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女の中で男が一人  作者: 零位雫記
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04

           ーー冒険者たちの宿 ブルベリの憩い亭ーー




 たちゃね 「全員そろってるね。よぉし、今日も頑張ろう。みんなよろしく!」




 灰我 「よろしくお願いします。」




 しるヴぃあ 「よろしく」




 アーロ 「よろしくお願いします」




 SOW1008 「よっろしくで~す」




 たちゃね 「さて、みんなからのクエストのリクエストはない?」




 SOW1008 「でた~!たちゃねさんのクエストのリクエスト!久しぶりにきいた(笑)」




 灰我 「わたくしはどんなクエストでも良いです。」




 しるヴぃあ 「わたしはなんでもいいよ」




 アーロ 「ぼくはなんでもオッケーです」




 灰我 「リーダー、決めて下さい。」




 たちゃね 「じゃあわたしが決めていい?」




 SOW1008 「リーダーが決めて~」




 たちゃね 「魔女ミレーヌの依頼はどう?」




 アーロ 「たちゃねさん、決めて下さい」




 しるヴぃあ 「でた!魔女ミレーヌ」




 灰我 「我々の現在のレベルだとクエストクリアも可能かと。」




 SOW1008 「絶対大丈夫!クリアできるとおもいま~す」




 たちゃね 「よし決めた!魔女ミレーヌで決まり。ブルベリのとこいくよ」




 **********************************




 ――前回のゲーム終了から早くも二日が経ち、ぼくは今、OTQをプレイしている。「魔女ミレーヌの依頼」は、Sランクの上級クエストである。


 これをクリアし、このクエストに出てくるニ、三の中ボスを攻略すれば、今日でもしかするとパーティーランキングが100位以内に入るかもしれないのだ。


 ぼくはこれまででー番緊張しながらアーロを操った。


 だからだろうか、放つ矢は中々敵に当たらないし、接近戦でも効果的なダメージを与えられなかった。


 たちゃねさんにも、




「アーロどうしたんだい?今日調子悪いよ。もっと集中しよう」




 と注意を受けた。


 クエスト「魔女ミレーヌの依頼」は、ぼくが足を引っ張ったこともあり、攻略するのに予想以上に手間と時間を取ってしまった。


 ミレーヌの依頼とは、彼女の双子の妹のこれまた魔女であるピレーヌの元から、魅惑のティアラの奪取の手助けをして欲しいというものだ。


 この双子には互いに想っている男性がおり、その人物をめぐってここ数年、静かなる戦い(プレゼントを贈るだとか、色仕掛けとか)を繰り広げているようなのだ。


 その静かなる戦いは五分五分の状況が続いていたのだが、妺ピレーヌがある商人から魅惑のティアラを購入したことでその均衡は崩れる。


 魅惑のティアラとはその名の通り、そのアイテムを身に付けた者に相対する者を虜にする効果があり、男性はまさにそのアイテムの効果により、ピレーヌに惚れ込んでしまい、彼女の館に入り浸ることになってしまった。


 そのことに驚き怒った姉ミレーヌは、ティアラの奪取を冒険者に頼むことにしたのだ。


 ミレーヌは、少なくともウィッチとしてレベル200以上のSクラスキャラで自分のカだけでティアラの奪取ができそうなものなのだが、彼女の妹は自分が住む屋敷がある迷いの森にミレーヌが侵入できないように対ミレーヌ専用の結界を張って姉の侵入を妨げていたのだ。そういうことでミレーヌは自らティアラを奪取しようにもできない事情があった。


 ぼくら日和見部隊は、ミレーヌの瞬間移動の魔法

シエイト

で迷いの森の手前まで送ってもらった。


 ミレーヌからはピレーヌ打倒の許可が出ていた。ぼくたちがピレーヌを打倒し、彼女のHPをゼロにすれば、ミレーヌに対する結界は解ける。その後は、ミレーヌが館に堂々と乗り込み、魅惑のティアラを妹の額から奪い取りそれを身につけ想いの人を自分のモノにする。が、彼女はただの非道な姉ではない。妹の命は魔法によって復活させる。(復活の魔法を習得しているということは、ミレーヌはウィッチではなくビショップ?)。しかしその瞬間、忘却の魔法

リエサリー

を妹にかけるのだ。もちろん、男性の記憶を消すために(ゲーム内のリエサリーの効果はただ単に魔法が使えなくなるというもの)。


 が、ぼくたちは魔女ミレーヌの依頼というクエストを受けたことに対してすぐに後悔した。


 ピレーヌの館がある迷いの森には、これまで見たことのない強力なモンスターが徘徊しており、そのモンスターたちを倒すのにはかなり骨が折れ、ときにはモンスターから逃亡しそれらの窮地をくぐり抜け、館に到着したときの我々はボロボロだった。


 館に入る前にキャンプを開いて全員のHPを全快させぼくたちはピレーヌの館に挑んだ。


 ミレーヌから館と聞いていたぼくたちはそれを直に見て面食らった。それは館といより城塞のような外観で、濠があり、館の周りは高い防壁で囲まれていた。


 しかしぼくたちは、ミレーヌから教わった秘密の抜け穴のことを知っている。


 濠や防壁の関門をいとも容易く通り抜け、ぼくたちは悠々と館のなかに侵入した。


 館は広大な敷地の上に建てられているようで、部屋がいくつもあり、しかもその一つ一つに強力なモンスターが配備されているのだ。四つの階層からなる館の内部を隅々まで探索し、最上階にあるピレーヌとその魔女の虜となった男が寝起きする部屋の前まで来たときの我ら日和見部隊の状態は最悪だった。


 たちゃねさんは毒に冒されていたし、しるヴぃあさんは沈黙の状態で魔法が使えず、SOWさんは、残りのHPが56(MAX1235)。ぼくのアーロもHPが半分ぐらいしか残っていないし、灰我さんもぼくと同様だった。


 ぼくらは、ピレーヌの部屋の前でキャンプを開き、各々のキャラの状態を回復、HPも全快にした。だが、灰我さんのビショップの回復系の魔法はあと残りわずか。しるヴぃあさんの攻撃魔法も五、六発が限界だった。


 キャンプを閉じ、たちゃねさんが扉を開けた。


 いよいよ最終決戦だ。

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