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誰も嫌がる事は誰もやらない1

2日間の休息を終え、再始動

今回の依頼は?

今日は『銀翼の羽』の活動日

いつもより支度を早く終え、待ち合わせの冒険者ギルドへと着いた。

今日は2人の姿が見えない、私が一番乗りだ!

ギルドの待合席で待っていると 二人が一緒に入ってきた。

「おはようございます。」私は椅子から立ち上がり挨拶をした。

二人は笑顔でおはよう!と答えてくれた。

リーダのアレイさん魔術師のミレさん共に2日休んで

しっかりリフレッシュしたように見える。

「じゃあ、出発するかい?」アレイさんがそう言うと私たちは頷いた。

皆でクエストボードに向かう。

「これなんかどうかしら?」手にしたのはAランク冒険者募集のクエスト。

『王都までの護衛任務。報酬金貨20枚』

アレイさんがその依頼書を見て言った。

「これは……私たちでは受けれないよ……」と少し困った顔で言う。

「どうして?ダンジョンの中よりは格段に安全よ?大丈夫でしょう?」ミレさんは口にする。

するとアレイさんの顔が曇った。

「うーん、正確に言うと私は受ける事ができない…かな…」アレイさんは顎に手を当て方眉を下げながら言った。

私は人は嫌いだけれど察するのは得意な方だと思う。

恐らくアレイさんは何か話したくない複雑な事情があるのだと思った。

「あ…あの…高価な素材収集の方が報酬がいいかなと…」私はそう言った。本心でもあったし。

別に私は誰から嫌われてもいいし誰からも好かれなくてもいいのだ。

でも何故私はアレイさんを庇ったのだろう?よくわからなかった。

「そうね、リーフちゃんの言う事も一理あるかも。」ミレさんはそう言うと、他の依頼を探しに行った。

「ありがとうリーフ君…。」アレイさんが頭の上で両手を合わせ小声でお礼を言ってきたけれど

私は「ん?何でですか?」と、とぼけて、よくわからない振りをした。

「じゃあ、この依頼にしましょう!」ミレさんが一枚のクエスト用紙を持ってきた。

Aランク冒険者募集のクエストだ。内容は……アメイリアの果実5個で報酬は金貨24枚

「ハリム砂漠のオアシスにあるアメイリアの木になっている果実よ」ミレさんは依頼書をひらひらさせながら言った。

「なるほどなぁ砂漠は体力奪われるから、みんなやりたがらないんだよなぁ。

まぁでも、王都護衛よりかは万倍ましだ(アレイさんにとって)それにしようか。」

明らかに止むを得ずといったトーンでアレイさんは言った。

私に異存があるわけもなく頷いた。

「ハリム砂漠はここから北へ半日、砂漠へ入ってからは正直分からないわ

オアシスは気まぐれに場所を変えるから水と食料の準備が必要ね」ミレさんが言った。

「リーフ君とミレは食料の準備、私は水の準備でいいかな?」アレイさんが言う。

私とミレさんは了承し市場へ向かい1週間分の食料を確保。

待ち合わせ場所へ行くと沢山の水袋を入れた荷車を引いたアレイさんが待っていた。

「さて、準備はいいかい?ハリム砂漠までは半日だけど……長旅になるだろうから覚悟してね」

アレイさんが荷物を確認する。

「よくある事ね。」ミレさんは多分こういった依頼を何個もこなしてきたのだろう。

「…頑張ります」私は両の手を胸の前で、ぐっと握った。

アレイさんがウマを一頭調達してきた。

「よしよし、砂漠についたら交易所でウマとラクダを交換するからね。」

そう言いながらウマを撫でつつアレイさんは荷物をくくり始めた。

「よし行こうか。」アレイさんの声に私たち二人は

「はい」と答えた。

私たちは街道を歩いた時間が経つ毎に草の丈が低くなり

やがて草は、まばらになり交易所の周りでは完全に一面が砂になっていた。

私は初めて見る光景だった。砂漠だ。

交易所は、こじんまりしていて一見してラクダ交換所は分かった。

アレイさんは書類にサインをしてウマからラクダに荷物をくくりかえていた。

「さぁハリム砂漠へ突入するよ。」

「はい。」私とミレさんはラクダと先導をするアレイさんについて行った。

挿絵(By みてみん)

数時間歩いてからアレイさんは私たちを振り返る。

「どうしたものかなぁ。やみくもに歩いていたら見つかるものも見つからない。」そう言った。

「オアシスは砂漠の周辺にある山に降った雨や雪が地下水となり

その地下水が湧き出すことで形成されるのよ。」つまり、私の出番ね!とミレさん。

「優雅なるウンディーネよ…我が契約に応え恵みを与えたまえアクエレイン」

ミレさんの詠唱が終わると薄い湯気のようなものが一筋できていた。

「こっちね。」ミレさんが指をさした。

「え?なんで?」即座に間の抜けた顔でアレイさんが口にした。奇遇だ私もそう思ったから。

「この魔法は本当は雨を一帯に降らせる魔法なの。

仕組みは周辺の水源とエーテルの流れを利用したもので

水が少なければ雨は降らないし水が多ければ大雨になるの

つまり水が極端に無い所で唱えると地下水脈に沿って

雲ができる。これは湯気だから目的地は少し遠そうね。

この湯気の方向に行けばオアシスは見つかるわ。」レミさんは、どことなくドヤ顔である。

「 ミ レ ! き み 天 才 じ ゃ な い か !! 」アレイさんはミレさんの方を向いて天を仰ぐようにしている。

「今頃気づいたのかしら?」ミレさんは、ちょっと得意げだ。

「す…すごいです!」本当にそう思ったから口に出た。

「リーフちゃんまでどうしたの?照れちゃうわぁ。」ミレさんはモデルみたいなポーズをとっている。

なんかいつもと違う…本当の素はこういう人なのかもしれないと思った。

私たち一行はミレさんの指さした方へ向かって歩き出した。

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