TUESDAY - Beginner-level English 12
コンコンコンコンッ
更にノックが聞こえる。
頼むよーまじ帰ってくれよー༼;´༎ຶ ༎ຶ༽
あたしと根気比べがしたいのか?
言っとくけど、あたしいざって時のしつこさでは負けないよ。
あたしは顔をドアとは逆の方に向けて、もう一度舌打ちをしイライラを追い出す努力をする。
ガラッ
・・・・・・。
・・・は?(╯⊙ ⊱ ⊙╰ )
何か、聞こえるはずのない音が聞こえた気がしたんだけど、気の所為だったのかな?
あたし、どうぞって許可してないよね?
だって今寝てる設定だし。
ザッザッ
静かな足音がこっちに向かって来ている気がするのも気のせいだよね?
そうなんだよね?
狸寝入りで無視ってたってバレるのも気まずいし、あたしは身動きが取れない。
取り敢えず、目を瞑ってこのド失礼な不法侵入者が去るのを待つしかない。
ザッ
あたしのすぐ頭の真上で足音が止まった。
爽やかなシトラス系の香水の香りがあたしの鼻をくすぐる。
ひょえぇぇ
え、seriously??
誰なの?
何か怖いんですけど!
軽く冷や汗が出てくるんですけど!
あたしの正面に立ってるみたいだから、薄目を開けても位置的にこいつの姿は視界に入れられないし。
何なの、まじ今日はついてない。
訳分かんない事ばっかだ。
あたしは、またじわっと生暖かいモノが湧き出てくるのを目の中に感じる。
「泣いてんの?」
静かな柔らかい声が聞こえる。
頭にふわっと柔らかい圧力がかかった。
そのまま、なでなでと頭を優しく撫でられる。
あたし、この手知ってる。
「ごめんなさいね。あたし達が、あんたの授業に行ったから、嫉妬する子が出て来ちゃったみたいね」
大きな暖かい手は、あたしの頭を撫でていた手を滑らせて髪の毛を一房すくい取ったみたい。
見えないけれど、軽く髪が引かれる感覚で分かる。
「春果が大人げない事しちゃったから、怒って教室を出てったんでしょう?それも謝るわ。あの子、焼きもちを焼いちゃっただけなのよ」
静かな染み渡るような声で、姉ちゃんが春果君の弁護をする。
そうか、そうだったのか。
お餅を焼いちゃったのか。
そんな事できちゃうとか・・・
まじ可愛いな、あたしのエンジェル。
じゃぁ、あの怖い顔は拗ねてたって事なの?
・・・やばい、ツボ過ぎる。
何でやる事なす事、全部そんなに可愛いんだ。
・・・ん?
でも何に対して?
ハグ?
でも、春果君にはいつもこっちが困惑するくらい抱きつかれてるはずなんだけど・・・
「本当はあの子がここに入って来たかったんだけれど、何度ノックをしても返事してくれないし、ラボからはひっきりなしに電話があるしで、落ち込んで帰ってっちゃったのよ?」
新たな情報に、机に押し付けられてるあたしの胸の鼓動が早められる。
あぁ、机が振動してないといいんだけど。
「あたしは、あんたの対応すごいなって素直に思ったけれど。でも、春果の気に入らない気持ちも分かるわ。あたしが言うのも何だけど、誰にでも触らせちゃダメよ?特に男子学生になんて、冗談じゃないわ」




