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女の中で男が一人  作者: 零位雫記
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目をあけるとグルングルンと視界が回っている。ぼくはそのまま、目を開いたまま状況を確認しようとした。


(天井?)


この視線の先にあるのは、天井か?

白地に青い色のドット柄がぼくの視界を覆いつくしている。しかもその青色は羽虫のように右に旋回したかと思うと次は左へ円を描くように動く。

気持ち悪い。

ぼくは目を閉じた。

暗闇の世界でぼくは残りの四感を使って自分のおかれた現状を把握しようとした。

何も聞こえない。ぼくを包む空間は静寂に支配されている。

匂いはとゆうと、匂いはある。その匂いをなんと表現すればいいか、一言で言えば甘い。この甘い匂いをぼくは最近嗅いだことがあるぞ。そんな芳しい香水のような香りが鼻腔を刺激する。口の中はカラカラで、なんとも酸っぱい味がする。

触覚はというと、背中に圧力を感じる。柔らかいマット……これはベッドかな? どうやらぼくは仰向けに横たわっているようだ。

もう一度目をあけた。

まだ青いドット柄は白い世界を動きまくっている。

また目を閉じる。

さっきは暗闇と思っていたのだが、ヨクヨク目を閉じた世界を意識して見てみれば(目を閉じているのに見てみればというのは妙な表現)、うっすらと光を感じる。どうやら閉じたまぶたに光が当たっているんだろう。


(太陽? 朝日か? いやもう時間は昼を過ぎているかも)


そうだ、今の今までぼくは寝ていたんだ。ぼくはようやくここで自分が眠っていたと認識できた。

――でも、どこで?


疑問がわく。

ぼくの部屋の天井はドット柄ではない。だとしたらここはどこなのだ?

記憶を呼び覚ます。

そうだ! ぼくは日和見部隊のオフ会に参加していた。

一次会は灰我さんが懇意にしているお店で飲食していた。お店の名前は……思い出せない。思い出せないというか、はじめから知らない。入店するとき、出入口の扉の上に店名のような英語らしき表記があったが、結局店の名前は灰我さんにもきいていないのでわからずじまい。

そのお店で、みんなでワイワイ騒いで飲んで食べてした。……いや主に騒いでいたのはたちゃねとしるヴぃあさんだったか。一次会のことは大体思いだせるぞ。

たちゃねさんが会の途中でライダースーツを脱いだこと。しるヴぃあさんがお酒がすすんでいくにつれ陽気になっていったこと。SOWさんとかなり接近して会話したこと。灰我さんにテラスに連れて行ってもらったこと。すべて覚えている。

で、二次会はカラオケで、飲食したお店からカラオケ店までどういう道を歩いたかも覚えている。

カラオケ店での出来事も覚えている。

たちゃねさんとしるヴぃあさんの歌唱力が抜群だったこと。たちゃねさん、SOWさんがソファーの上で胸を揺らしながら踊っていたことも覚えている。灰我さんにワインをたくさん飲むように促されたのも覚えている。


「――あれ?」


この先だ。この先から急に記憶がとてつもなく曖昧だ。

みんなの前でマイクを手にして歌った気がする。あれ? たちゃねさんと肩を組んだ記憶もあるようなないような……。というより、本当にこけはどこなのだ。

天井だけで現状が掴めないでいたぼくは、それを確かめるべく上体を起こそうとした。

だが、腹筋にうまく力が伝わらない。

ぼくは、片肘を立てそれを支点にして体を横に反転させてからベッドに手をついてゆっくり上体を起こした。

目の前は壁。自分が今腰を下ろしているところはやはりベッドだった。ベッドは壁際に置かれているようで、ぼくはその壁側に体を向けたようだった。


「――お目覚めになられましたか?」


背後で女性の声がした。

ぼくは二日酔いで鈍い感覚だったが、その声の主はすぐにわかった。


「灰我さん……」


ぼくはそう言いながら後ろへと振り返った。

ぼやけた風景の中に灰我さんらしき風貌の人が、隣にあるベッドに腰を下ろしこちらに向いていた。ぼくはピントを合わせようと目を細める。が、ぼくは今裸眼のようだ。目を細めたところでぼやけた風景がくっきり見えるはずがなかった。

