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駆け出しテイマー

今日も今日とて、冒険者ギルドの掲示板チェックだ。

一通り依頼に目を通した私は、うーん今日は、そそられる依頼がないなぁ。

掲示板を後にし、たまには散歩でもしてみるか。そう考えた。

ここベノレは壁に囲まれ、門が東西南北にある。

中心部には城があるため。城を守るための城塞都市といった所だ。

エマさんに連れてきてもらったのは南門。

賞金首を連行したのは北門から出て数キロ行った先

北側は、そのあたりから険しい崖が続いている。

東は湿原らしいまだ行ったことが無い。

西は暫く歩くと森だそうだ。

散歩するなら森だろうなぁ。私は門の衛兵に、「お疲れ様です。」と声をかけ

西門から出た、しばらく歩くと一面に森が広がっていた。

新鮮な空気を感じる。

私は森へ入ると早馬が通れるぐらいの幅の道を歩いていた。

道には木々の間から漏れる光と影が映し出されている。

木漏れ日の中それを眺めながら私は進んでいた。

すると離れたところに鹿に話しかけている少女を見かけた。年の頃は私と同じくらいだろう。

「大丈夫よ…安心して…傷つけたりしないから…。」鹿は気にせず歩き回っている。

すると鹿はピタッと立ち止まった。私も立ち止まっていた。

「よしっ、フォロウ!」少女は言うと

鹿は少女にすり寄ってきた。「いい子ね。」頭をなでている。

「じゃあね。」と言い。「リリース!」と声をあげるとすり寄っていた鹿はまた

気ままにその辺をさ迷い歩いていたが、森の奥へ突然逃げ出した。

どうしたのだろうか。そう思っていると、少女の前へ狼が飛び出してきた。

どうやら鹿を狙っていたのだろう、獲物に逃げられた狼は

その少女に狙いを変えていたようだ。狼は姿勢を低くし今にもとびかかりそうだ。

少女は狼に近づいて行った。

「大丈夫よ…。」少女は言うも狼は少女に襲い掛かった。

少女は左腕を前に出し噛みつかせた。「つッ…!」少女の腕に牙がめり込み

血がツーっと腕を伝い流れ落ちる。

「安心して…傷つけたりしないから…大丈夫…心配しないで…。」

狼の動きが止まる。腕から牙が離れる。

そして伏せの状態になり。上目遣いに少女の方を見つめた。そこには主従関係が構築されていた。

「いい子いい子。」そう言いながら右手で狼の頭を撫でる。

狼は目を細め気持ちよさそうだ。

「リリース!」と少女が声をあげると狼は森の奥へ歩いて行った。

「我らが親愛なる神よ、傷つきし子羊の肉体をあるべき姿へ戻し給え、ヒール!」

私が詠唱すると少女の傷は、あっという間に完治した。

そこで少女は私の存在に初めて気づいたようだ。

「あっ!すみません。!」立ち上がって私に頭を下げた

私はあえて彼女の行動を邪魔しなかった。知っていたからだ。今のはテイミングだ。

彼女は冒険者の職業『テイマー』のようだ。成長すれば主従関係を結び

ドラゴンでさえ使役できるようになる。

ドラゴンを従えたテイマーを人々は畏敬の念を込めこう呼ぶ『ドラゴンテイマー』と。

しかし森の中でテイムをしているところを見ると、まだテイマーとしては

駆け出しなのだろう。

「ありがとうございました!失礼します!」そう言うと彼女は小走りに

森の奥へと駆けていった。

実は私にもテイマーの素質はあった。

テイマーの第一条件は人が苦手、嫌いである事なのだ。

テイムスキルが上がりきってしまえば、その制約はなくなるらしいが

テイマー職の入り口にはその条件が必須なのだ。

それは、動物やモンスターと絆という主従関係を結ぶのに必須だからだ。

その証拠に彼女は私に社交辞令を述べ、名前も告げず

すぐさま森の中へ入っていった。

私が足を止め見守り、久しぶりの治癒術を使ったのには理由があった。

彼女は私と同類の人間だからだ。

暫く森を散策し、私は町へ戻った。

衛兵に身分証を提示し中へ通してもらう。

私は同類を発見した事で、探索に満足していた。

その足で掘り出し物がないか、露天商を見て回った。

特に目を引くものは無く、いつの間にか空は赤くなっていた。

私は宿へを足を向け、1Fで食事をとり部屋についた。

ナイトルーティーンをこなし、しばらくすると眠気がやってきた。

その日は心地よく眠りについた。

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