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別れと新天地と黒の魔法

朝が来た。いそいそと支度をする。部屋の片隅にある杖だけを持って、部屋を出た。

階段を下りながらバックパックから金貨を10枚取り出す。

宿賃担当のお姉さんに「お世話になりました。本日で退去します。これは退去費用です。」

そう言って金貨10枚を渡す。「ありがとうございました。」いつもの営業スマイル。

後腐れは無い方が気をかける事もなくて楽だ。

転送魔法でエルドさんを迎えに行くと準備をして待っていた。

「お加減は如何ですか?」

「えぇ、万全です。生前と何ら変わらないところまで来ました。

これも、あなたのお陰です。感謝します。」

方胸に手を当てエルドさんはお辞儀をした。

「それは何よりです。それでは転送魔法を使いますので近くに寄ってください。」

私は転送魔法を唱え2人は、いつもの町中にいた。

「おぉ…懐かしい…。」エルドさんは周りを見渡し感慨にふけっている。

私は暫くその様子を見守った。

「これを。」私はバックパックから例の革袋を取り出しエルドさんに渡した。

「これは私がアレイに渡していたもの。今はあなたが預かっていたのですね。」

「はい。本来の持ち主にお返しします。」エルドさんは受け取り

言った。

「それではともに冒険者ギルドへ参りましょう。」

「それなんですけれど、サプライズの一環で私は買い物に行きたいので

エルドさんだけで向かっていただいて、私は後に合流したいと思います。」と私。

「うーん…難しい顔をして、果たして私一人で行って信じてもらえるかどうか…」

不安そうな顔でエルドさんは言う。

「以前の記憶はありますか?何かアレイさんと、あなただけが知っている秘密のようなものは

ありませんか?」そう言うとエルドさんは

「いくらでもあります。私は彼の弱みもたくさん知っていますからね。」悪戯っぽく笑った。

「それでは決まりですね。」私はそう言うとエルドさんは冒険者ギルドへ

私は、いつもの人気のない町はずれに駆け出した。

私は杖で2回トントンと地面をたたいた。

「闇より、出でし眷属、汝の闇は、また我が闇なり、万物の理を曲げここに顕現せよ!ブリッジオブローゼン!」

さようなら私は心で呟くと

「テネブラールム!」

次の瞬間私はスェイスの首都ベノレにいた。

その後の事は、知らない。あの町の事は私の中でリセットされた。

Fランクだった私をSランクまで育ててもらった恩は、返せただろう。

あの3人なら楽しくやっていけるはずだ。アレイさんも

もう一人になった時フラバも無くなるだろう。色々満足だった。

あの町は私に優しすぎた。私は優しくされるのは苦手だ。

嬉しい気落ちになるのは本当だけれど

それ以上に借りを作ったというストレスの方が大きく感じるのだ。

そういった意味で、あの町では本当の意味で安らげる瞬間はなかった。

私は自由になったのだ。

足取り軽く前もって荷物を運んでおいた宿屋に向かい部屋へと入る。

持ち物はそんなに多くはないので、荷解きはすぐに終わった。

うーん、とりあえずこれだよね。山になっている金貨だ。

ここスェイスは頑丈な城壁をほこり、かなり軍事に力を入れている国家だ。

何故なら、ここは永世中立国であり、どの国とも組みせず独立を保っている。

それが故に大体の資産家はこの国の首都ベノレの貸金庫に財を預ける。

言ってしまえば身もふたもないが、国が敵対すれば、その国の資産家の資産を没収できるのだ。

従って貸金庫の料金は安いが敵対しない限り安全なのだ。居住していればなおさらだ。

バックパックに入る金貨は500枚が限度、手元に100枚ほど残しておくとして、2往復すれば、貯金は完了だ。

私は早速貸金庫に行き受付でサインを済ませ2往復し金貨1000枚を貸金庫に預けた。

宿へ戻ると、次は冒険者ギルドへの登録だ。国が違えばギルドの管轄も変わる。

再登録が必要なのだ。

闇Sランクの資格証をバックパックに入れた。

治癒術Sランクは知れ渡ると、パーティーに引っ張りだこになるので

そっと部屋の収納ケースにしまった。めんどくさいのはごめんだ。杖を手に取り宿を出た。

宿から出ると、冒険者ギルドへ向かった。扉を開け中へ入る。

待合室をチラと見ると前の町とは雰囲気が違う。

半分ほどはガラの悪そうなゴロツキだとすぐに分かった。

受付に向かい闇Sランク証を掲示しサインをして登録は終わった。

依頼掲示板はドアの外にある。

目を通しておくかな、外に出て掲示板を見てみた。

ざっと目を通す、こんな感じか、一人でこなせそうなものには限りがありそうだ。

そんなに、お金には困っていなかったので宿へ戻ることにした。

帰途の最中気が付いた。

『つけられている。』

気配も消そうとしないゴロツキが私を追ってきたようだ。

ギルドの待合室にいた冒険者だろう。クズが。

宿屋へ戻る予定だったけれど、予定を変更し裏路地に入った。

おあつらえ向きの行き止まりだった。

振り返るとゴロツキが立っていた。

「嬢ちゃんバックパックを見せな。」離れた位置からバックパックを開け奴に見えるように中を見せる。

Sランク証と金貨5枚が入っていた。

「意外とあるじゃねーか!その金貨よこしな!」下卑た笑みを浮かべナイフを抜きつつ言った。

相手から見たら私は小娘だ。完全になめられている。

「私はSランク闇魔術師だ。覚悟があるなら腕ずくで奪えばいい。」

悪党相手に下手に出る必要は無い。

「言ったな、詠唱前にやってやるぜ!」そう言ってとびかかってきた。

私は杖で地面を1回たたき相手に杖の先を向け「グラビティー」と口にした。

「ゲヘッ!」ゴロツキは空中から強制落下し無様に地面にへばりついている。

「てめ…何しやがった…!」こちらを見る事も出来ない。顔も地面にへばりついているからだ。

『黒魔法は原初の魔法であるが故に、長い詠唱を必要としない。ワンフレーズさえあれば事足りる。

グラビティーは対象に重力をかける魔法。これは物理法則に基づくもので、簡単に行使できる。』

あの魔術書のワンフレーズだ。

私は無言で杖をやや下へ向けた。

「グアッ!ゲホッ!」ゴロツキは、ベきべきと骨が折れ血を吐いた。重力負荷を強めたからだ。

「私がもう少し本気を出せばお前は、この場で肉塊と血の水たまりになるわけだが。

続けるか?やめるか?お前に決めさせてやる。」私はそう問うた。

「すみません!すみません!もうしません!命だけはお助けを!」ゴロツキは懇願してきた。

「私の名はリーフ。ゴロツキ仲間に伝えろ。私に手を出せば()ると。」私は蔑む目で言い放った。

「ひぃぃわかりました!伝えます伝えます!ご勘弁を!」ゴロツキは助かりたくて必死だ。

私は杖を立て重力をほどいてやった。骨も折れてるし内臓も損傷しているだろう、すぐには立てないはずだ。

「忘れるな。」私はゴロツキの横を侮蔑の目で視認しつつ通り過ぎた。若干迷いつつ宿屋への道へ戻った。

宿屋へ戻ると昼食をとり部屋へと戻った。

やれやれ、都会は物価が高い食費一回に銀貨3枚だ。

金貨1枚で銀貨5枚、銀貨1枚で銅貨5枚のレートだ。

私は、椅子に座りテーブルの上に置いてある白と黒の魔術書を開いた。

色々清算したリーフは別天地で新たな冒険生活を送る事となる

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