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初めての国境越え

計画第二段階

国境を超える

次の日、私は馬宿へ来ていた。

私は隣の国スェイスの首都ベノレに伝達に行く早馬を探していた。

馬宿主に相談をすると、帳簿をめくり「2人いるな。」と教えてくれた。

「1人は男性1時間後出発2人目は女性2時間後に出発予定だ。」と詳しく教えてくれた。

何故そんなことを聞くんだ?と聞かれたので、あわよくば一緒に乗せていって欲しいと答えた。

馬宿主は難しい顔をして無理なんじゃないなぁと言った。

何故?と聞くと、馬宿を利用するのは早馬と呼ばれる一刻を争う伝令を伝えるためのもの

誰かを乗せるような余裕もないし、そもそもが馬宿は疲れた馬を一時的に休ませるために使う場所で

わざわざ2人乗りなんて馬が疲れるような事をする人はいないと思うぞ?との事。

私は気落ちしたが、一応引き合わせてほしいと頼んだ。

「いいけど、変に食い下がるのはやめてくれよ?次から利用してもらえなくなるからな。」

うん、正論だ。

「わかりました宿主さんに迷惑はかけませんので、お願いします。」とペコリと頭を下げた。

「よし、いいだろう馬の引き取り手が来るまで待ってなさい。

そこの待合室で座っているといい、きたら呼んであげるから。」と馬宿主。

「わかりました。」と答え、待合室で座って待つことにした。

人を待っている時ほど時間が長く感じる事はない。

私は黒魔法の章に書いてあった。物を浮かす魔法で暇つぶしをした。

目の前には机があってペンがある。

私は頭の中で、そのペンが浮くイメージを浮かべる。

「ゼログラビティー」小声で呟き人差し指でペンを指さしクイと指を上げた。

ペンは少し宙に浮くと、カタカタ動きテーブルに落ちた後床に転がった。

杖がないとこんなものだよね。そうぼんやり考えていると

馬宿の主人から声がかかった

「男性きたぞ!」

私は慌てて外へ出た。そして私の希望を男性に伝えた。

「君は何を考えているんだ?!我々はお遊びをしているのではないぞ!

一刻も早く伝令を伝えねばならんのだ!」一喝された。

男性は、そのまま馬に乗ると手綱を握り行ってしまった。

「まぁそうだろうな、次に期待しな。」馬宿の主人は言った

出鼻をくじかれてしまった。

私の中にあった薄っすらとした期待は急下降した。

だめかもしれないなぁ。と思いながら待合室で椅子に座った。

先ほどの暇つぶしと違って、次、断られたら、どうしようか…。

と思考をめぐらせた。考え事をしていると時間は早い。

「おーい!女性きたぞ!」主人が私を呼ぶ。

私は急いで外へ出た。

歳は20前半といった所だろうか、気品のオーラを纏った人だった。

そして…女性…?失礼ながら胸がフラットなので美形の男性のように見える。

私は必死で希望を伝えた。報酬も金貨50枚とかなり多めに提示した。

「うん、いいよ。僕は特段急いでいないし。」…僕?女性なのに…僕?初めてこういう人に会った。

「あとね、報酬はいらないよ、旅は道連れ世は情けって言うでしょ?

