26話 ショボくれ
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遅くなりました!申し訳ありません!
「では、次は火の魔法ですね。」
おっ、攻撃系の魔法だな。それに日常生活にも便利な魔法。
やっぱり火と水は必須だよね。
「お願いします。」
「はい。火の印はとても簡単ですよ。」
そう言うとパンッと手を打ち、開いた。
「以上です。」
「え!?手を打つだけ?!」
「もちろんただ手を打つわけではありません。
手を合わせて打つのではなく、四指をずらし掌だけを合わせて、打つのです。
そなさい、手を打つのと同時に四指は折り込みます。親指も同様です。」
「つまり、こう、拍手をするときに大きな音を鳴らす形にして、音を鳴らすときに指を手の甲に付けるようにして……。」
パンッ
「音が出た!」
「はい。その形が火の印でございます。
そして、音が鳴り手を開いてから暗唱して下さい。
手を開く前に暗唱しても火魔法は使えますが、手の中に火が出てしまうので火傷をしてしまいます。とても危険な行為なので気を付けて下さい。」
「はーい。」
なるほど、だから手を開いてから暗唱するのか。
火傷は痛いもんね~。
手で火を消す状態と同じになるのかな?
えっ、考えるとめちゃくちゃ怖いな……。
気を付けよう…。
「では、火の魔法をやってみましょう。」
「はい!」
えっと、掌をクロスするように打ち付けて……。
音を鳴らす!
ペソッ
「火よ我に応えよ!ファイヤ!」
……?
「あれ?」
「ぼっちゃん、今の印じゃ火の魔法は発動しないですよ。」
「え!?」
「音、きちんと鳴ってなかったでしょ?」
「あっ、うん。」
そういえば、音を鳴らすの失敗したっけ。
「火の印は、あの音こそがキモなんですよ。」
「音が?」
「そうです。あの音が、着火の代わりなんです。
なんで、きちんと音が鳴らなければ火の魔法は発動しないですよ。」
「そうなんだ。」
「ちなみに。」
パチンッ
「省略印なら、指を鳴らすだけでファイヤができます。」
そこには蝋燭の炎くらいの大きさの火がユラユラと揺れていた。
「ちなみにオレは、火の上級もちなので」
ユラユラと揺れていた炎が消えると、ペンテスがまた指を鳴らす。
パチンッと鳴ると、今度はファイヤーボールが目の前に現れた。
「省略印でファイヤーボールを作ることもできます。」
そういってファイヤーボールを横にフワリと凪払うと、六つのファイヤーボールが並んでいた。
「六つーー!?」
「俺の魔力量なら、こんくらいですかね。
てか、もう無理だわ。」
そういうと、フワリとファイヤーボールは消えていった。
「ペンテスの魔力量ってどれくらいあるの?」
「さぁ?戦っていくうちに増えていったんで、よくわかんないっす。」
魔力量って増えるんだ。初めて知った。
「さて、話しはそれくらいにして。
ぼっちゃま、今度はきちんと音を鳴らして火の印を作ってみましょう。」
「はーい!」
よし、今度こそ!
手をクロスさせて、パンッと音を鳴らす。
よし!今度はうまくいった!
「火よ我に応えよ。ファイヤ!」
フシュッ
……?
「ん?」
火の印を結んで開いた先には、煙が漂っていた。
「あ、あれ?失敗した?」
「……いえ、印は正しかったと思いますが…。
ぼっちゃま、何度か試していただいてもよろしいでしょうか?」
「あっ、うん。」
ジェームスに言われて、火の印を結ぶ。
「火よ我に応えよ。ファイヤ!」
プシュッ
「火よ我に応えよ。ファイヤ!!」
フシュッ
「火よ我に応えよ!ファイヤ!」
ポシュッ
「火よ!ーーーーー!」
・
・
・
・
□□□□
「火よ我に応えよ。ファイヤ。」
プシュッ
ちょっと、もう、むり……。
膝に手を当ててゼイゼイと粗い呼吸をする。
いや、ほんと、もうなん十回と火の印を結んでるけど!?
