32話 大きな穴
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次の日の朝も皆で朝食。昨日食べすぎたから、今日は軽めにお願いした。
なので、俺とジュリアと義母上は野菜スープとロールパンのタマゴサンド。あと、ヨーグルトを少し。
父上は、俺たちの倍の量+ソーセージとベーコンを焼いたもの、生野菜のサラダ、チーズ入りオムレツ。あと、フルーツも食べていた。
ちょっと唖然として見ていたら、ユンも食べないと大きくなれないぞと言われた。
いや、うん。いつもはもう少し食べているけど、その量は無理だな。うん。
「頑張ります。」
できうるかぎり!
□□□□
朝食を食べ終えたら、今日は午前中に剣の練習。
なんと!父上が自ら相手をしてくださるそうだ!
……俺死なない?
□□□□
「ユンは剣筋はいいんだけど、力が弱いね。もう少し食べて体重を増やしなさい。」
「うっ。はい。」
「でも、十歳でここまで出来ていればいいほうかな。
ペンテス達との稽古、頑張っているんだね。」
「はい!」
ほめられたー!
「うん。稽古はだいたいこのくらいでいいだろう。
午後までまだ時間はあるし、少しユンの魔法を見せてくれるかい?」
「わかりました。えっと、どの属性にしますか?」
「じゃあ、家の家系の土魔法にしようか。」
「はい!」
周りに人がいないことを確認する。
「いきます。大地よ我に応えよ、ホール。」
ポコンッ
「うん。確かにスムーズだね。じゃあ、元に戻してくれるかい?」
「大地よ、我に応えよ。レベル。」
スゥッ
「うん。綺麗に戻っているね。
確かにこれだけスムーズなら、ほぼ上級で間違いなさそうだね。」
いっつもジェームス達にはお世話になってるけど、こうやって父上に教わるのは初めてだから、ちょっと嬉しいかも。
父上の言葉一つ一つが、俺に嬉しさを染み込ませていく。
なんか、うん。やっぱり俺もまだ十歳の子供なんだなって、ちょっと実感したかも。
いつもは前世の俺が前面に出てるけど、ふとした瞬間間違いなく十歳の俺がいることがある。今日みたいな、父上にかまってもらえる日なんてとくに。
めったに訪れない今を、存分に楽しもうと思った。
□□□□
「ユン、火魔法も使ってみてくれる?」
「うっ。」
「苦手なんだろう?知ってるよ。
でもね、見ておけば何かアドバイスができるかもしれないだろう?」
「はい。」
そうだよね。実戦経験が豊富な人達に教えを乞いたほうが、確実にレベルアップするもんね。
めざせ!チートを倒せるチート!
「では、いきます。」
周りを確認して、
「火よ我に応えよ。ファイヤ!」
ポヒュッ
……煙がでました。まる。
「ぐぬぅ。」
「本当にできないんだね。
というか、ユンにもできないことがあったんだね。」
「どういう意味ですか父上。」
父上は苦笑いをしながら、
「お前はやればできる子だから、苦手なものを見たことがなかったのでね。
悪かったよ。そんな顔をするな。」
どんな顔だよ。
頭をグシャグシャと撫でられながら、なぐさめられた。
□□□□
「で、結論から言うと、練習あるのみとしか言えないね。」
「ジェームス達にも同じことを言われました。」
「解っているじゃないか。なら、練習に励みなさい。」
「頑張ってはいるんですけど、こう、成果が見えないとやる気というか、モチベーションというか、テンションというか、なんかさがるんですよね……。」
「うーん。まぁ私も、火魔法はそこまで得意なほうでもないしなぁ。
……ん?そういえば、ジェームスの報告書に書いてあった、循環とはなんだい?」
「え?あぁ、循環は、効率よく魔力を身体中に回すことですよ。
循環を使えば、俺でも火魔法をあつかえるんです。」
「本当かい?」
ジッと見つめられたので、うなずいた。
「一つ、循環をやって、試してみてくれないかい。」
「いいですよ。
解りやすいので火魔法にしますね。」
「あぁ、たのむよ。」
周りの確認。そして、循環。よし!
「火よ、我に応えよファイヤ。」
ボッ
「おお!」
「~っっ。はぁっ。」
さすがに今の俺じゃ、ここまでが限界。
他のはもっと持続できるけど、あまりに適性が少ない火魔法は、循環をやっても長時間は使えない。
でも、火付けくらいはできるまでにはなった。なんだ、頑張ってるじゃん俺!
「すごいじゃないか!ユン!
なるほど、普通より魔力菅をスムーズに通せるようになるから魔力量が増えるのか。だから一時的でも、魔法の威力が強くなるのか。」
あの説明と、今見ただけで原理を理解したの!?
やっぱり父上って、すごかったんだ。
俺にはヘタレたところばかり見せてくれてかたから、あんまり実感がなかったけど。
ジェームス達がきちんと主人として接しているのは、こういうことなんだね。
父上から学ぶことが多そうだな。
「で、それはどうやってやるんだい?」
「父上もやってみるんですか?」
「もちろん。試せることはなんでも試していかないと。
失敗したり、できなかったら、もう一度試してもいいし、もちろん諦めたっていい。
だけど、やってみないことには何も結果は解らないだろう?」
「確かにそうですね。」
「そうだろう?だから、どうやるんだい?」
父上の貪欲ぶりに、思わず笑いが漏れる。
「ふふ。そうですね。やってみなくては解るものも解らないですよね!
では、まずは魔力を体全体に維持します。」
「なるほど。こうだね。」
「その後に、体をおおっている魔力を頭の先から、つま先まで体全体を巡るように魔力を回していきます。」
「う~ん……。こうかな?」
「その状態を維持しているのが、魔力の循環です。」
「なるほど。…ふむ。ちょっとやってみるか。
ユン離れていなさい。」
そう言うと父上は地面に手をついて
「ホール」
ボゴンッ
大きな穴をつくっていました。まる。
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