39話 自業自得
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「火よ、我に力を。」
……うん。やっぱり小さい精霊石が光った。
火魔法は安定の初級だね!チクショー!
「ふっ。」
おう、なんや我?鼻で笑ってんの聞こえてんぞ?おっ?
心の中で罵詈雑言、捲し立てながらベーゴンの方を見る。
あっ、父上と義母上のオーラが怒ってる。
あっ、ジェームスとペンテスとシトリスもだ。
おや、ポパイとクフェア、あっ、フリージアも。
全員怒ってるやないかーい。
それにジュリアまで……。
俺、愛されてるなぁ。
「ジュリア、大丈夫だよ。
火魔法が初級なのは解っていたことだし。
父上達も、ありがとうございます。」
みんなを見回してニコリと笑う。
「くっ。まぁ、土魔法が上級だったのだろう?良かったではないか。」
「……そうですね。父上と同じ土魔法の上級が使えてよかったです。」
本当にそう思うよ。
土魔法の上級があれば、たとえ国が滅びようとも自分達の領地だけは守れるのだから。
そのことを解っている人達がこの国にいったい何人いるんだろうね。
嫌味もなにも通じない男に、土魔法使いの大切さは伝わらないだろう。
ほんと、スタンピードとかおきた時に土魔法使いが反乱を起こしたらどうするきなんだろう。
そんな不穏なことを考えながらベーゴンをみていると、パンッと大きな音が響いた。
「ユン様、お疲れ様です。
これにて鑑定の儀は終了となります。
ユン様、そしてカッテージ領の皆様がこれからも平穏な日が訪れますよう、女神ティカ様の祝福がありますよう、心からお祈り申し上げます。」
ディーダ司祭の祝詞をきいて大きく息を吐いた。
あぁ、けっこう俺も怒っていたんだな。
余分な力が抜けてくよ。
「……ディーダ司祭。祝いの言葉ありがとうございます。
これからも女神ティカ様のご加護を大切にし、領地発展のために尽力をつくしたいと思います。」
「素晴らしい考えです。
では、我々はこれにて失礼をさせていただきます。
…よろしいですね?」
よろ……しくないです!ちょっ、まって!
ジュリア!ジュリアの鑑定が終わってない!!
やっばい!一番ヤバイ展開!!
俺が内心焦っていると、袖をキュッと引かれた。
このかわいい引きかた知ってる!
ジュリアがなにか言いたくても言えない時にでるやつ!
急いでジュリアの方を見ると、袖を引いたままうつむいていた。
「ジュリア?」
小声でたずねると、首を左右にふられる。
??え?、なに?どうしたの?
「ジュリア?」
もう一度声をかけると、
「かんてい……いいです。」
そう小さい声で言われた。
□□□□
ジュリアの変化に当たり前だが気付かない二人は、いや、ディーダ司祭は気づいていたかもだけど、さっさと邸を後にした。
もちろん鑑定盤は持っていかれた。
そんなことよりジュリアだ。
「ジュリア、ごめんね。ジュリアも鑑定やりたかっただろ?」
そうたずねると、やっぱりジュリアは下を向いたまま首を左右にふった。
「??やりたくなかった?」
あれ?鑑定、ノリノリでやる気じゃなかったっけ?
あ"あ"あ"あ"あ"、そんなに手を握りしめると手のひらが傷ついちゃうよ!
「ジュリア!手!手をまず開こうか!ね!」
俺は大慌てでジュリアの手を握った。
ゆるりと手が開く感覚が伝わってくる。
よかった~。傷でもついたら大変だよ。
ホッとしてジュリアの顔を見ると、目に涙をうかべていた。
「!?!?!?えっ!?あっ!?えっ、なんで!?」
「ごめ"ん"な"ざい"ーー。」
「え!?なんで!?なにが!?手!?手を強く握ったのを言ったから!?
いやいやいや、怒ったわけじゃないよ!?
強く握りしめて、手のひらに傷でもついたら大変だから言っただけで、怒ってないからね!?」
「ち"がう"ーー……。」
「違う!?違うの!?えっ!?じゃあなんで!?俺、なんかした!?」
「ち"がう"ー。おに、おにいざま、なに"も、じてない"ー。
わたし、わたしがでぎないのーー。」
「え!?できない!?……?俺じゃなくて、ジュリアができなくて、泣いてるの?」
コクりとうなずかれる。
?ジュリアってたいていの事はもうできるよね?
そりゃ、淑女教育とかダンスとか勉強とか、まだまだたくさん学ばなきゃいけないこともあるだろうけど、普通の九歳児よりは断然できるんじゃないかな?
だって俺に追い付こうと必死で勉強してるの知ってるし。
自分で言うのもなんだけど、俺は前世の記憶があるぶん、ほとんど勉強にかんしてはチートなんだよね。
ダンスとか貴族教育はちょっとまぁ、あれだけど……。
そんな俺に追い付こうと必死に勉強しているジュリアが「できないっ」て泣くほどのことってなに?
父上と義母上を見ても、困った顔をしているし……。
心当たりないんだな。
う~ん、どうしよう。
「あの、よろしいでしょうか。」
フリージアが困った顔で声をかけてきた。
「ん?なに?」
ジュリアの手をニギニギしながらフリージアに応える。
「たぶん、ジュリアお嬢様は鑑定盤を使えないので、悔しくてお泣きになったのかと。」
「え、使えなくてって……。
やっぱり、鑑定したかったんだよね。ごめんね。
ディーダ司祭に言ってもう一度持ってきてもらおうか?
あの、ベーゴンとかいうのにはナイショにしてさ。」
「あっ、いえ、そうではないのです。」
「ん?」
えっ、違うの?今、使えないから泣いたって言ったじゃん?
「そうではなく……、ジュリアお嬢様はまだ魔力を上手く練ることができないので、鑑定盤を使うことができないのです。」
!?そっち!?使えないって、自分が扱えないってことか!!
えっ、それで悔しくてないたの?
かっ、かわいいーー!!
って、違う違う。
本格的に魔法が扱えるようになるのは学院に入ってからの15歳からだし、9歳のジュリアが使えなくても当たり前なのに。
まぁ、貴族は俺みたいに魔法を習うのを十三、十四歳あたりからやりだすから、もう少し魔法が使えるようになるのは早いんだけど。
……あれ、まって、俺もしかしてジュリアにけっこう無理なこと言ってた!?
俺が一緒にやろうなんて言ったから、ジュリアは魔法の基礎を頑張ったのにおぼえられなくて、悔しくて泣いたってことだよね!?
これって俺のせいか!!
うわーー!!ジュリアごめん!!
「ジュリア、ジュリア!ジュリアが悪いことなんて一個もないよ!」
むしろ、俺が悪いよ!!
チート持ちの自分を基準にしてんじゃないよ!俺のバカ!!
何となく色々なことを察した父上達の視線が冷たいのと、泣き止まないジュリアに挟まれ居たたまれなさに俺も泣きたくなった。
自業自得だけどね!!うわーん!!
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