1話 おはよう、そして違和感。
目を開ければ、 見慣れない天井、 見慣れない部屋…
いや… 見慣れた天井と見慣れた部屋… か ?
だが違和感がすごい… なんだろうこの感じは
体を起こし 辺りを見回すが、別に変わってる所はない。
自分の体だって、まだまだ育ち盛りの小さい体だ。
小さな手や足をみて、これからこれからと思う。
背が高かった頃は妹の頭をよく撫でていたなと思い、ふっと笑みがこぼれた。
妹?背が高かった??何を言っているんだ?
俺はまだ生まれて5年しか経っていないし、まして妹なんて生まれてさえいない。
小さな違和感が少しづつ少しづつ大きくなってきたとき、コンコンコンと部屋をノックする音が聞こえた。
はい。とこたえるとドアが開きロマンスグレーのイケオジが入ってくる。
「おはようございます。ぼっちゃま。今朝はお一人で起きれたのですね。」
にこやかに挨拶をしながら俺の近くまで寄ってきたイケオジことジェームス。
「おはよう。ジェームス。今日の予定は?」
「はい。本日は昨日申し上げましたとおり、午前中に新しい奥方様とぼっちゃまの妹御になられますジュリアンナ様がこちらに到着なさいます。
旦那様から挨拶が終わりましたらぼっちゃまがお二方にお屋敷をご案内してさしあげるように仰せつかっております。」
そう話ながらもテキパキと俺の身支度の用意をしたり、カーテンを開けて部屋を整えたりしていく。
俺もベッドから出て用意された桶で顔を洗い、タオルで拭くとすぐに着替えをわたされた。
着替えを終えるとジェームスの身だしなみチェック。
ボタンがずれたり、どこかがよれていたりしたらやり直し。
今日のジェームスはニッコリ笑顔。
どうやら合格みたいだ。たまに寝ぼけながらやると冷ややかな対応されるからね!
ジェームスは子供扱いしないでくれるので俺的には嬉しいのだが、周りからは厳しいのではと思われてるみたい。これも貴族教育の一貫なのにな。
それでも気にせず、俺を一人前にしようとしてくれているので大変ありがたい。
それに、周りが思ってるよりもけっこう俺に甘いんだよね~。
まぁ、そんなことを言ったら厳しくなるから言わないけどね。
ジェームスをジッと見ていたら、朝食の用意ならできていますので参りましょうか。と言われた。
別にお腹が減ってたから見てたわけじゃないよ!?
食いしん坊みたいに思われてる!
参りましょうとドアを開けうながされたので、素直についていく。
うん、朝食に罪はない。美味しいものは美味しいうちに。
そう思いながら食堂へと向かった。
もうこの時には朝の違和感は感じなくなっていた。
□□□
美味しかったです。ごちそうさま。
今朝の朝食は、バターたっぷり外はサクサク中シットリのクロワッサンと、ほうれん草・ベーコン・たっぷりのチーズが入ったオムレツに、サラダ、あとはしぼりたてのオレンジジュース。これはちょっと酸っぱいけど、油ものを食べた後にはさっぱりしていて美味しい。
お腹いっぱいで幸せ。
ぜいたくを言ったらデザートも食べたいけど、この国のデザートははっきり言って美味しくない。
なんでご飯はこんなに美味しいのに、おやつやデザートは不味いのか。ただただ甘いだけで味が無いというか、単調っていうか。
素材を全部砂糖の甘さで消し去ってる感じ?
まぁ、砂糖じたいが超高級品だからふんだんに使えば使うほど財力のアピールになるんだろうけど。
昔、一度食べたきり高級品だろうがなんだろうが拒んでたから家じゃ甘味はフルーツくらいになったんだよね。わざわざお金使ってまで不味いものは食べたくないからいいんだけど。
大人になったら、美味しいデザートを開発するのもいいかもしれないな。
まぁ、砂糖がものすごく高いからまだまだ先の話だろうけどね。
砂糖が安く手に入ればなぁ~。
なんて思いながら、部屋へと続く廊下を歩いていった。
さすがに朝早くには新しい家族も来ないだろうし、読み書きの練習でもしようかな。
自分の机からいらない紙を取り出し、お手本をみながら字の練習をしていく。書き取りだけでなく計算練習も忘れずに。
だいぶ集中していたのかドアのノックでハッとする。
「ぼっちゃま、奥方様とジュリアンナ様がおみえになりました。」
「いま行く。」
未使用の紙をしまって、使用済みの紙は再生箱へ。
この国の紙はまだまだ貴重品。再生屋にわたせば、質は悪いが新しい紙に生まれ変わる。
手紙なんかは新しい紙だけど文字の書き取りなんかは再生紙で充分だもんね。
まぁ、上流階級の方々は全部新品なんだろうけど…。
中流階級は再生紙で充分!
それに…このままなら中流階級以下になるかもだし…。
そう思いながら、新しい家族が待っているサロンへと向かって行った。
はじめまして。
夏希、こと、せんよーです。
初投稿なので、あたたかい目で見守って下さい。
よろしくお願いします。