5話 ヒロイン
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ザワザワと人の声がする。
HRの終わった教室では、帰り支度をする人や友人と話している人、部活に向かう人など様々な人達がいた。
"俺"もこれからバイトである。
"妹"の誕生日がもうすぐなので、欲しがったものをできうるかぎり買ってあげられるように、多めにシフトをいれてある。
"あいつ"のためにお金を稼ぐのはちっとも嫌じゃない。むしろ楽しい。
何を買ってやろうかなとか思いながら働いていれば、時間なんてあっという間に過ぎてしまう。
いそいそと帰り支度をし、バッグを背負ったところで声をかけられた。
「ーーは、今日空いてる?
空いてるならカラオケ行こうぜ!!」
「あ~、ごめんバイト!」
申し訳なさそうにあやまると、
「また~?
たまには俺らとも遊ぼうぜ~。」
一人の友人が拗ねて、
「しかたねーよ。
こいつのシスコンは今に始まったことじゃないんだから。」
もう一人の友人が、なだめてくれた。
「わかったよ。
けど、妹ちゃんの誕生日ってたしか今週だろ?
誕生日が過ぎたら、俺達とも遊べよ~?」
「あたりまえだろ。
ただ、"あいつ"のために色々してやりたくてシフト増やしてるから、今休みがないだけだし。」
「「まじかよ。」」
"俺"の話に2人はケラケラと笑っていた。
「じゃあ、約束な。」
妹の誕生日が終わったそのあとは、約束通り3人で遊んだ。
バカみたいに笑った記憶があった。
大学生になって彼女ができた。
でもやっぱり、"妹"を中心に考えてたから、すぐにフラれた。
その話を2人にしたら、やっぱり、笑っていた。
「それでもーーは、ーーなんだから、ーーのやりたいようにやったらいいんじゃないか。」
その言葉にちょっと救われたのは内緒だ。
就職したあとは、極端には会わなくなった。
それでも、定期的には3人で集まり、呑んだりして、会社の愚痴や、妹への惚気、笑い話などを言いあったりした。
明日の鋭気を養って、バカみたいに楽しかった記憶。
最後の記憶はなんだったか。
"妹"と週末の買い物の約束をして、食べたがったプリンを作ったんだったっけ……。
"あいつ"、手作りプリンが好きだったからなぁ。
そうだ。あいつらとの約束もしてたんだ。
また妹の可愛さを存分に語れると思ってたのに!!
………全部、一瞬で終わっちゃったな。
ベッドに入って眠りについてからの記憶はまったくないので、きっとそのまま死んだのだろう。
突然死ってやつだ。
"あいつ"、泣いただろうな。
忙しい両親の代わりに、ずっと一緒にいた兄の突然の死。
泣くか。
あいつらが、"妹"をささえてくれたらいいんだけど…。
もう、自分の名前さえ思い出せないけど、楽しかった記憶…。
それと、この世界の知識。
これだけは、覚えている。
"妹"が好んでやっていたゲームの知識。
乙女ゲームだったから、ただ隣で見ていただけだったけど"妹"が好きだったゲームだから、話ができるようにゲームの内容を覚えた記憶がある。
しかも、内容はほぼ完璧に覚えている。
なら、この記憶を使って今度こそ"妹"の幸せを見届けたい。
"妹"と、"寿梨愛"と同じ名前の女の子。
ジュリアンナ。
"寿梨愛"にそそぐはずだった愛情をすべてこの子に。
自己満足だと思われても、ジュリアには幸せになってほしい。
妹と同じ名のこの子は、
乙女ゲームのヒロインなんだから。
寿梨愛=じゅりあ 可愛らしい花のようにずっと愛される子という意味があるのですよ。(ちゃんと名前の漢字の意味も考えました。)
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