151_自分らしさ(личность)
クニカは扉を開いた。
カイ、シュム、チャイハネ、リン――。仲間たちが、“花嫁の間”の前で、クニカを出迎えていた。
「やっぱ、ここだったんだな」
立ち尽くしているクニカに、リンが真っ先に声を掛ける。
「どうしたの?」
「偶然なんだよ」
煙草を片手に、チャイハネが答える。
「クニカに会おうと思ったけれど、部屋にいなかった。それで、シュムと一緒に、なんとなくここに来た。そしたら、カイも、リンもいた」
「カイも、たまたまなんですよね?」
「ン!」
シュムの問いかけに、カイもうなずく。
「よく分かんないけどさ、ここなんじゃないかって、何だかそんな気がしたんだよ」
リンが答える。
「そうだったんだ」
「なあ、クニカ。これからどうするんだ? オレたち、それを訊きたいと思ったんだ」
「ええっと……」
ウルトラまで、一緒に旅をした四人に、クニカはまず、訊いてみたいことがあった。
「あのさ、わたし、救世主になれると思う?」
「まだそんなこと考えてたのか?」
リンがあきれ気味に言った。
「来世に期待だな。ガラじゃないよ」
チャイハネも答える。
「はい。クニカは今のままで十分です。ですよね、カイ?」
「ハ、ハ!」
シュムの言葉に、カイが笑う。
「そ、そっか……」
どう反応すればいいのかわからず、クニカはまごつく。四人の反応は遠慮のないものだったが、それでも、四人ならばそう答えてくれると、心のどこかで、クニカは期待していた。
その期待が、クニカの中で確信に変わる。今はただ、みずからの感情を四人に、仲間に素直に伝えるべきときだと、クニカはそう思った。
「あのさ、笑わないでほしいんだけど」
「だれも笑いやしないよ」
短くなった煙草を、チャイハネは投げ捨てる。
「リン……怒らないでね?」
「ばか。怒るわけないだろ」
「怒ってるみたいですよ、リン!」
「アハハ!」
シュムが茶々を入れる。カイが手を叩いて笑う。
「わたし、“竜の魔法使い”で……、みんな、“竜の魔法使い”に会うために、わたしのところへやって来たと思う」
クニカは続ける。
「だからさ、今度は……その逆をやってみようと思うんだ。今度はわたしが、“霊長の魔法使い”に、会いに行く。それで何が変わるのか、わからないけれど」
「それが答えですか?」
シュムが尋ねる。
クニカは黙ってうなずいた。
四人は互いに顔を見合わせる。
クニカは不安になる。
「変かな?」
「ぜんぜん」
チャイハネが首を振る。
「というか、シュムと話してたんだ、『“霊長の魔法使い”に会いに行こう』って、クニカなら言いそうだ、って」
「素敵です、クニカらしいと思います」
「ニンゲンを捕る漁師だゾ、クニカ!」
「カイの言うとおりだな」
最後に、リンが言った。
「カイの言うとおりだよ。オレも、クニカならそう言うって思ったんだ」
「ありがとう」
クニカは言った。自分の前に、世界が再び開かれようとしている。クニカはそんな気持ちになった。