TUESDAY - Beginner-level English 10
何か・・・ムカつく。
何なの?
勉強したくないの?
15分あったら、かなりの知識が入るよ?
可愛い顔をそんなに嬉しそうに綻ばせて、あたしの授業妨害がしたい訳?
あたしは春果君の手から、勢いよく腕を振り切って拘束から逃れる。
ふんっ。
そっちがその気ならいいさ。
みんなして何なのさ。
じゃぁ今日は、精々貴重な勉強のチャンスを逃すがいいさ。
「じゃぁ、私の授業“だけ”短くなったそうなので、今日はここで終わります。
I’ll see you Thursday, guys. Have a good one.」
あたしは教壇に戻り、皮肉たっぷりにそう宣言すると自分の荷物を手早く片付け始める。
開いていた講義ノートを閉じる音と共に虚しさと悔しさが襲ってくる。
今日は、思わぬ闖入者や思わぬ質問、更に思わぬ授業妨害で全部のプランが終わらなかった。
予定が大幅に狂っちまった。
木曜日は、キッチキチに詰めて、みっちり鍛えてやるから見てろ。
あたしはプリント類を乱暴に鞄に詰めて、それを肩にかけて教室を出る体制に入る。
でも、やっぱり気になって春果君と彰姉ちゃんの方を見ると、当然ながら女の子たちに捕まってた。
ま、いつもの事か。
あたしの視線を感じ取ったのか、取り巻きの中心から二人もこちらを向いた。
視線が合った。
春果君は何か話したそうに手を上げて、あたしに合図を送ってる。
彰姉ちゃんがその隣で頬杖ついて考え深そうな視線を送って来るし。
でも、春果君の今日の所業は本気で腹立たしかったからふいっと視線を逸らして、大きいステップを取ってあたしは教室を後にした。




