出会い1
今日は、クラブ紹介の日だ。お猿のおケツ軍団も来るのかしら。
学生と教員のつながりをとても重視するこの大学では、常勤どころか非常勤も含む全教員が何がしかの学生グループに入ることが義務付けられている。
だから、あたしもどこかに入らなきゃなんだけど、他の先生方はどうやって決めてんだろ。
そもそも、学生グループに入るってどういう事だ。
学生に混じって活動しろってか。
まぁ、活動した時間分も、申請すれば給料出るからいいんだけどさ。
カツカツで生活してる非常勤にとっては、
すごくありがたい話ではある。
もう、何でもいいんだけどな。
あたし、実はスポーツほぼ何でも出来るから、
体育会系だと重宝されると思うんだよね。
学校だってオーストラリアで飛び級で卒業してきてるから、
研究会系で学生たちとお勉強するのだって何の問題もない。
あ、唯一だめだと思われるのは、漫才かな。
落語研究会とかそれ系は無理だ。
あたし、お笑いのセンスゼロだからな。
ユーモアって何ですか?みたいな。
あたしは、ぶらぶーらと各サークルを見て回る。
どこも工夫を凝らしたパフォーマンスで新入生を引き込もうと必死だね。
しかし、回ってみると見た目以上にもっとたくさん。
いくつ団体があるんだろう。
活気のあるコーナーや、しんみりしたコーナーや、
体育会系もあるし文科系もあるし、まさに多種多様。
その中で、ひときわ人気を集めるコーナーが目の端に入った。
取り巻く新入生は女の子がメインだけど、その中にちらほら男の子も混じってる。
何のサークルなんだろ。
あたしも見てみたい。
人でいっぱいの中を、強引に割って入る。
はい、ちょっくらごめんなさいよ。
あ、すんませんね、足踏んじゃいました?
そんな血走った目で睨まないでよ。
ほら、あたしの麗しい微笑を見せてあげるから、それで許しなさいよ。