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愛は赦しの中で  作者: 明智 颯茄
光命の場合
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みんなで幸せになるために……

 二代アーティストの結婚。それだけでも大ニュースなのに、世界初の男性同士の結婚で、式場にはテレビのリポーターやカメラが大勢押しかけていた。

 神様の世界では、披露宴は通常行われない。ただ、魂を交換するという厳粛な儀式が一時間ほど行われる。子供たちも魂を交換するので、蓮と倫礼の子供たちは、光命と知礼とも血がつながったのと同然だった。

 結婚に一番喜んだのは、ピアノを習いにいっていた百叡だった。光命は思い返す。ある日のレッスンのこと、百叡が何か言いたげにモジモジしていたので聞いてみると、「先生も僕のパパだったらいいのに」と言っていたのだ。

 感動で震えるほど嬉しかったと同時に、自身にも父性はあったのだと光命は発見した。乾き切っていた愛に、水をくれたのは五歳の男の子だった。そんな百叡は今日からは大盛り上がりの日々を送るだろう。

 何も知らない友人たちは口々に言う。

「いや〜、光が一気に四人の子持ちだなんてな」

「あんなに結婚しなかったのに」

「大人の世界満喫してるのか好きなのかと思ってた」

 挨拶もそこそこに、光命は急いである人のところへ行かなければならなかった。

「それでは、本日はわざわざいらっしゃってくださいまして、ありがとうございました」早々に話を切り上げて、瞬間移動を使う。

 地球のおまけの元へやってきた。彼女を守るため、守護するために、光命は結婚したのだ。朝は彼女が起きる前には起きていて、夜は彼女が眠るまで起きている。十四年間も待たせてしまった――。それなのに、彼女は文句も何も言わなかった。そんな彼女の態度が光命の胸を熱く焦がした。

 それからは、四六時中ずっとそばにいたが、トイレに立つ彼女にこんなことを、彼は聞いた。

「なぜ、何度もトイレに行くのですか?」

「え……?」

 おまけとしては一、二時間おきに一回という程度で、至って普通だった。だが、神界育ちの光命には驚くべきことだった。

 おまけは最初ぽかんとした顔をしていたが、神様のルールを思い出した。

「あぁ、こっちは、日に六回から八回は行くんですよ。光さんは二日に一度でしたよね?」

「えぇ」

「すみません。病気か何かになったのではないかと、心配してくれたんですね」

 人と神のカップルはこうやって、誤差を乗り越えてゆくのだった。しかし、守護を正式にするとなると、資格がいる。それは同じように地球に生まれたことがあるか、同等の経験を持っていないと守護神にはなれない。当然、光命は持っていなかった。


 彼は新しい家で家族を眺めながら考える。


 倫礼と知礼は共同で執筆活動となり、ホテルに缶詰です。

 蓮はツアーで三ヶ月間戻ってきません。

 私が二週間の守護神の研修に行っている間、どなたが彼女と話をするのでしょう?

 そうですね……?


 ザーッとどしゃぶりの雨が降るように、今まで記憶したものと全て脳裏に流し、成功する可能性の高いものを選び取った。


 そちらのようにしましょうか――

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