトリガーの弾丸を撃ち込む。
「ぐはッ!」
油断していたミステリアスはシュワトリガーのエネルギー弾をもろに背中に喰らう。
「ふざけやけがって!」
更に怒りのボルテージを上げたミステリアスは複数の魔法陣を召喚し、現れた魔法陣から同時にいくつもの電撃魔法を放つ。
「だったらこれだ!」
電撃魔法を回避しながら俺はフォルダーから紫色のメダルを取り出す。
「グレープシールドメダル!セット!」
【プッシュ!】
【グレープシールド!】
シュワトリガーのトリガーを引くと、左腕にグレープソーダがモチーフの盾が左腕に生成される。ミステリアスの連続電撃魔法を盾で防ぎながら盾の先にある持ち手部分を手にし、盾をミステリアスに向けて投げる。勢いよく投げられた盾は電撃魔法を防ぎながらブーメランのように飛んでいき、ミステリアスの杖へと直撃する。
「しまった……!」
不覚にも杖を手放したミステリアスは動揺を見せた。その隙に返ってきた盾を持ち、
力強く盾を振りがすと、ミステリアスはすかさず俺の背後にワープした。
「終わりだ!」
ミステリアスのワープを予測していた俺は素早く振り向き後ろから奇襲をかけようとしたミステリアスの腹部にシュワトリガーを当て
「終わるのはお前だ!」
そう言い放ち、必殺技を放つ。
【ブルーソーダバスター!】
シュワトリガーから放たれた蒼いビームに腹部を貫かれたミステリアスは
「覚えていろ……人間界の戦士よぉぉぉぉ!」
と怨みに満ちた声を上げ、爆散して行った__。
★☆★☆
ミステリアスを撃破した事によって、シティア・パークルを覆っていた黒い煙と紫のバリアは消え、シティア・パークルは少しずつ都市回復に向けて進み始めていた。
「よくやってくれた。勇者よ。」
宮殿で王女様にお褒めの言葉を頂く。
「いえ、今回も俺だけの力じゃ出来ない事でした。ほんとにありがとう。ココロちゃん、ルリナさん」
「むぅー、ココロって呼んでくださいよ〜」
ココロちゃんはいつも通り頬を膨らませていた。
「確かにそうだ。2人もよくやってくれた」
「光栄です!」
王女様に褒められたココロちゃん嬉しそうに目を輝かせていた。一方、ルリナさんはと言うと
「今回ばかりは素晴らしい結果でしたね。あなたにしてはよくやった方だと思います。」
とルリナさんなりにたぶん、褒めてくれたんだと思う……?
「それじゃあ、私は次の旅の支度をしてきますね!王女様、失礼します」
ココロちゃんは丁寧にお辞儀をして部屋を出た。
「じゃあ…俺も」
「あっ、酸さん。」
ココロちゃんの後を追おうと立ち上がるとルリナさんに呼び止められる。
「どうかした?」
俺が立ち止まるとルリナさんは
「昨日のこと、ココロさんには内緒ですよ?♡」
と耳打ちし、小悪魔な笑みを浮かべた__。
シュワライザーブルーソーダどうでしたでしょうか!個人的に今回の話で聞き入ってるのはグレープシールドですね。レッドソーダのシュワライザーでもブーメランモード使わせたい!後、花音ちゃんも清楚な感じで可愛くできたと思ってます!今回も感想お待ちしております