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少年と魔法少女と三つの世界  作者: ドラゴン☆リンクス
11/40

10話

10話目です。

ギャグ描写を上手く描けるようになりたいと思う日々です。

翌朝。マリベルが寝ぼけ眼で階段を下りると、キッチンから何かの出汁のような香しい香りが漂ってきた。彼女は料理に関してはまるきり素人だったものの、今少年が作っていいるものが和食であることは理解出来た。

「おはようございます、マリベルさん」

 エプロン姿の少年が振り向く。水色のそれは、小柄な体格の彼にとても似合っていた。

「おはよ。エプロン似合うな、お前」

「えへへ。そうですか?」

 総悟は照れ臭そうに笑う。白い歯が見えるその顔は、とても可愛らしい。

 総悟が仕上がった料理を食器に盛り付け、机に並べていく。主菜、汁物、白飯がそれぞれ一皿ずつのメニューだった。

「ソーゴ」

 食後、珈琲を淹れている総悟に、マリベルは呼びかける。

「何ですか、マリベルさん」

「今日帰るの何時ぐらいになりそう?」

 総悟は少し考える素振りを見せた後、答えた。

「五時ぐらいになりそうですけど…何かあるんですか?」

「ちょいと魔法界からあたしの友人が来ることになっててな。お前にも一目会いたいらしい」

 彼女曰く、その友人とは学生時代からの仲らしい。

「六時過ぎにはここに来るらしい。早めに帰って来いよ」

「はい…って何してんすか」

 マリベルは淡々と説明しながら、寝間着を脱ぎ捨てていた。華奢な体に身に着けられたランジェリーが眩しい。あられもない少女の肢体に、総悟は思わず眼を背けた。

「何ってそりゃあ…着替えだが?」

 平然とそう言ってのけるマリベルに、総悟は半ば呆れた。

「男の前で着替えるのは止めた方が…」

「そういうのは意識されるような男になってから言いな。何ならモロ見せしてやってもいいぜ」

 そう言うとマリベルはブラを外し、手で胸を隠してみせた。その隠し方は際どいもので、危うくピンク色の突起が見えそうだった。

「ちょ……!?だから…」

「はは。ジョークだよ」

 悪戯っ子のようにけらけらと笑うマリベルに、総悟は何故か胸がとくんと高鳴った。彼はそれを、彼女のあられもない姿を見たからだろう、と考えた。

 マリベルはジャージに着替えると、ソファにごろりと寝ころんだ。猫のようにリラックスした姿勢でいる様は、戦士とは到底思えない。

(まあ悪い人じゃないんだけど…)

 頻繁にセクシャルな発言をするが、面倒見が良く頼れる先輩。総悟のマリベルに対する評価はおおよそそういった内容だった。

 総悟は溜息を一つ吐くと、着替えるために二階へと向かった。



「ねーねー今朝のニュース見た?」

「あーアレでしょ?駅前で生首が見つかったとかいうヤツ」

「動物に食い千切られたみたいだとかやってたけど本当かな?」

「人の首噛み千切る動物とか何それすっごい見てみたい」

 総悟が教室に入ると、耳にクラスメイトの会話が飛び込んで来た。その内容に思わず顔を顰めてしまう。あの事件で悲しみに暮れている人物が身近にいる身としては、この話は笑い話に出来なかった。

 机について本を読んでいると、普段通り鋼牙とその取り巻きの女子達が総悟の机にやって来た。

 口々に「おはよう」と言ってから、鋼牙は口を開く。

「如月、今朝のニュース見たか?」

「今朝のニュースっていうと…あの殺人事件?」

「そうそれ」

 鋼牙は隣の席にどっかりと座り、机に肘を着く。

「最近物騒になって来たよなぁ。この間なんか他校の生徒が集団失踪したみたいだしよ。如月、お前は失踪してくれるなよ?そんなことになったら俺泣いちまうぜ」

 冗談めかした口調だったが、言葉の節々には心配が滲んでいた。彼は女子を周囲に侍らせているので軽薄な男だと思われがちだが、その実友情には熱い男であることは総悟と彼の取り巻きの女生徒達にも周知の事実だ。

「こんな状況だし夜の外出は控えた方が良いよねー」

「そうだよねー。あ、でもミッチーとマッちゃん今週末に地方にいる大学の先輩とライブ行くとか言ってなかったけ?」

 ミッチー、マッっちゃんと呼ばれた女子2人が、首を縦に振る。

「今回は運良くチケット取れたのよね」

「別に心配しなくても大丈夫だよ。だって地方だし。失踪事件とは何の縁も無い所だし」

 周囲の女子は安心しているようだったが、総悟は内心で顔を顰めていた。奴らは殺人鬼でも狂暴な獣でもない。正真正銘の怪物だ。その地方も無魔の巣窟だという可能性は、十分にある。

「地方か…移動手段は何にする感じ?」

 総悟の心配を他所に、鋼牙の隣に居た女子が2人に問う。

「先ずはバスで駅まで行って…そこから電車を3本乗り継いで行くわ。ここから結構距離あるしそこで一泊するつもり。深夜に帰宅なんてことは無いと思う」

「そっかー。大学の先輩も居るっていうしそれなら安全だね」

 周囲の女子達は楽観視していたが、総悟の顔は険しかった。2人に向けて彼は言う。

「ね、ねえ2人とも」

「何?」「何、如月君」

「今回のライブは行かないって選択肢は無いかな?」

 その言葉に女生徒達は一瞬の間の後、爆笑した。

「あっはっはっは!如月君ったら面白い冗談言うね」

「如月君って結構心配性なのね」

 一方で鋼牙は、窘めるような口調で総悟に言った。

「そうだぞ如月。こんなんで自粛してたら俺ら何も出来なくなっちまうよ」

 言葉を続け、どうにか説得しようとしたが、タイミング悪く予鈴の音が鳴り響く

「あ、もうこんな時間か」

「そろそろ教室に戻らないと」

 女生徒たちがあらかた解散した所で、鋼牙も総悟に背を向けた。

「じゃあな如月。また昼休みにな」

 友人があらかた引き揚げた所で総悟は溜息を1つ吐き、授業の準備を始めた。

「…また昼休みにでも話すか」

 総悟は独り言の後、授業の準備を始めた。



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