表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラヴ・アンダーウェイ(LOVE UИDERW∀Y)  作者: 囘囘靑
第3章:シャンタイアクティ少女行(в СянтайАкти)
51/165

051_主よ、人の望みの喜びよ(Хесу, радость человеческих желаний)

――彼らの思考は閉ざされた。見えざる者が、彼らの前に立ったためである。

(『ペトロの黙示録』、第24章)

 ニフシェは目を開く。トレーラーに据えられた、コンテナの中に、ニフシェはいる。ニフシェの周囲は、檻に覆われていた。


 檻の近くには、“影”がいる。“影”は、ニフシェの隣でうずくまっており、頭の位置にある、二つの眼のような青い光が、ニフシェに視線を投げかけていた。


「“本物”か」


 あぐらをかくと、ニフシェは無造作に、“影”の正面に向き直る。手を伸ばせば、ニフシェは“影”に触れられるだろう。それほどの近さにもかかわらず、“影”は何の反応もしなかった。それどころか、“影”はニフシェに見つめられ、ひるんでいるようだった。


「“本物”か! われながら面白いことを言った」


 “影”に向かって、ニフシェは身を乗り出す。


「どうした? 来いよ」


 人差し指を立てて、ニフシェは近づくように、”影”に促した。首を横に振ると、“影”はニフシェから遠ざかろうとする。


「来いってば」


 声を荒げると、ニフシェは腕を伸ばし、“影”の手首を掴む。“影”の口があるはずの辺りに、ぽっかりと穴が空く。声にならない悲鳴が、“影”の頭部から漏れ出すのを、ニフシェは感じ取った。


「怖がるなよ」


 “影”を引き寄せると、ニフシェはそれを抱きしめた。ニフシェの下を離れようと、“影”は四肢をばたつかせる。ニフシェは意に介さず、“影”を抱きしめ続ける。


「怖がるな。怖れているようなことは、起きやしない」


 “影”が、抵抗をやめる。


「心配要らない」


 ニフシェと“影”の間から、青白い光がほとばしる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