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ラヴ・アンダーウェイ(LOVE UИDERW∀Y)  作者: 囘囘靑
第6章:神の子は都(みな)沓(くつ)を履く(Каждый ребенок Божий носит обувь.)
112/165

112_君が死んだ気がした(Я чувствовала, что ты умер.)

「ならいい。悪かったな、食事中に」


 後ろ手に扉を閉めると、オリガは鼻を鳴らす。


 オリガは、チャイハネを探していた。チャイハネに銃を渡し、ニフシェの抹殺を命じたのは、昨日のことである。


 昨晩は、イリヤたちの騒動にかかりきりで、オリガはそのことを忘れていた。チャイハネから、結果の報告を受けていないと気付いたのは、今朝になってからだった。


 チャイハネを探したものの、彼女がどこにいるのか、オリガは分からなかった。本来ならば、ペルガーリアや、ほかの巫皇(ジリッツァ)たちと一緒に、オリガは“花嫁の間(ニユンフオーン)”で朝食を摂っているはずだった。今は「トイレに行く」と言い、心当たりのあるところを、片っ端から訪ねているところだった。


 しかし、いつまでも席を外しているわけにはいかない。


 オリガはきびすを返し、“花嫁の間”へ戻ろうとする。それでも諦めきれず、オリガは遠回りをすることにした。わざと二階へ上り、渡り廊下を抜け、それから降りて、“花嫁の間”に戻る。


 渡り廊下に出れば、中庭を一望できる。もしかしたら、窓の外から、チャイハネが見えるかもしれない。


 朝の陽射しを受け、渡り廊下の窓は輝いている。


 外の様子に気を取られていたオリガは、ふと、だれかがこちらへ向かってくることに気付いた。シュムだった。


 オリガの心は弾む。「チャイハネとシュムがデキている」と、オリガは知っている。


「おはようございます」

「会えてよかったよ」

「どうしてです?」

「チャイがどこにいるか、知らないか?」


 シュムの表情から、笑みが消える。


「探してんだよ。キミ、フィアンセだろ?」

「さぁ。シンダンジャナイデスカ」


 シュムの言葉の意味が、オリガはすぐに理解できなかった。


「え? 何?」

「死んだんじゃないですか、チャイなら。私には分かりません」


 失礼します、と素っ気なく言い放つと、シュムはオリガの脇を抜け、反対方向へと去っていく。

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