ぼくは、眼鏡の在処はどこかと辺りをキョロキョロする。


「眼鏡ですね。こちらにあります」


ベッドに座る人物が立ち上がり枕側にあるサイドテーブルに近づき、その上にあるなにかを手にしてこちらに差し出した。どうやらそれは眼鏡。

ぼくは上布団をめくり、四つん這いになって眼鏡に近づき、膝立ちになってそれを受け取り耳にかけた。

視界が良好となった。

ぼくはベッドの上に座り直し、目の前の人物に顔をむけた。

やはりその人は、灰我さん。

灰我さんは昨日と同じ服装だった。


「ご気分はどうですか?」


灰我さんが尋ねる。


「なんだか目が回って少し気持ち悪いです」


「吐き気はありませんか?」


「吐き気? ……そうですね、吐き気はありません」


「良かった。昨夜はすごかったのですよ、悠一さまは」


「なにがですか?」


「その、色々と」


「色々? 色々ってぼくなにかやらかしたんですか?」


「ええ、色々と」


「色々って例えばなんですか?」

「そうですね、例えば、嘔吐したこととか」


「オウト? オウトってつまりぼく吐いたんですか?」


「はい」


灰我さんはそう返事すると、さっき座っていたベッドに座り直した。

記憶にない。ぼくは自分が吐いたという記憶が一切なかった。


「ど、どこでですか?」


「この部屋にあるトイレで嘔吐されました」


「トイレ?」


「はい」


「そういえば、ここは一体どこなんですか?」


「わたくしの父が経営するホテルの一室です」


「ホテル?」


「はい」


まったく状況が飲み込めない。

なぜ灰我さんの父親が経営するホテルにぼくがいるのだ。

吐いたことも覚えていないし、ましてやこのホテルまでどうやって来たのかも覚えていない。

――え? ここは灰我さんの父親が経営するホテルだって? ということは?


「ということは、ここはたちゃねさんが宿泊予定だったビジネスホテルってことですか?」


「そうです」


「あの、灰我さん」


「はい」


「ぼく、その、覚えていないんです、昨晩のことを……。いえ、途中まで覚えています。ただ、カラオケ店からの記憶が曖昧でして……」


「やはりそうですか」


灰我さんは顔をサイドテーブルの方へむけた。

サイドテーブルには、かさがついた小ぶりのランプが一つあり、そこから橙色の明かりが淡く光っていた。室内の明かりはそれだけ。ぼくはこの光を朝日だと思っていたのか? 灰我さんの背後には窓があったが、今はカーテンがかけられており、カーテンとカーテンの隙間から強い白い光線が部屋を射ていた。

が、その光では部屋を明るくする効果はあまりなく、それにサイドテーブルのランプを足しても室内は明るいとは言えなかった。

そのランプの光を見つめながら灰我さんは口を開いた。


「カラオケで悠一さまは、グラスでワインを十杯お飲みになられました」


「十杯!?」


十杯ってワイングラス十個? ぼくは一次会で、たしか、たしかグラスワインを六杯飲んだ。それを合わせると……。


「十六杯……」


「そうです。悠一さまは、昨夜十六杯ワインをお飲みになったことになります。たぶん750ミリリットルのボトルに換算すると、その三本分ぐらいかと」


「そんなに……」


過去思い返しても十六杯もワインを飲んだことなかった。

――――いや待てよ。待て待て待て。灰我さん、なんて言った?