1人より二人の方が楽しいよね、ハハハ」と笑いながら言った。笑顔が素敵だ。

「よかったな嬢ちゃん!」馬宿主はニヤリとした。

「はい!馬宿主さんもありがとうございました!」私はそう言うと。

「僕の名前はエマよろしくね。」そう言うとひらりと馬に跨り

「お手をどうぞ、お嬢様。」と言って手を差し伸べた。

「私はリーフと言います。」そう言って私が手を握るとヒョイと

エマさんの前に乗せてもらった。

「主さんいつもありがとう!」そう言うとエマさんは手綱を引き

「ハイヤー!」と言うと馬は駆けだした。

颯爽とした風が全身を駆け抜ける。いい感じだ。

でも風の音が強く、多分エマさんとの会話はできないなと思った。

日が沈む頃、検問所が見えてきた。横に詰め所らしい建物があった。

「ドウ、ドウ。」エマさんは衛兵手前で馬を止める。

「通行証を拝見したい。」強面の衛兵が言った。

「うーん通行証はないね。ハハッ」エマさんはそう言い笑った。

「ふざけるな!貴様!」衛兵は距離を詰めてくる。

「じゃあ、これならどうかな?」エマさんは、紋章付きの、きめ細やかな意匠の施された

高給そうなアクセサリーを見せた。

衛兵の顔は青ざめる。

「僕はエマだよ。知っているかな?」衛兵は完全に凍り付いている。

「しっ失礼しました如何なる処分も厭いません!如何様にも。」

衛兵は地面に額をこすりつけている。

「いや、僕は通してくれるだけでいいよ、君は職務に忠実な人だね偉い偉い。」

そういうと衛兵は頭を地面にこすりつけながら。

「何という寛大な処分!何というもったいないお言葉!終生忘れません!」衛兵は言った。

「いやぁ大げさだなぁ、さぁ頭を上げて、これからも職務に励んでね。」

そう言うと衛兵は顔を上げた泣いていた。

処分を覚悟した時の涙なのだろうか、恩赦に対しての涙なのだろうか。知るすべもない。

「じゃあ通してもらうよ、ちなみに、この子は僕の友人でね、通してくれるだろ?」

「勿論です道中ご安全をお祈りします!」敬礼をしながら衛兵は見送ってくれた。

「ハイヤー」エマさんが手綱を引くと馬は再び走り出した。

夜も更けてきた。

「ある程度進んだところで町が見えてきた。」エマさんは街中へ馬を進めた。

馬宿で止まると、ひらりと馬から降り。

「さぁお嬢様お手を。」と先ほどのように手を伸ばしてきた。

あの…お嬢様は…なんか恥ずかしいのですけれど。というと

そうかい?僕は楽しいよ楽しそうな笑顔だ。

エマさんに付き合う事にした。手を差し出すとひらりと私を下ろしてくれた。

エマさんは馬宿主に話を付け馬を預かってもらうことにした。

「さーて宿を探さないとね。僕は静かな宿がいいなぁ。」エマさんは言う。

おあつらえ向きに酒場が併設されていない、静かな宿が見つかった。

「ダブルのVIPはあいてる?」エマさんは、そう聞くと。

「ございます。一泊金貨2枚になりますが、どうなされますか?」受付嬢が聞く。

「うん、そこにするよ。」エマさんは刺繍の施された高価そうなバックパックに手をかけた。

私はすかさず自分のバックパックから金貨を2枚取り出し受付カウンターに置いた。

「リーフ君だっけ?無理しないでいいよ僕が払うから。」そう言うと

私はバックパックを開けエマさんに見せた。

「リーフ君は歳の割にお金持ちだね、金貨50枚の報酬はブラフと思っていたが違ったようだね

まぁ君の気持ちもわかる、お言葉に甘えるよ。ウインクしながら言った。」エマさんは言った。

2人は2階に上り指定の部屋に入った。

「先ずはお互いシャワーを浴びよう、その日の汚れはその日のうちにって言うだろ?」

私たちは交代でシャワーを浴びた。二人とも腰掛けくつろいでいた。

私は気になっていた質問をぶつけた。

「エマさんは何者なんでしょうか?関門での出来事はただ者ではないと感じました。」

「君には隠しておきたい秘密はあるかい?」「はいあります。」

「私もそれかな?ごめんね」とても説得力がある。私には隠しごとに関しては

思い当たる節が多すぎて数えきれない。

「話が早くて助かるよ、君は賢い子だね。」微笑みながらエマさんは言った。

「僕からも一つ質問いいかい?何でペノレに行きたいんだい?」

「ペノレに拠点を置きたいのです。

まもなく私は宿なしになるので…」

「そうかそれは大変だね、でもペノレはいい所だよ僕が保証する。」

「それは楽しみです。」話をしているうちに右随分髪は乾いていた。

「さーて、明日も大変だから、そろそろ寝よう。」私はエマさんの提案に同調した。

以外に馬は同乗しているだけでかなり疲れる。エマさんおやすみなさいと心で呟き私はすぐ眠りに落ちた。

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