15話 いい笑顔
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「すみません!ぼっちゃん!大丈夫でしたか!?」
「いや、いいよ。大丈夫。」
ちょっとまだ痛いけど…。
「え?なに?」
「いや、ぼっちゃんがカラアゲ?を食べようとしていたので、つい。」
「?食べるよ。だって、俺のだし。」
俺は唐揚げを美味しく感じたんだから、全然食べれますよ?
むしろ、ドンと来い!!
「ぼっちゃんの?」
「うん。俺の。」
えっ、なんでそんな驚いた顔になってんの。
「角うさぎはもともと俺の夕飯と交換だったんだから、俺のでしょ?」
…「「「あっ」」」…
あっ、て。
しかも、ペンテス以外にも。
まわりを見回すと、罰の悪そうな顔ぶれが一、二、三……うん。全員だな。
はぁっと思わずため息がでる。
「言っとくけど、俺はこの唐揚げ美味しいって思ってるからね。」
「え?あ…はい。」
ペンテス、なんだそのなに言ってんだこいつって顔は。
「皆は美味しくなかったと感じてても俺は美味しかったんだから、止めに入らなくても大丈夫だから。
残ってる唐揚げは全部キレイに食べれるし~。
別に不味いものを無理に食べようとしてるわけじゃないし。」
…「「「いやいやいやいやいや」」」…
くいぎみに全否定!?
「なに言ってんすかぼっちゃん!?」
ペンテス
「なんで不味かったなんて発想になるんですか!?」
アルストロ
「むしろもっと食べたかったから止めたのにー。」
シトリス
「ぼっちゃま…」
ジェームス
いや、まて、ジェームスはなんでそんな、まだまだですな。的に首をふってるの!?
てか、
「え、食べたかったの?」
…「「「「はい!」」」」…
あ~…。完璧に勘違い?
いや、でもさぁ
「じゃあなんでなんの感想もないの?」
あんな無言のまま固まられてたら勘違いもするよ?
ジトッとした目で皆を見回す。
「だって喋りたくなかったのでー。」
「どういうこと?」
「ぼっちゃんは美味しい美味しいって食べてましたけどー、我々はあれ程の食べ物を食べたことがなかったのでー、喋ることで美味しさが逃げる気がしたんですー。」
「んん?」
「めちゃくちゃ美味しかったからー、余韻に浸りたかったしー。」
「あ~…そうなんだ。」
え~?じゃあ、あの直立不動は美味しすぎて動けなかったってこと?
わかりにくい!!
「できればもう一個食べたいですー。」
…「「「俺も!!」」」…
「いや、あげないよ!?」
…「「「えーーーー!?!」」」…
□□□□
あげない発言をしただけなのに責められた……。
俺、領主の息子なのに……。
まっ、結果として夕飯分に四個残してもらうことで合意した。
ので、残りの四つをどうするか。
平行線の言い合いがずっとおこなわれております。はい。
「もともとは我々が狩ってきた角うさぎだ。」
「はっ、調理ができなきゃカラアゲとして食べることもできなかったくせに。」
「ぐっ、だが最初はアルストロは否定的だったじゃないか。」
「っ、いやいや、俺はぼっちゃんに勉強のために食べろと言われているんだ。」
「だが、材料がなければそれさえも言われなかっただろ。」
「………。」
「………。」
「モーグもレンもプラントもおれに譲ってくれるよねーーー?」
「ちょっ、シトリスさん!圧、圧がすごい!!」
「こんなことで殺気を放たないでほしいっス !!」
「シトリスさんこんなに食事に興味ありましたっけ!?」
「えー?カラアゲにならあるよー。
だから譲って?」
「「「ムリ!!っス!!」」」
「あはははは。」
「「「だから笑顔のまま殺気を飛ば…ギャーー!!!」」」
あっ、殺気どころか手が出始めた。
そっと合掌しておこう。ナムナム。
「はい。ぼっちゃまどうぞ。」
スッとだされた紅茶。
と、唐揚げ一つ。
「……ジェームス。」
顔を見るとニコリと微笑まれた。
「紅茶がカラアゲの油分をスッと溶かして後味もスッキリ爽やか。
とても美味でございます。」
「……そう。」
あえてなにも言うまい。
俺はジェームスに差し出された唐揚げを受け取ると口に放り込み、咀嚼する。
やっぱり何度食べても旨い!!
旨味を堪能したあとはジェームスが薦めてくれた紅茶を一口。
「うん。たしかに口のなかをスッキリさせてくれる。いいチョイスだね。」
「ありがとうごさいます。」
もう一口紅茶を口にし、味と香りを楽しむ。
優雅な一時だ。
一時というのは本当に一瞬で
「「「あ"ーーーー!!!」」」
シトリスとやりあっていたはずのモーグ、レン、プラントの三人の叫び声で終わりを告げた。
「五月蝿い!!」
叫んだ三人の頭に拳骨がとぶ。
あっ、痛そう。すごい音がしたよ。ゴッて、ゴッて!!
若干引いてる俺に気付かず、三人はアルストロに訴えだした。
「だってシェフ長!カラアゲが二個になってるんです!!」
「これは叫ばずにはいられないっス!」
「一瞬目を離しただけなのに!!」
言い合っていた三人の目がいっせいにカラアゲに向き、全員の目が俺とジェームスに向いた。
その間 一秒。
はっや、こっわ。
バッバッって音が聞こえてきそうな速さだったよ。
「ジェームスどうすんの?」
さっきからニコニコ笑いながら皆をみていたけど。
チラリとジェームスをみると、皆に向かって一つ頷き、
「たいへん美味しゅうございました。」
いい笑顔で言いきった。
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