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流れ雲

私は一人馬車の荷台の隅に乗っていた。

あまりきれいに整地されていない道なのでガタガタと馬車は揺れる。

その旅に、馬車の荷台の木箱に入った積み荷も一緒になってガタガタ動く。

空には雲が浮かんでおり、ゆっくりゆっくりと流れてゆく。

私はゆっくり目を閉じ横になった。

どのくらい時間が経っただろうか、馬車が止まる。

野太い男たちの声が聞こえる。

御者は「冒険者さん!冒険者さん!」と私を呼んでいる。

私は荷台からローブを翻し地面に降りる。

前方へ向かうと如何にも追剝です。

といった風体の冒険者崩れの男たちがいた5・6人ほどだろうか。

「なんだァ?てめェ……」追剥たちは、こちらをじろじろ見ながら言う。

「お前の娘か?何で呼んだ?」追剥は御者に問う。

「ぼっ…冒険者さん!ガ…ガードをお願いします!」御者は私の方に向いていう。

「冒険者だァ?この小娘に助け求めてんのかお前は、ガハハハハハハ!」

追剥たちは御者を笑う。

杖と本は荷台に置いてきた。

「グラビティー」そう言うと私は人差し指を追剥の方へ伸ばし

スッと水平にする。

「ガハハ…ガッ?!」笑いと共に呻き声を出し追剥たちは地面に突っ伏す。

「なっ!…何しやがる!」地面に顔を張り付けたまま追剥は言う。

私は無言で指先を少し下方へ下げる。

「イデッ!イデデデデ!!」

「わかっていないようですが、既に私の方が優位だというのは理解できますか?」

「フザケルナッ!クソが!」さっきから喋っている追剥のリーダーらしい男は言った。

ボギッ!男の方足の骨が砕ける。

「ゴァッ!!」男は叫び、私は再び問う。

「既に私の方が優位だというのは理解できますか?」

「わ…わかった…す…すまない事をした…。」男は言う。

私は御者に問う。「殺しておきますか?」

「ヒィッ!!」男たちは怖気づく。

「いっ…いえ…そこまでは…追って来れないようにできます?」御者は聞いてきた。

「わかりました。」私は言うと

ベキッ!ゴキャッ!ボキッ!男たちの両の足の骨を丁寧に粉砕した。

「ギャァーーーーー!!!」追剥たちは叫ぶ。

「ヒィッ!」御者も怯んでいる。

「取り合えず私は依頼主の要望に応え、これ以上はやめておきます。

ですが、ポーションなり回復なりで回復し追ってきた場合、今度は殺します。

いいですね?」私は言うと。

「すみませんでした!すみませんでした!」と謝っている。

「これで宜しいでしょうか御者さん?」私は言うと。

「凄い!あなたの腕は本物だ!おかげで助かりました。

それでは狭いですが荷台へお戻りください。」

「わかりました。ゼログラビティー。」私は追剥どもを街道の横の草むらに移動させ

荷台に向かい、そのままヒョイと荷台に飛び乗った。

「出していただいてもいいですよ。」私は御者に言うと

御者は手綱を捌き再び馬車はゴトゴト街道をゆっくり走りだした。

馬車は東へ向かっている。

荷馬車の後ろから遠くなってゆく追剥どもの姿を、ぼーっと眺めていた。

追いかけてくる様子はなさそうだ。まぁそうだよね私は思いつつ

目線を空へ向けた。雲は相変わらずゆっくりゆっくり綺麗な空を流れてゆく。

ガタゴト積み荷は揺れる。

時間は少し遡る。

私は転送魔法で生まれた町へ戻っていた。誰も私を気に留める者はいない。

そのまま私は街を出て東へ歩いた。

次の町の冒険者ギルドの依頼掲示板を見ていた。

数ある中とある依頼が興味を引いた「ふむふむ、東方向の町への荷馬車の護衛 20金貨。」

うん、私は東へ向かいたかったのでうってつけの依頼だ

早速依頼主の面接を受ける。私を一目見ると明らかに失望の表情が浮かんだ。

私バックパックから、闇魔法S級治癒術師S級の資格証を見せた。

すると御者は驚き「Sランク冒険者とは!ぜひ依頼を請けてください。」受諾は速攻だった。

こんな証明書でも役に立つんだな。そう思いながらバックパックにしまった。

「それではさっそく荷馬車を持ってきます積み荷の最後尾にスペースがありますので

狭いですがそこでお過ごしください。」

「わかりました。」私は言うと、ものの数分で馬車はきた。