ぼくの飲んだワインの数も驚きだか、それよりも気になったことがあったぞ。

さっきから灰我さん、ぼくのことを「アーロさま」と言わず、「ユウイチ」って呼んだような……。

「あの、灰我さん、さきほでからぼくのこと、悠一って呼んでませんか?」


「ええ」


「なんで? なんでぼくの名前知ってるんですか?」


ぼくはみんなの前で本名を言った覚えがないぞ。


「昨夜カラオケ店でわたくしたちの前で発表されたからです」


「発表?」


「はい。カラオケ店で九杯目のワインを飲み干した悠一さまは、マイクを持って舞台に立ち、歌は歌わずご自分の身の上話を語り出されたのです。『ぼくは横手悠一といいます。現在両親はぼくを自宅に置いてベトナムで気ままに生活しています。ぼくは捨てられたのです。ぼくはいらない子なのです』と、色々日頃抱えられている鬱憤を吐き出されて、その最後には泣いておられました」


「泣いた? ぼく泣いたんですか?」


「そうです。泣きながらご自宅の住所を叫ばれまして、『いつでもおいで下さい。ぼくは寂しいのです! いつでも皆さんどうぞおいで下さい』と連呼されていました」


「…………」


言葉が見つからない。

どうかしてしまった。

お酒がぼくをどうにかしてしまったことは確かのようだ。

それにしても泣くだなんて……。

「そのあと、たちゃねさまやしるヴぃあさま、SOWさまに慰められ元気を取り戻された悠一さまは、わたしくしを含めた皆さまととある歌で大合唱。結局、カラオケ時間は延長され、その結果、終電に間に合わない悠一さま、しるヴぃあさま、SOWさまもこのビジネスホテルにお泊めしたのです」

「そうだったんですか……」


やはりぼくは深酒すると記憶が飛ぶ。これからは本当にお酒の量に気をつけよう。


「で、他のみんなはどうしているのですか?」


「たちゃねさまは朝食を召し上がられたあとすぐにチェックアウトされ広島に帰られました。しるヴぃあさまとSOWさまも30分ほど前ホテルを出られご帰宅されました」


「じゃあ今、日和見部隊でこのホテルにいるのは、ぼくと灰我さんだけですか?」


「そうです」


「灰我さん、ぼくが目を覚ますまでここで待ってくれたんですか?」


「左様でございます」


悪いことをしたと思ったぼくは、すぐにチェックアウトするため身支度しようとベッドから立ち上がろうとした。そのとき気がついた。自分の現在の服装を……。


「これって、バスローブ……」


「はい。昨夜、トイレで嘔吐された悠一さまの吐瀉物の一部が洋服に少しかかったので着替えさせていただきました」


「ぼくが自分でですか?」


「いいえ、悠一さまは酔いのため足元がおぼつかなかったので、わたくしもお着替えのお手伝いをさせていただきました」


「灰我さん一人でですか?」


「はい」


今、バスローブの下、なにもない……。

下着は上下ともなし。じかに目で確認していないが、バスローブの生地が肌に直接当たっていることはわかった。

何より全身がすーすーしている。特に股間がすーすーしている……。


「上着のシャツに付着した吐瀉物は、わたくしが手洗いして浴室の乾燥機能で乾かしました。その他の下着類も手洗いして乾かしております」


「ぼくのパンツも洗ってくれたんですか?」


「はい。本来ならこちらのホテルで利用できるクリーニングで対処するのですが、昨夜はこのホテルに到着したのが遅く、サービス利用時間外だったので、わたくしが手洗いしました」


「なにからなにまですみません。あの着替えてきます」


「靴下と下着類、上着のシャツは、通路左手の扉の中の浴室にございます。デニムはそちらのクローゼットに吊るしています。デニムは特に汚れも見当たらなかったので洗っておりません」


