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第6話


 汝ら。


 木を伐り。


 草を枯らし。


 川を沼を埋め。


 地に水に空に生けるもの悉く滅する。


 我らを乞い願い生まし。


 しかして顧みぬ。


 汝らよ。



 Amidst Global Warming Hysteria, NASA Expects Global Cooling

 

 NASA Sees Climate Cooling Trend Thanks to Low Sun Activity



 2019年5月10日、世界は雹に包まれた。

 

 雹で埋め尽くされたロシアのエカテリンブルグ。

 メキシコのモンテレイに降った雹は直径10センチ、野球球サイズ。

 列島の各地にも、また。


 都市部の真夏日は我々が自ら招いた人災である事は報されていない、所謂、ヒートアイランド現象なのだ。自然の営みが司る熱循環システムを、例の如く我々自身の手により悉く破壊した結果である。山を削り河を埋めアスファルトを敷き詰め、水の循環、森林の呼吸、河川、水田の温度調整機構、総て殺し全滅させた挙句熱いといってクーラーを回し各戸で廃熱し大規模熱源冷房移動個室で市街を移動する、一言で言って、狂気の所業である。

 

 沙漠には雪が降る。

 氷床は成長する。

 地球は日々確実に寒冷化してる、しかし。

 

 ビジネスとして呼号され続ける温暖化に目を向けさせ続ける、その材料だけが贄の眼前には示される。



 その後は言葉にはならなかった。

 ただ低く重く耳障りで陰鬱で醜悪で恐怪で

 

 ひびき

 

 たまぎれる、そのかんかく

 

 太郎はぼうぜんとそれをうける

 

 身体が宙に浮き上がる、そのまま天井を抜け街路灯が昼天の如く照らし出す路上からそれを越え大宮の闇に吸い上げ持ち行かれる、ハンドル支持のまま固まった太郎の周りを無数の深香が嗤いさざめきながらきらきら舞踊る身体反射自動安全運転のまま営業車は走り去りどんどん遠のき意識が。

 

 戻った。

 

 信号が青に変わる。


 太郎はひたすらにただ安全運転にだけ意識を集中していた無意識無心にそれをいつの間にか口にあんぜんうんてんあんぜんうんてんそれが世界を切り開く無敵の呪文と信じているのか無限詠唱。

 それでも、ステアリングを固く握りしめる両手の。

 掌にじんわりと。

 視線は前方と左右バックミラー間だけを忙しなく。

 既に叩き込まれた最終目的地点は指呼の間。

 盆栽の踏切をやや危険運転気味に愛車を弾ませ駆け抜けた先にあるのは、過去も幾度か客は降ろした事もある。

 

 ラブホ。



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