2話「相棒は副作用持ちのメイド」
オレンジソードモードを思いつた時はアンバランスではあるけど、我ながら天才的だなと思いました。
「流れで名乗っちゃったけど、ほんとに変身しちゃった!これどうなってんの?!」
「いいから戦ってください」
俺の質問に聞く耳も持たずに美少女メイドは背中を押してきた。
「戦うたって…俺は」
言い訳を遮るようにま物が攻撃を仕掛けてくる
「うぉ!危ねっ!って……なんだこれ!めちゃくちゃ跳べる!」
なんと変身だけではなく身体能力も番組内でのシュワライザーと同じになっているらしい。
「ってことは……」
俺は再び跳ね上がり、シュワトリガーの引き金を引く。するとシュワトリガーの銃口から赤いエネルギー弾が発砲され、炭酸のように弾け魔物にダメージを与える。
「すげぇな!これ…ほんとにシュワライザーになったみたいだ…」
「みたいじゃなくてなったんですよ。ほら集中してください」
美少女メイドの忠告を聞き入れ、迫り来る魔物に蹴りを入れる。キックを食らった魔物は衝撃波と共に吹き飛んで行く。
「数が多いな……そうだ!」
俺は腰に携えられたメダルフォルダーからメダルを取り出す。
「オレンジソードメダル!セット!」
【プッシュ!】
【オレンジソード!】
トリガーを引くとシュワトリガーの上部にオレンジソーダをイメージした刃が生成される。
「行くぜ!」
迫り来る大量の魔物を一斉に切り裂いていく。オレンジソーダの刃は魔物に斬撃を喰らわせる度に弾けていく。
「終わりだ!」
【ファイナルプッシュ!】
シュワトリガーのトリガーを長押しすると音声が鳴り、オレンジソーダの刃にエネルギーが集約する。
【オレンジスラッシュ!】
「はァァァァァ!!」
必殺技の音声と共にオレンジソーダの刃に集約したエネルギーを魔物たちへと放つ。必殺技を喰らった魔王軍の魔物達は一気に爆散して行った__。
【一方、戦いを見ていた王女達は】
「おい、ルリナ……なぜ爆発するんだ…?」
「分かりません。ご主人様」
「あれが【人間界の力】か……」
☆★☆★
「初戦にしては上出来ですね」
戦いを終えた俺に美少女メイドが近づいてくる。
「どうも……」
「元の姿に戻ってもらって構いませんよ」
「うっす……」
美少女メイドに弱々しい返事をした俺はシュワトリガーにセットされたメダルを取り外し、体に纏っていた赤いソーダが弾け元の姿へと戻る。
「君の力は本物の様だな……」
「王女様…でも、宮殿が…」
「心配ありません」
「え?」
そう言って美少女メイドが壊れた宮殿に手をかざすと青い光が放たれ壊れた宮殿が逆再生のように元に戻っていく……。
「ええぇ?!」
「今のは彼女のスキル【創成】だ。」
「スキル…?」
「あなたがあのおかしいな赤い格好をしたのと同じようなものです。」
「おかしなって……」
「ちなみに君がその手に持ってる人間界の道具を使えるようになったのもルリナのスキルのお陰だ。」
王女様が説明してくれたが、困惑と驚きの影響であんまり理解できない……。
「要約すると、私のスキルを使えば壊れたものを直すこともできるし、何かに新しく力を与えることも出来る。という訳です。」
「でも、どうしてシュワトリガーに変身能力を……?」
シュワライザーの見た目もスペックも能力でさえ番組と同じだった。異世界の人はシュワライザーのことは知らないはずなのに……。
「力を与える際に見えたんです。それを作った人が想像した力が……。」
「想像した力…?」
「まぁまぁ!とにかくルリナのスキルは凄いってことだ!」
まとめが雑……。
「ま、でもありがとう。助かったよ」
「お礼はいいので離れてください」
「え?」
美少女メイドにお礼を言うもなんだか先程とは違って余裕が無いようだった……。
「どしたんだよ」
心配になり肩に触れると
「触っちゃ……」
と言葉を漏らす。
「え?」
俺が困惑しているといきなり美少女メイドが抱きついてくる。
「わわっ!な、なに?!急に…///」
「スキルを使うと無性に誰かに甘えたくなるんです…///」
美少女メイドは頬を紅く染めたまま上目遣いでそう伝えてくる。
「すまないな。少し耐えてくれ」
「………頑張ります」
【数分後】
「……こほん」
しばらく経つと美少女メイドは俺から離れて赤面しながら咳払いをした。
「……失礼しました」
恥ずかしそうに視線を逸らしている美少女メイドを見るとさっきのことを思い出してしまって余計にドキドキしてしまう。
「だ、大丈夫…///」
「すぅ……いいかな?」
王女様が気まずそうに声をかける。実際、美少女メイドが俺に抱きついている間、王女様が1番気まずそうだった。
「大変失礼しました。」
「まぁ、気にするな。かくして酸くんよ。改めて君に頼みたい。君の持つ人間界の力を使って魔王軍の魔の手からこの異世界都市ファンタジアを救って欲しい。」
「……俺にできるのでしょうか。さっきも美少女メイドさんの力がないと俺は……」
「……ルリナです」
先程みたいに囁くのは恥ずかしいのか美少女メイドは小声で指摘してきた。
「あっ、ルリナさん。」
「もちろん、1人で行けとは言わない。ここの宮殿に居るものでも私の専属の騎士でも好きなものを1人連れていくと良い。」
「誰でもいいんですか……?」
「あぁ……」
俺に考える間はなかった。
「じゃあ、ルリナさんで」
「……はぁ?!」
「な、なんで私なんですか!もしかしてあれですか!さっきスキルの副作用であなたに抱きついたからそれであなたのことが好きなったとかそういう勘違いですか!またはその逆であなたが私に惚れたんですか!」
「う、うるせぇ…落ち着けって!」
そんなに嫌だったのか凄まじい勢いで文句をぶつけてくるルリナさんを宥める。
「ルリナさんのスキルが必要なんだ」
「……やっぱり抱きつかせるためですか。変態」
「違うわ!ルリナさんのスキルがあれば残ったシュワライザーの力を覚醒させられる。」
シュワトリガーを眺めながら、事情を説明する。
「いいですよね!王女様!」
「構わない…好きに使え」
「ご主人様…///!」
意味深な肯定をする王女様に怒ったルリナさんは一息置いて
「まぁ、そういう理由なら……」
と承諾してくれた。
「これからよろしく!ルリナさん!」
俺が微笑んで手を差し出すと、ルリナさんは恥ずかしそうにしながらも握手をしてくれた。
「新たな勇者の旅立ちだ。盛大に送り出そう」
そう言って王女様は俺とルリナさんを盛大に宮殿から送り出してくれた……。
☆★☆★
「あなたの残してる力を解放するためとはいえ、スキルの副作用は気になります…」
相当根に持ってるし……。
「なのでまずはギルドに行きましょう」
「ギルド……?」
そうして俺たちは新たな仲間を求め、歩み出した__。
ルリナちゃんが酸君に抱きつくイラストがありますが、ルリナちゃんが抱きついてる男の子はあくまでイメージなので、みなさんの好きなように酸くんの見た目は想像してください。今回も感想お待ちしております