「ど、どうも」


ベッドからおりてクローゼットまで歩き、その戸をあけてハンガーに二つ折りにされているジーンズを持ち浴室に移動し、ぼくは着替えを始めた。

前で縛られている紐を解き両手でバスローブをはだけた。

視線を下へ。

やはりなにも着用していない。

視線を上へ。

黄色いパンツがバスタブの上空に架かるステンレス製の竿に二つ折りに垂れている。その横に同じように垂れる靴下。さらにその横には、共にハンガーにかけられている下着の白シャツと上着のボタンシャツ。

また視線を下へ。


(灰我さんは当然ぼくのコレを見てる)


顔が熱くなった。

すべての衣類を身につけたぼくは、浴室から出た。


「服、ありがとうございました」


ぼくは真っ先に礼を述べた。


「いいえ」


灰我さんはベッドとベッドの間に立ってこちらを見つめていた。



「灰我さん、ここの宿泊費は受付でお払いすればいいのですか? それとも今灰我さんに直接お支払いすればいいですか?」


「お代は結構でございます。他の皆さまからも頂いておりません。たちゃねさまからも頂いておりません。だから悠一さまからも頂くわけにはまいりません」


「全員無料? いくらここが灰我さんのお父さんが経営しているホテルだからって、それはぼくたちお言葉に甘えすぎなのでは……」

「いいえ、気になさらないで下さい。どうせ空いていた部屋なのです。わたくし、お部屋のベッドメイキングを習っていてシーツ交換もできますし、アメニティの補充の仕方も知っています。すでにたちゃねさまたちが泊まっていた部屋のベッドメイキングは済ましてきております。だから気になさらないで下さい」


「そうですか、じゃあお言葉に甘えます」


正直助かった。

今さっき、浴室でジーンズのポケットに入れていた財布の中身を確認したところ、三千円ほどしかなく、それがここの宿泊費を払える金額ではないとわかっていたからだ。

さて、もうそろそろおいとましないといけない。


「あの、灰我さん、本当に色々とありがとうございました。ぼくこの辺で失礼――」


「――キヨノです」


「はい?」


「昨夜申した通り、わたくしの本名は雨川清乃」


「アマカワキヨノ?」


「これからは灰我ではなく、昨夜と同じ『清乃』とお呼び下さいませ」


「昨夜と同じ?」


「悠一さま、本当になにも覚えていらっしゃらないのですか?」


「はい……」


なにか不穏な展開が待っているようなこの雰囲気。


「では、昨夜の出来事は、あのランプしか知らないのですね……」

灰我さんは、肩越しにうしろにあるサイドテーブルに乗る小さいランプを見ながら言う。


「昨夜、わたくしは、悠一さまのその腕の中にいた」


「へ?」


「つまりその……、わたくしと悠一さまはこのベッドで愛し合ったのです!」


灰我さんはこちらに顔を勢いよく向けると、ぼくがさっきまで寝ていたベッドに腕をびんっと伸ばし指さした。


「愛し合った?」


愛し合ったというのは、それはつまり……。


「悠一さまがわたくしにとっての初めてのお相手」


「初めてのお相手……」


目が眩む。


「悠一さまが記憶になくても昨夜のことはわたくしの脳裏には鮮明に残っております。悠一さまは優しくわたくしを愛してくれました。わたくしの初めてのお相手が悠一さまで良かった」


ばかな、そんなばかな。

ぼくは今まで女性とまともに付き合ったことがなかった。これまでも女性とキスすらしたことないのに、それが、それが、それが、そんなぼくが、灰我さんと、さ、最後まで、いってしまった!?


