プロローグ1
プロローグ
「勇者よ、ここへ来るのは何度目か。なぜ何回も殺しておるのに、我の前に現れるのか。どうすればこの戦いは終わる?我としても、同じ者を何度も殺すのは気分のいいことではないのだ、いい加減に諦めてくれ。」
魔王に挑むのは何度目だろうか。女神さまの加護を持つ俺は魔物との戦いでは死なず、教会で蘇生する体を手に入れた。最初は、家族や幼馴染を守るために始めた戦いだったが、気が付けば国王様や、旅の中で出会った人々、そして、かけがえのない仲間たちと守るものが増えていった。何度も死を体験し、経験を積んで勇者と呼ばれるようになり、仲間を作って打倒魔王を目指し冒険を続けたが、俺以外の仲間は死んでいき、俺だけが生き続けている。魔王との戦いを続けることこそが俺が仲間たちと生きてきた証であり、魔王を倒すことが、あいつらとの夢をかなえることにつながると自分に言い聞かせてきた。
「どうすれば終わるかだって?簡単なことだ。俺が、いや、俺たちがおまえを倒したらだ!」
「勇者の名の下に!聖剣開放! モード シャイン!」
「女神の加護強化! モード エターナルボディー!」
「今度こそ、死んでいた仲間たちのため、世界の平和のため、おまえを倒す!」
~3日後~
「またあったな魔王、今度こそおまえを倒す!」
「少し待て勇者よ、おまえは三日前から少しでも強くなったのか?お前がこの王座に来るまでに殺した我の部下は20人だ。おまえが我を傷つけることができぬように我が部下たちもおまえを傷つけることができぬほど、おまえとは実力差がある。我はすでに無駄死にせぬようにと、部下たちに勇者への攻撃を禁じている。それなのにおまえは我が部下を追いかけまわし殺している。」
「しかたないじゃないか、殺さないと経験値が入らず強くはなれないんだから・・・」
「おまえは、何度も生き返る。そのせいで、生きている者たちの気持ちが分からなくなっているのではないか?無害なものを殺して本当の意味で経験を積めていると思っているのか?経験値のために殺された我の部下たちは「うるさい!!!!!おまえだって俺の仲間たちを殺したじゃないか!!!!!」
「自分を殺しに来るものを殺して何が悪い。我は生きるために殺しているだけだ。経験値のための殺しなどしたこともない。命とはそんな簡単に散らしていいものではないからな。」
「うるさい・・・」
「お前が殺した者たちにも生活があり、家族がいて、生きるために鍛錬を積んでいたのだ。それをおまえは、経験値などというつまらぬものを得るために・・・」
「うるさい!!!!!」
「そしてまた、我に殺されることをただ繰り返しのだろうな・・・」
「うるさいといってるだろう!!!!」
「勇者の名の下に!聖剣開放! モード シャイン!」
「女神の加護強化! モード エターナルボディー!」
「また同じ技を・・・馬鹿の一つ覚えだな。またすぐに終わらせてやる。」
「勝たなくちゃいけないんだ!何がなんでも!!!!」
<もうあきちゃったわねぇ。>