04
だけど一時間もしないうちに私のよく知った気配が近付いてきた。ん〜。
伸びをしながら起きた。
そして玄関に向かった。
もう一つ気配があったけれど、それも知っている人のだった。
ドアを開けると今まさにインターホンを押そうという体勢で固まっている瑞希がいた。
その横には、もう一つの気配の持ち主、百合さんの妹で瑞希の護衛の楓さんがいた。
一瞬ビクッとしていた。驚かせたつもりはなかったんだけどゴメンナサイ。
「お帰り!」と言うと、やっと動き出した瑞希は私の名前を呼びながら抱き締めてきた。
黙って抱き締められていた。
「ただいま〜!! それより澪!? 今から、どこかに行くの??」
「行かないよ! 何故?」
すると一旦、私から離れた。
「だったら、すぐにドア開けちゃ駄目でしょ!? 誰が来たか、きちんと確認してからじゃないと!? 私だったから良かったものの男の人は皆、狼さんなんだよ!? ガオーなんだよー!? 怖いんだよー!?」
どうやら瑞希はインターホンを押したと思っているようだ。
それに皐月さんに私と同じ事を言われたて、それを忠実に守っているみたいだ。可愛い。
『だけど、そんな人がいたら気配で分かるし返り討ちにする!! それに私なんかに変な気をおこす人もいない!!』という意味を込めて「大丈夫!」と言った。
「何が大丈夫なの!? 澪は可愛んだから危ないんだよ!? もし私が男だったら間違いなく澪を襲ってるよ!?」
「瑞希、それは今も変わらないと思うんだけど!?」
「楓ちゃん、それは澪が自覚もってないから分かってもらうために、わざとなんだよ!?」
「そうだったのか!? 私は、また本能のままの行動かと!?」
「それも、あるかもだけど……。それでも分かってくれない澪に私は心配なんだよ!?」
危ないのは、きっと瑞希の頭の中だけだと思う。
でも私のために心配して言ってくれている事は分かったので、それは素直に嬉しかった。
そう思いながら二人の話を黙って聞いていた。
「だけど、やっと澪が帰ってきてくれて嬉しいから後は、どうでも良いやー!! 澪お帰り〜」
再び抱き締めてきた。
いまだ玄関前にいたので家に入るように促した。
5月になって少し暖かくなってきたといっても疲れやすいし興奮している今の瑞希を落ち着かせたかった。
私が原因で熱でも出たら大変だ。
中に入る時も
「いー−−−ぱい話したい事があるんだよー。だから、たくさんお話ししようねー。ところで澪って、こんなに小さくて可愛かった!? いや可愛いのは前からだから背、縮んだ!?」
一人で、しゃべっていた。
確かに会わなかった間に瑞希は、いろいろと成長したようだ。胸とか背とか胸とか。
楓さんは部屋の中を一通り確認した後、瑞希を私に任せて部屋を出ていった。
その時に「向かいの部屋にいるので何かあった時は、すぐに呼んで下さい!」と言っていた。
ちなみに、この階には部屋が6つあり私は角部屋で隣は瑞希の部屋だ。
その隣の部屋と前の3つの計4つの部屋は誰も住んでないが皐月さんや楓さん達が待機や休憩したりするらしいです。
ただし男の人は既婚者以外、立ち入り禁止だそうだ。
言ったのは正稀さん辺りだろう。
久しぶりに、いっぱい瑞希と話した。
私が海外にいる時の出来事や学校の出来事。
なんでも私に紹介したい人がいると嬉しそうに話していた。
習志野って聞くだけで媚びた人しか近付いてこないから、友達ができたなら良かった。
それに私がいると逆にできないと思っていたから。
それに、すでに友達がいるのなら正稀さんに渋々ながらも承諾させた私の約束も叶うだろう。
「瑞希に友達ができていたり心配事がなかったら、すぐにでも私は海外に戻る!!」という約束を。
こういう事は先に決めとかないと何だかんだ言って私の滞在を正稀さんが引き延ばそうとするから。
特に普段の私が人の多い所や集団での生活は苦手を通り越して無理なのを分かっているハズなのに。
それから瑞希と一緒に夕食を作って食べたり一緒にお風呂に入ったりした。
気付いた時には外はもう真っ暗だった。
時間を見ると12時前。
そのまま瑞希は、ここで泊まる事になり一緒に寝た。
◇◇◇
私も久しぶりに数時間寝た。
やっぱり瑞希の横では、いつもより眠れる。
さっき学校の事を詳しく調べられなかったので今から調べようとパソコンを立ち上げた。
新着メールが数件届いていた。
何の変哲もない普通の広告メール。
だけど私には、これが仕事の依頼メールだ。
解読し終わった時には朝になっていた。
結局、調べられなかった。