表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/32

経過観察と伝達

翌朝私は町はずれの人気のない所にいた。周囲を見回し誰もいない事を確認して

「闇より、出でし眷属、汝の闇は、また我が闇なり、万物の理を曲げここに顕現せよ!ブリッジオブローゼン!

テネブラールム!」

私は、とある町の入り口にいた。

そのまま町の宿屋へ向かう。出入り口の扉から入り階段をのぼり、ある部屋の前で止まった。

コンコンとノックをし名乗る。

「『銀翼の翼』のリーフです。」

扉が開き出てきたのはエルドさんだ。

「おぉ、どうぞ中へ。」そう言うとエルドさんは私を部屋に招き入れた。

「さぁ座ってください。」エルドさんは椅子へ誘導するように手を伸ばす。

椅子は一つしかない。

「椅子は一つですが…。」私が言うと。

「私はこのまま立っていても平気です。」エルドさんが答える。

「お体は大丈夫なのですか?」

「えぇ、あの日あの時は自分の体でないような違和感がありましたが。

1週間たった今、その違和感もほとんどなくなりました。」そうエルドさんが言ったので

遠慮なく私は椅子に座った。魂が器に馴染んでいる。あの魔術書の通りだ。

「すみません、予定が1週間伸びました。正確には6日後です。銀翼の翼の活動日はその日となりました。

ちなみにエルドさんの事は何一つ言っていません。所謂サプライズです。ところで治癒術の方は試されましたか?」

「そうですか。私も色々治癒術を試しましたが、まだ本調子とはいかないようで

私としては、残念でもあり朗報でもあります。6日もあれば、本調子に戻るでしょう。」エルドさんは言った。

「宿賃、そろそろ切れますよね?今日は帰還の日と、その件について来ました。

手を出してください。」私は立ち上がりエルドさんに言った。

エルドさんは俯き無言だった。「申し訳ない…」暫くの沈黙の後そう言って手を差し出した。

私はバックパックに手を伸ばし中に入っていた金貨15枚を渡した。

「いけません、これは、多すぎます!」エルドさんは言った。

「私も銀翼の翼のパーティーメンバーですし、今後手助けして頂くことも多々あるでしょう。

お気になさらず、お受け取り下さい。」そう返すとエルドさんは戸惑っていたが、受け取った。

「わかりました、今後の依頼で、あなたへの恩を返すことを誓いましょう。」跪き、胸の前で両の手を組み

祈る姿勢で私に言った。

「そんな恭しい態度やめてください。今後、接しにくくなります。」私は焦っていった。

「そうですね、失礼しました。遠慮なく使わせてもらいましょう。」笑顔でエルドさんは答えると

隅の棚の上の袋に金貨をしまった。

「一つお尋ねしても?」振り返りながらエルドさんは言った。

「はい。」

「私は確かに死んだ。あなたが蘇生してくださった。どのような…」

エルドさんはそう言いかけたところで、私は彼の言葉を遮った。

「申し訳ありません。言いたくないですし、言えません。」きっぱりと断った。

「そうですか…恩人のあなたへの無粋な質問をしたことを、お許しください。」

胸に片手を当て頭を下げエルドさんは謝罪をした。

「そう思われるのは当然だと思います。…こちらこそ話せず、すみません。」私は頭を下げた。

「おやめください。わかりました。私は神の奇跡に遭遇した。そう思っておきます。」エルドさんの言葉に私は。

「はい、そうしておいてもらえると助かります。」と返した

「それでは6日後お迎えに来ますので朝までに支度を整えておいてください。」

「委細承知しました。しばし研鑽を重ねつつ楽しみに、お待ちしております。」エルドさんは言った。

「それでは失礼します。」私はぺこりと頭を下げると。

「あなたに神のご加護がありますように。」そう言うと私を部屋から送り出してくれた。

私はその町の人気のない場所を探し、辺りを確認してから。

「闇より、出でし眷属、汝の闇は、また我が闇なり、万物の理を曲げここに顕現せよ!ブリッジオブローゼン!

テネブラールム!」

私は、元の町の入り口に戻った。

まだお昼頃だった。私は宿屋へ歩いてゆき部屋に戻った。

「あと1週間。」そう呟くと、私は荷造りを始めた。

荷造りは夕方には終わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