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地獄の手伝い


 予定が詰まっている時ほど時間の流れは早く感じるもので、気が付けば5月ももう終わりを迎えようとしていた。



「最近、妙に疲れが抜けない……」


 テーブルに伏せ、直人がぼやく。

 望愛を待つため、渚と直人は今泉の喫茶店に来ていた。

「直人、最近授業中もよく寝てるよね」

「望愛や翔悟のせいだ! 作戦会議やんのはいいけどよ……毎日毎日遅くまで……。それに聞いたか? 来月テストだと! しかも決行前に! 勉強もしないといけねぇし……しんどい」

 本当にしんどそうな声を出す直人に、渚は苦笑するしかない。


「直人くんたちも大変なんだねぇ」

 他人事のように言う今泉に、直人がガバッと起き上がって反論する。

「今泉さん! そう思うなら俺の宿題やってくださいよ」

「いやいや。そこはお願いしますとかじゃないの? てか俺だって仕事中だよ」

「客、俺らしかいないじゃないすか」

「いやぁ、まぁそうだけど……ほら、これから来るかもしれないし!」

「来ないっしょ」

「いやいや、万が一……億が一ってこともある……はず!」

と同時に来客を告げるベルとドアの開く音が聞こえた。


「いらっしゃ…………望愛ちゃーん……」

 現れたのは望愛。今泉は最高の笑顔から、一瞬にしてどん底へ落ちていった。

「人の顔見てテンション下がるとか、失礼極まりないですね店長」

「いや……もう……うん」

「変なの」


 一人落ち込む今泉を放って、直人たちのテーブルへとつく。

「……翔悟、遅いね」

「あら連絡来てない? 今日来れなくなったって」

 そう言われ携帯を見ると、数分前に翔悟からメールが入っていた。

「名簿とか翔悟持ってるんだけど……まあいいわ。はじめましょ」

 そう言って望愛はカバンから大量の資料を取り出す。


「今現在、全体で集まったのが約70……。クリムゾンの人たちが結構頑張ってくれたみたいね。今私たちと同じようなグループに接触してるって聞いたから、うまくそこも引き入れられれば結構大きいわ。団体となると、当日にも参加してくれる確率は高くなるし」

「じゃあ、人数はなんとかなりそうなの?」

「団体にも数か所声かけるそうよ。そうなると案外集まるかもね。まぁもう少し欲しいところではあるけど……あと半月ほどで集められる限りは集めるわ」

「休日はまた声かけかよ……」

 隣でぼそりと直人がつぶやいたが、望愛は無視して話を続ける。

「今週の日曜、ここで会議をやるわ。全員集まっての確認や役割分担を決める。そろそろ決行に向けて細かく決めたいし。直人、メールは回した?」

「回した。場所について、あれでいいか?」

「えぇ。大丈夫よ。問題なさそうならそのまま進めましょう」

「そういえば……これってどこでやるの? 前検討中って言ってたけど……」


「官邸前よ」


 さらりと言われ、渚は一拍反応に遅れた。

「え……?」

「そこでやることに決めたわ。だから人が多いとありがたいわね。能力者の存在意義を問うのに、たくさん声があったほうが効果が出ると思うし」

 渚の考えでは、代々木公園やもっと人が行きかう場所でやるのかと思っていた。だがどうやら違うようだ。

「さぁ、やることは山ほどあるわ。あと少し……頑張りましょ」

「テストもあるってのに……赤点だったらお前のせいだぞ。たんまり仕事押し付けやがって」

「授業をまじめに受けていれば赤点は回避できるでしょ。私のせいにしないで」

「てか、逆にお前は大丈夫なのかよ。特進組はよ」


 望愛や翔悟は、直人や渚に比べ課題の量や難しさはかなり上だろう。おそらく彼らもやることがたくさんある中、勉強もやってかなり大変に違いない。


「望愛、僕にもできることあるなら手伝うから。何でも言ってね」

 大変だというみんなの負担を少しでも減らしてあげたい。渚はそう思い、望愛に告げた。

 そして、後悔した。望愛の満面の笑みを見て。

「そう。じゃあ……早速お願いしようかしら」


 直人と同じ状況に陥るのはあっという間であった。


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