勇者の俺、恋人を奪われた挙げ句、パーティーから追放されてボコボコにされた後に起こる事とは…?
「くそっ…!」
俺は今、町の外れで身も心もボロボロになって倒れている。
「レア…なんで…」
身体は傷つき、心も折れる寸前で冷たい空気が更に身体を動かなくさせる。
「俺はもう死ぬのか…」
意識を手放す直前、今ここに至るまでの記憶が甦る…
なぜこうなったか。ことの始まりはあの時からだった…
「お前もうパーティー抜けろ」
「え?」
「要らないんだよお荷物の勇者なんて」
なんで急に?俺の頭の中にはそれしかなかった。昨日までずっと一緒に戦ってきたのに。
「なんで急に?」
「急じゃねぇよ、今まで全員思ってた」
「これから俺たちは魔王城に行く。そこにてめぇみたいな雑魚は要らないんだよ」
「これでやっとお荷物から解放されるぜ」
そう言って剣士のガイル、拳闘士のバイルは言った。
このまま俺はパーティーをクビになってしまうのか?
俺の頭の中は真っ白になった。
「待って!」
そこで回復魔術師のレアが割って入った。レアは心優しくきれいな女の子で、俺の恋人だ。
「レア…」
「こんなことひどいわ!ライトは今まで一緒に戦ってきた仲間でしょう!?」
「へっ!聖女様のおでましだ」
「だがいつまでそんなことが言えるか見物だぜ」
「っ…!」
「レア!?」
突如レアがその場で倒れた。顔は赤く、息が上がっている。俺はレアの側まで駆け寄ろうとしたが、ガイルに殴り飛ばされた。
「っ…!」
一体奴らはレアに何を?俺が考えているうちにレアはどんどん息が上がり、顔は赤く、歪んでいく。だが、レアの表情は苦しさだけではなく、どこか色香を感じさせる表情と息づかいに変わっていっている。
「お前ら、まさかレアに媚薬を!」
「へへ!そうだ!」
「前からいい体だと思ってたぜ」
そう言って奴らはレアを連れていく。
「レア!」
「ライト…」
どうにかしないと。どうにかしないと。そう考えている間に腹を殴られた。
「ごふっ…!」
「はは!」
「後でお前にもレアの痴態をみせてやるよ!」
「やめて…っ」
次は顔、胸、腕も折られた。抵抗するが、まったく意味がなかった。
「レア…すまない…」
そして俺はボロ雑巾のように捨てられた。己の力の無さに嘆き、怒った。俺は恋人すら守れないのか。
「俺は弱い…」
ここで冒頭に戻る。
「これで終わりか…」
そこで俺の意識は途切れた……