「それでは冒険者さんお願いします」御者は言うと。

「お任せ下さい。」と私はいい、ヒラリと荷台に乗り込んだ。

御者の手綱捌きで、町を後にした。街道に沿って東へ向かう。

更に時間は遡る。

場所はランドンの宿屋。

「今日早馬で駆け回りたい気分なんだよね!リーフも来るよね?」エマさんは言う

「私はぼーっとしていたいのでお留守番ですね。」

「そっか一緒の方が楽しいのにな、夕方までには帰ってくるよ!」

最初はむくれていた顔したエマさんだったが笑顔で言った。

エマさんは宿屋のドアを開け出て行った。

私は前回のリッチ討伐の時、私はエマさんが死亡した時泣きそうになった。

既に私はエマさんに依存している。よくない傾向だ。

『人を信じない、人に依存しない、人を好きになってはいけない。』

何故か?

人は必ず意見・思想の対立から、例外なく必ず裏切る。

裏切られた時信頼が深ければ深いほど

私の心は壊れる既に壊れているが更に砕け散るといった方が良いだろうか。

これは自衛反応だ。これは一生変わる事のない私の価値観だ。

私にとってこれは好機だった。急いで手紙を書いた。

『親愛なるエマさんへ、私は旅へ出ます名残惜しいですがお別れです。

残りの金貨はエマさんに譲渡します。郊外なら大きな屋敷

ここランドンなら一軒家を購入できるだけの資金はあるでしょう。

あなたの未来に幸のあらんことを。

バックパックに詰められるだけ300枚の金貨を詰め込み

手荷物を持って宿屋を後にした。

人影のない所を見計らって詠唱を始める。

「闇より、出でし眷属、汝の闇は、また我が闇なり、万物の理を曲げここに顕現せよ!ブリッジオブローゼン!テネブラールム!」

私は孤児院を逃げ出した最初の町へ私と荷物を転送した

閑話休題

日も暮れてきた最寄りの町で私達は休息をとることにした。

宿賃は依頼持ちだ、節約になる。

それぞれの部屋で休み、翌朝を迎えた。

既に馬車の準備出来ており私は荷台に乗り込んだ。

馬車はゆっくり進みだす。

ザイデンシュトラーセンを東に向かう言い換えればシルクロードだ。

今日も私は荷台でゴトゴト揺れている。

道中何度も追剥や荒くれ者が居たが。

私が始末した。依頼人の要望で命は取らないで置いた。

私達はステップと呼ばれる草原地帯の街道を東へ進んだ。

やがてトンキンという街についた。

先ず感じたのが建物の様式が全く違う事だ。

二つ目は言葉がわからない。御者は知らない言語で会話し取引していた。

私は杖を地面に一体叩き「トランスレイション」と唱えた。

うん。取引の言葉の意味が分かる。

そして頭で構築した言葉に出そうとすると、現地語になるという便利な魔法だ。

一通り商談を終えた御者さんが戻ってきて、報酬を渡してくれた。

「ありがとうございました。お世話になりました。」私が言うと。

「とんでもない!私の方こそ色々助けていただきありがとうございました。」

言葉を交わすと、互いに別れた。

日が沈みかけていたので私は宿屋を探すことにした。

私は一軒の宿屋らしきところへと入っていった。

『いらっしゃいませ、おひとりさまですか?』脳内に響いてくる

「はい1人です」私は言うと。

『それぞれ、金銀銅一枚のお部屋がありますが?』

「それでは金貨一枚の部屋で」そう言い金貨一枚をカウンターに置いた。

私は部屋に案内され、丁寧に夕食も部屋に持ってきてもらった。

「辛みは強いものの食欲を誘発する味で美味しく全て平らげた。」

翌日チェックアウトをし乗合馬車で東へ向かい

港が見えてきた。

私は港町に入ると水平線を注意深く眺めた。水平線は平らではなくて湾曲している。

『この世界は信じられないかも知られないが球体なのだ。

私は便宜的に水球と呼んでいる。なぜならこの水球は陸地がわずか3割りで

海が7割を占めているからだ

君の使っている重力魔法はこの球体の水球の中心部に向かって

働いている重力を利用した魔法だ。』

本の記述を思い出していた。

ちなみに、この大陸の先には、そこそこの面積の島があるらしい。

私の目標はをとりあえずその島だ。

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