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少年と魔法少女と三つの世界  作者: ドラゴン☆リンクス
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28話

夜遅くの投稿失礼します

マンションに着くと、落ち着いた様子のアリエルが出迎えた。眼は赤く腫れているが、表情は明るい。

「もう大丈夫なんですか?」

「心配してくれてありがとう。平気よ。落ち着いたから」

 会話するアリエルと神楽を後目に、マリベルは扉に向かう。

「それじゃ、あたしらはこの辺で失礼するぜ」

「アリエルさん、お大事にー」

 2人が扉を潜り外に出た所で、神楽はアリエルに言う。

「無事で良かったです、師匠」

「…ええ」

 どこか上の空の様子で、アリエルが答える。

「あの…マリベルさんから聞いたんですけど、師匠昔…」

「ああ…。聞いたんだ、それ」

 シニカルな笑いを浮かべながら、アリエルは力なく頷いた。

「今でもたまに夢に見るの。パパとママが目の前で奴等に八つ裂きにされた光景をね」

 深い皺が刻まれるぐらいに、布団のシーツを握り絞める。

「師匠…」

 神楽は不意に、先日無残にも殺された友人を思い出した。同じだ。私が無魔への復讐に燃えているのと同様に、この人も復讐者だったのだ。

「大方、マリベルから私が一人で突っ走るようだったら止めろとでも言われたんでしょ?」

「は、はい」

 アリエルは柔らかく微笑み、神楽に告げた。

「だったらその時はお願いね。信じてるから」

 そう言ってベッドから体を起こそうとするアリエル。しかしバランスを崩したように頽れ、神楽に支えられた。

「ちょ、ちょっと!安静にしてなきゃ駄目ですよ!」

「…悪いけどお茶、持って来てくれる?」

「はい!」

 台所の冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに次ぐ。

「どうぞ」

「ありがと」

 麦茶を飲み干し、嘆息してから彼女は言った。

「魔力が足りないわ…」

「オペ受けた時に魔力の補充とかしてもらわなかったんですか?」

 訝しげに、神楽が問う。

「医療班がやるのは原則的に怪我の治療のみ。魔力供給は患者の魔力がほぼほぼ0になっている場合にしか施さないの。人工の魔力源は何かと希少だからね」

「それならどうすれば…」

「貴女が私に魔力供給をするしか無いわね」

「…どうやるんです?魔力供給って」

 するとアリエルはあっけらかんと、その事実を告げた。

「粘膜接触ね。ぶっちゃけて言ってしまえばセックスよ」

 その言葉を理解するのに、神楽は数十秒程度の間を要した。数十秒後、彼女は満面の笑みを浮かべて言った。

「ああ季節ごとのお祭りの」

「それは節句」

「ちょっとした文句のことですか?」

「それは隻句」

「衝撃的なことに何も言えない…」

「絶句。セックスつってんでしょーが」

 引き攣った顔で神楽は呆れかえった。

「私、女なんですけど」

「女同士でも擦り合わせることは出来るわよ?」

「いやいやいや」

「じゃ、パパっと済ませちゃいましょ」

 アリエルは素早い身のこなしで神楽をベッドに押し倒し、衣服をはぎ取ろうとした。

「ちょ…どうしてもやらなきゃならないんですか!?」

「ええ。ソウゴ君だってやってることよ」

「え…?」

 不意に、神楽の顔が曇る。

「どういうことですか?それ」

「どういうことも何も…昨日マリベルから聞いたんだけど」

 すると神楽は眼を伏せ、悲しさを湛えた表情で自嘲気味に笑った。

「はは…。先輩、マリベルさんとシちゃってたんだ…」

 今にも泣きだしそうな彼女の顔を見て、アリエルは訝し気に問い掛けた。

「貴女、もしかしてソウゴ君のこと好きなの?」

 すると神楽は顔を真っ赤に染め、冷や汗を掻き出した。

「な、何で解ったんですか!?」

「いやバレバレじゃない」

 これ以上隠し事は出来ないと悟った神楽は、ぽつりぽつりと語り始めた。

「中1の時です。何となくで入った委員会に先輩も所属してたんですけど…2人きりで仕事する機会も多かったのと趣味が合うっていうのがあってかよく駄弁っていたんです」

 1年前の直近の出来事だったが、神楽は懐かしむように語っていた。

「ある日の放課後一緒に下校していたんですけど…その時地域一帯で幅を利かせていた不良の集団に絡まれてしまったんです。急いで逃げようとしたんですけど運悪く私躓いて足を挫いてしまって…」

 柄の悪い恰好をした集団。躓いて足を抱える自分。あの日の光景は、神楽の脳裏に今でも色濃く焼き付いていた。

「その時先輩が私を守るために不良に立ち向かってくれたんです」

 小柄な少年が、自分よりも何倍も大きな、そして手に凶器を携えた男たち相手に立ちふさがる。

『この子に手を出すな!』

『へへっ。ならお望み通り、先ずはお前から可愛がってやるよ』

 不良たちは厭らしく笑いながら、手にした得物を少年相手に容赦なく振り下ろした。

『ぐっ!』

『先輩!』

『このっ…!やられて…たまるかぁっ!』

 頭から血を流しながらも、総悟は傍にいた不良に組み付く。

『うおっ!てめえ…離せ!』

『神楽ちゃん!早く逃げて!』

「それで…どうなったの?」

「たまたま付近を巡回していたお廻りさんが駆け付けてくれて助かりました。因みに不良共はドラッグやら改造銃やら持ってたのがバレて全員少年院行きです」

「ソウゴ君は大丈夫だったの?」

「バットで殴られたけど全治1週間の怪我で済みました。見かけがかなり凄惨な怪我だったんで私慌てて救急車呼んじゃいましたけど」

「…勇敢な子だったのね、その頃から」

「その後お見舞いに行ったんです。守ってくれたことについて感謝したんですけど、そしたら先輩、こう言ったんです」

『神楽ちゃんが無事で良かったよ』

「その時からです。私が先輩のこと好きになったの」

「そうなんだ…」

「まあ見た目がすごい好みだったってのもあるんですけど」

 話の内容の落差に、危うく物理的に転びそうになった。

「でも先輩、マリベルさんとシちゃったんでうよね?だったらもう…」

「それは違うわ」

「え?」

 俯いていた顔を上げた神楽に、アリエルは言う。

「別にHする人が必ず好きな人じゃないといけない、何てことは無いのよ?魔力供給何てただの仕事。行為に愛は必要無いわ」

 アリエルはけらけらと笑いながら続ける。

「もしHは必ず愛し合う者同士がやらなきゃならない、何て法律があるなら今頃風俗なんて無くなってるわよ」

「そう、何ですか…?」

「そうよ。だから貴女も、ね」

 改めて服を剝ぎ取ろうとするが、神楽は慌ててアリエルの手を制した。

「いやいやいや。私たち女同士ですから」

「いつも男同士がHする本読んでるのに今更?」

「それとこれとは話が別です!」

「大丈夫よ。天井の染みを数えている間に終わるから」

 かなり強い力で組み敷かれ、着衣を脱がされる。下着に手を掛けられた所で、神楽は全力で叫んだ。

「せめて初めては先輩に捧げさせて下さい!」


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