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美女と天女  作者: 美貝
空手部勧誘から逃げきれ!--WEDNESDAY
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WEDNESDAY- A Day Off 17


「電話しようと思ってたら、たまたまこの女に声かけられた。


春果、昨日からこいつの所為で元気なかっただろ。


お前が落ち込むとチームの士気が下がる。


だから、丁度いいと思って連れて来てやったんだ。感謝しろ」




えぇっ?


何だそれ。


何かそれっぽい理屈つけてるけど、本当か?




春果君に目を向けると、顔が赤く色づいている。


あたしと目が合うと、パッと目を逸らした。




「あの、春果君」




あたしは、ためらいがちに名前を呼ぶ。


春果君は、目線だけチラチラとこっちに向けては逸らしてを繰り返す。


こういうとこ、可愛いな。


言うても、20代前半の男の子だもんね。




「授業の事なら、あたし、気にしてないからね。

怒ってもないし。

だから、あたしに対して、そんな気まずそうにしないでほしいって言うか・・・ね、大丈夫だから」




その言葉を裏付けるように、ふにゃっとした笑顔を彼に向ける。


春果君はそれに反応して、顔を真っ直ぐこっちに向けてくれる。



頬はいまだに紅潮している。



そして、おもむろにこちらに向かって足を2,3歩出し、あたしにギュッと抱き付いた。



「わっ!」



その勢いに、あたしの足が一歩後ろに下がってバランスを取る。




「は、春果君・・・」




いつもと雰囲気の違うハグに、あたしはどうしたらいいか分からなくて身体を硬直させる。



春果君は腕の力をほどかないまま、ボソッと耳元で囁いた。






「少しは気にしろよ」






そして、また唐突に腕をほどいて湊君の方に戻る。




あたしは、まだ突然の事に反応が出来ないでいる。





「夏菜、俺、明日の初級英語も行くからな。今度あの女どもがバカな事言ったら、俺が何とかするからお前は何もするなよ」





春果君は不敵な笑顔を浮かべて、あたしに向かって言った。


そして、あたしの返事を聞く前に湊人君に視線を移して続ける。





「もう稽古始まってるから行くぞ、湊人。気づかいサンキュ」




そして、あたしに笑顔を見せて大きくバイバイと手を振ると武道場に走って戻って行った。





ってか、結局この気まずい状況のあたし達を置いて行くんかい!






湊人君が、パッと勢いよく顔をこっちに向ける。




ヒィッと不覚にも一瞬あたしは自己防衛本能で反応してしまったが、また気を持ち直して強い視線を彼に返す。


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