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こればっかりはどうにもならない




こうして、私とお爺ちゃんの短い幸せな生活が幕を開けた。

私はその間に、魔法をできる限り学んだ。基礎的な部分は前回のお爺ちゃんに叩き込まれたので十分扱える。

「......ここを、こういう術式にしたら......」

「それならば、こちらの記述をちょいと変えてしまえば......ほれ、速度と威力が両立できるんじゃないかの?」

「確かに......!これなら途中で離散することもないですね!」

勿論通常の魔法も教わったが、特にお爺ちゃんが力を入れていたのが魔法陣だ。昔はこれしか魔法を発動させる方法がなく、大変重宝されていた。しかし今では詠唱魔法などが開発され、すっかり魔法陣は廃れてしまったのだ。


しかし、魔法陣にはまだまだ可能性が秘められている、というのがお爺ちゃんの考え。私も、実際に学んでみてしかと実感した。まず有利なのが、詠唱無しで発動できること。無詠唱魔法なんてものは存在しないので、特に対人戦において非常に有利だ。また、予め魔法陣を書いておき、魔力を込めておけば、魔力がほとんどないときでも魔法を発動できる。結界魔法などの魔法陣を書き、身に付けて戦闘に臨むというやり方をしている人もいる。書くのが手間だという人もいるが、正直言って滅茶苦茶楽しい。やってみればわかる。

あと、杖があればイメージした魔法陣を展開させて魔法を放つということもできるが、非常に難易度が高い。

杖そのものが非常に効果で貴重なのもあるし、魔法陣を正確に、線一本まで覚えて構築しないと何も起こらない。下手すれば別の魔術を引き起こしてしまう可能性すらある、という理由から、こちらの方法も廃れてしまった。


まあ、私は杖、手に入れたんですけどね!


前回の記憶のお陰で相当早く勉強が終わったので、お爺ちゃんとダンジョンに潜ることになったのだ。実践あるのみという奴だろう。

そして手に入れたのだ!ダンジョン最奥の宝箱で!

うねうねと捻じ曲がった白仙樹(非常に高価で、一国の王ですら手に入れるのが難しい代物。ものすごく質がよく、加工もしやすい。)でできた杖で、杖先には輝く金で輪が作られており、その中ではルビーのような赤色で星形の光がくるくると回っていた。

「......!これは.......?!」

お爺ちゃんが珍しく目を見開いて声を上げた。え、そんなにすごいやつなのこれ。

「精霊王の15の遺物......真紅の杖......まさか、こんなものが........?!」

「せっ、精霊王?!うそ.......」


精霊王の遺物だったけど、杖をゲット。あとは延命の魔法をお爺ちゃんが亡くなる前に開発できれば______



「なんとか.......一年は延ばせたけど........それでも、こればっかりは、どうにもならないか......」

前回と変わらぬ安らかな顔がそこにあった。


「私.........頑張るから。待っててね。」

葬儀を終えると、私はすぐさまカバンにお爺ちゃんの遺した魔導書や魔法陣をまとめた冊子の数々を詰め込み始めた。拡張機能付きのカバン。最後にお爺ちゃんが作ってくれたものである。


待ってなさいよ、シュムリツ公爵......!


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