表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美女と天女  作者: 美貝
空手部勧誘から逃げきれ!--WEDNESDAY
61/66

WEDNESDAY- A Day Off 13

何考えてんだ、この人。


あたしに読唇術の心得でもあると思ってるの?


ふっ、高く評価してくれてありがとう。




実はね、近しいものがあっちゃったりするんだよね。


過去の経験上、読唇とまではいかなくても、口や目の動きから言いたい事をくみ取る事は得意だったりするんだよ。




さぁ、何が言いたい?


あたしがくみ取ってあげるから、もう一度言ってみなよ。





あたしは湊人君の麗しい唇に焦点を合わせる。


やっばい、公衆の面前で顔を近づけて、何か悪い事してるみたいでドキドキするな。






湊人君が、本日三度目の無声会話を試みる。


ってか、そんな面倒な事するくらいなら、声出せばいいのに。


小声なら他の人にだって聞こえんだろうにさ。





い・う・あ






口の動きから、母音はこの順で言われてる。



首を傾げて考える。



いうあ?(。´・ω・)?







あ、更に眉間にしわが!



え、怒った?!



すいません、すいません。



読唇できるとか言ってすいません。



一切合切あたしの勘違いでした。






彼は首を少し傾けて更に言う。


幼稚園児に話すかのように、非常にゆっくり口を動かす。


噛んで含めるかのように。


でも、目はギランギランに光って、ガンを飛ばしてくる。




み・う・あ




ううん。


違うな。





み・う・な





・・・。





み・る・な






見るな!
















・・・え?(´_ゝ`)

















見るな?







あたしが意味を理解したのを見て取ったのか、彼は最後にもう一度極めつけのガンを飛ばして顔を元の位置に戻した。



あたしの視線がそれに合わせて上がっていく。



しかし、彼がジロリと目だけ動かしてあたしをねめつけて来ると、焦って顔を正面に戻した。




見るな、と。




いや、見てたけどね。



綺麗なものは見たいのが人間の当然の真理だろ?



その三文字のために、ここまで労力をかけさせるとか・・・。



あたしの事おちょくってる?




ってか、喧嘩売ってる?


何で何もしてないのに、こんなに嫌われなきゃいけないの?




しかも、あたし、今、彼をヘルプしてあげてるんだよね?


あれ?


あたし、彼を大学まで送り届けてあげてるんだよね?


え、違ったっけ?





何だろう、この扱い。


あたしはこいつの奴隷か?


何でこいつに、ここまで偉そうに言われなきゃなんない訳。






・・・あたし次の駅で降りようかな。


こいつと一緒にいるの、もうやだ。




中途半端な慈善心で人助けをしようとするから、見返りがなくて怒っちゃうんだよ、あたし。


本気で助けたいなら、相手がどういう態度だろうとあたしには関係ないじゃん。




しかし、あたしはそんな出来た人間じゃないから普通にムカついちゃう訳。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