一向にできないんですけどーーー!?
スゥーーッ、ハァーーッと大きく深呼吸をする。
「もう一回。」
「いえ、ぼっちゃま少し休憩にいたしましょう。
このままでは魔力切れをおこして、倒れてしまいます。」
「あー……うん。わかった。」
あー、やっぱりこのドッと来る疲労感は魔力切れになる前兆か。
ストップの声をかけてもらえてよかったよ。
「こちらへ。」
用意されていた椅子に付くと、テーブルにはビスケットとミルクティー。
ミルクティーに手を付けると、ミルクの香りと甘さが口一杯に広がる。
この甘味は砂糖だね。疲れたからだによく染みる美味しさ。
ホゥッと一つため息が漏れた。
こんな贅沢ができるようになったのも甜菜が安定して育つようになったからだな。
みんなの努力に感謝だよね。
あとは、王都への流通をもう少し増やせるように栽培を増やしていきたいな。
それにはやっぱり農地の開拓が必要だよな。
でもなぁ、口で言うほど開拓は簡単にはできないしなぁ。
いや、未開の土地はあるんだ、土地は…。
だけど、畑を作るとなるとまた話が変わってくるんだよな。
それに農地が出来上がるまでには時間がかかる。せっかく安定して採れてきた甜菜も数が採れないんじゃなぁ。
まぁそのぶん高値で取引するけど。
うーん。効率のいい農地開拓も検討しなくちゃなぁ。
ゴクゴクと甘いミルクティーを飲み、塩味のビスケットを頬張る。
からだに染み渡る糖分に癒される~。
何かペンテス、シトリス、ジェームスの三人で話し合ってるし、もう少しゆっくりしていよう。
のんびり何にもしない時間ていいよね。
あぁ、ミルクティーが美味しい。
フゥーっとつい深いため息が漏れてしまう。
青い空、疲れたからだに、甘いもの。
ボーッとしていると。
「ぼっちゃま。」
ジェームスの声で休憩が終わったんだなと悟った。
□□□□
「ぼっちゃま、おからだは大丈夫ですか?」
「うん。まだ少し疲れてるけど、だいぶ楽になったよ。
あの息切れしている感じはないかな。」
「それをきいて、安心しました。
今までの風と水の魔法には、まったく問題がなくできていたので、火魔法でこのように上手く扱えないことを悟るのに時間をかけてしまいました。
まことに申し訳ございません。」
「あぁ、気にしないで。
俺も魔力切れとか知らなかったし。ちゃんと倒れる前に止めてくれたから、気にしてないよ。
むしろ、止めてくれてありがとう。
俺だけだったら、無理して続けただろうし。だからあそこで止めてくれてよかったよ。」
「ぼっちゃま…。
そうおっしゃっていただけて、ありがたく存じます。」
「うん。俺も無理はしないように気を付けるよ。」
ほんと、今後は体調の変化も気にしなきゃな。
体験できて、よかったよかった!
ポジティブにいこーーー!!
「で、三人の意見は?」
「はい。ほぼ確定で、火の魔法は初級かと。」
おぅっふっ
「初級……。」
「ぼっちゃんの魔力量と理解力でできないなら、ほぼ確定だろ。
平民の初級魔法で見る、初歩的な失敗と同じ状態だからな。」
「初歩……。」
「がんばって練習すればー、初級でもファイヤくらいはーふつーに発動できるよーになりますよー。
けどー、ファイヤーボールとかー攻撃系はー残念だったねー。」
おぅっふっ
「とりあえずは、火の魔法はファイヤを発動させるのを、目標にしてみましょうか。」
「はい。」
ちょっとショボくれる。
攻撃魔法、使ってみたかったなーーー!!
読んでいただきありがとうございます!!
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