「悠一さま!」


灰我さんがこちらに駆け寄ってきた。そしてそのままぼくの胸に飛び込んできた。かなりの勢い。ぼくは後方によろけないように足を踏ん張った。


「――悠一さま、責任、とってくれますわよね?」


見上げる灰我さんがぼくに言う。

「うわぁー!!!」


ぼくは灰我さんを突き飛ばし、クローゼットにしまわれていたリュックと靴を持ち、そのまま扉のカギをあけて部屋カラ飛び出た。

靴下のまま廊下を走り、偶然エレベーターホールを発見したぼくは、その階に丁度停止していたエレベーターに急いで乗り込んだ。その中で靴を履き、一階に着くと出入口を探しこれを見つけホテルを出た。

それからはとにかく坂道を下っていき、道路を駆けに駆け、そのまま坂道を下ると、とある高架下につき当たった。

ぼくはここではじめて後ろにを振り返った。灰我さんの姿はない。と、そのとき、遠くの方から電車が発する甲高い音が聞こえ始め、その十秒ほどのち、電車が線路を走る音が振動と共にぼくの周辺に響き渡った。

このぼくの目の前にある高架は、電車が通る線路。

つまり、この高架の左右どちらかに進んでいけば駅にたどりつけるはず。

ぼくは、高架下から少し離れ高架を右へ左へ視線を巡らし見渡してみた。

ここからは駅らしき建物は確認できなかったが、高架下から左にいけば三宮方面に行けるかもと何の根拠もなく思った。

この高架はぼくの知識からすると、JRか阪急のどちらかだろう。左右どちらかにいけば、その二つの電車会社の駅に到着すると思い、ぼくはとにかく高架の右へと歩みを進めた。

左の方へいけばなにか三宮駅に辿り着きそうな予感がしたので、三宮周辺は危険と察知したぼくは、右手の道を選んだのだった。三宮には、灰我さんが先回りしている恐れがある。出くわす恐れがある。

ぼくは走り始めた。

しばらく――時間にすれば十分ほど走ると、駅らしき建物が見えてきて、果たしてそれは駅で、そこに辿り着くと駅名がJRの元町駅だとわかった。行きしなに使った阪急電車ではなかったが、とりあえずぼくは駅構内に入り、来た電車に乗った。

社内は伽藍としており、席はポツポツ空いている。

やっと落ち着ける。

ぼくは座席に座りため息をついた。


――灰我さんを突き飛ばしてしまった……。


ため息のあと思ったのはそのこと。

なぜ? なぜ突き飛ばした?

考える。

理由はすぐに頭に浮かんだ。

それは怖かったから。

灰我さんの視線と声のトーンがだ。


「――悠一さま、責任、とってくれますわよね?」


ぼくの胸に飛び込んできて、その直後言った灰我さんの言葉とこちらを見上げる目。

声のトーンが低くなりそれが不気味さを醸し出し加えて有無を言わせない迫力があった。

そして視線。

こちらの網膜を突き破るぐらい鋭く、これまたぼくに有無を言わせない目力があった。

そのときぼくの眼下にいたのは、まさしくホラー映画にでてきそうな美しい霊体。

美しい化け物?

とにかく背筋も凍る印象があの一瞬でぼくの心を支配し、ぼくは恐怖し、その恐怖の反動で灰我さんを突き飛ばしてしまった。


「どうしよう?」


彼女は霊体ではない。

突き飛ばせた。実体がある生身の人間。だから突き飛ばせた。当たり前か。

あのときは怖かったにせよ、ぼくは女性を突き飛ばしたのだ。

吹っ飛んだであろう灰我さんは、体のどこかを床に打ち付けたに違いない。

戻るか?

思案する。

いや、やはり怖い。


「責任……」


責任とはなんだ?

彼女が発した言葉もぼくを慄かせる。


(家に帰りたい。とにかく帰りたい)


切実に思った。


夢中に走っているときは感じなかった二日酔いが今さら戻ってきて少し気持ち悪い。体がだるい。家に帰ってベッドに飛び込みたい。が、ぼくは自宅に戻るまえに電車で爆睡していた。

そのおかげで降りるべき駅では降りられず、目を覚ましたときは京都方面まで来ていた。その事実に驚き反対側のホームに移動し電車に乗り、地元の駅に辿りつくことができたのは、元町駅を出発して三時間後のことだった。

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