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行き詰まりと発見と誤解

うーん…書いてある事がよくわからない。

『重力』についてだけは理解できていた。

私たちは常に下の方に引っ張られている。

力の加減をイメージで操れば潰すこともできる。

逆に物、または領域に逆方向の力を加えれば浮かすことができる。

次のページに書かれている『真空』については

イメージもできないし疑問も残る。

詠唱さえすれば出来る闇魔法の方がずっと簡単だ。

さっきの路地裏の事例から考えても、使いこなせれば

かなり便利なのは間違いないのだと思う。

理解できてイメージできるようになるまでは

どうやらSランク魔法と重力魔法だけで活動することになりそうだ。

正直なところ重力魔法だけで殆ど解決してしまいそうな気はする。

ナイトルーティーンをこなし

増幅装置たる杖なしで、粘土の塊を指先で指し示し

グラビティーを使うとぺしゃんこになり

ゼログラビティーを使うと宙に浮いた

これは訓練になるんだろうか、何度も繰り返せば、なれてくる。はず。

そう自分に言い聞かせ何度も繰り返した。

ん?反対の力場を生成すれば物質は弾けるのでは?ふと思い浮かんだ。

全裸になり杖を持ちシャワールームに入る。私の周りを球状に内から外へ力場を発生するイメージ。

トンと杖で床を叩いた「グラビティー」水を出してみると

水は私の周りを球状に避け流れ落ちている。

シャワーを止めた。これは防御に使えそうだ。シャワールームを出て

杖を立てかけローブを着なおした。

翌日私はダンジョンの前にいた。ここはEランク冒険者が適正とされている死霊のダンジョンだ。

テストで危険は冒せない。死んでしまったら元も子もない。そう思いつつ階段を下りて行った。

ダンジョンの中は当然だが暗い、視界は半径3メートルといった所だろうか。

「火属性の魔法使いでもいれば火球を生成し先まで見通せるのだけど…。」

ぼやいていても仕方がない。

杖で地面をトンと1回叩く。「グラビティー」私は球状の力場を作り出した。

奥へ歩いてゆく。地面がモソモソ動いている。

これはあれだ、定番のあれだ。ゾンビが数匹這い出してきた。

そして私に群がる「アー…アー…」声を上げながら。

うん。予定通り力場の中には入ってこれない。

力場に爪を立てガリガリやっている。しばらく様子を見た後

杖で地面を叩き「グラビティー」と唱え杖を水平に構えると

周囲のゾンビは中腰になる。

押しつぶすイメージで杖の先端を下げる。

ゾンビは崩れ去り土と混じった。

「いけるね。」そう呟くと奥へと私は進んでいった。

待ち受けていたのはスケルトンだ。3体ほどいる。

少し心配しながら近寄っていく。スケルトンは剣を振りかぶった。

ガキンと鈍い音がして骨の戦士は反動でよろめいている。

次々と襲い掛かってくるキィン!ガキン!

同じく2体も反動で仰け反っている。

「うん。力場はちゃんと剣も弾いてくれてる。」

物理系はこれで無敵かもしれないと思いつつ。

暫くそのまま様子を眺めていた。

まるでスケルトンのダンスパーティーだな。と私は思った。

さて、そろそろ屠るかと思った時。

「危ない!下がるんだ!」と声が聞こえ咄嗟に下がった。

声の方を見ると4人いる。冒険者か!

斧と剣を持った二人がスケルトンと打ち合う、結構互角な感じだ。

「炎よ我が声に耳を傾け、ここに収束せよ!ファイアーボール!」

あーこれEランクの火の魔法だ。という事は…Eランクパーティーかな?

丁度おあつらえ向きのダンジョンだからかー。そう思っていると

一匹のスケルトンは魔法で胸骨を射抜かれ、ばらばらになって地面に転がった。

「ハァッ!」剣士は、ガキィン!とスケルトンの剣を弾き

袈裟斬りを決めスケルトンは地面にバラバラと崩れ落ちた。

「ウオらァ!」斧の方は体当たりをしてスケルトンを転倒させ

頭蓋を斧の一撃で粉砕しスケルトンは動かなくなった。

「大丈夫か!けがはないか?!」あっ、これ近くに来るやつだ。と思ったので、慌てて力場を消した。

皆、歳は3つぐらい上だろうか、剣士はぺたぺたと私の体を触る。うぅこれはつらい触らないで。

「こんなに怯えて…」と言いつつ肩と背中を撫でてくる

いや触られているのが、つらいんですけど…と思いつつ。離れるように身を引き

「助けてくださってありがとうございました。」ぺこりと頭を下げる。

社交辞令を忘れてはいけない。

「けがはないようだね、君1人なのかい?」私は頷いた。

「ダメじゃないか!まだ年端も行かないのに!

君のような冒険者が、1人で来てはいけない場所だ!」

私は説教をされている。うん間違いなく説教されている。

「わかりました帰ります。」ぺこりと再びお辞儀をして入口へ向かう。

「大丈夫だよ僕らがついてるからね!」私をガードして入り口までついてきた。

「もう危ないことしてはいけないよ!」ダンジョンを出ると、とびきりの笑顔で見送られた。

一行は再び階段を下りて行った。

何だろう。なんだろな。まだ試したいことはあったのだけれど

また怒られるのは嫌なので帰途についた。

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